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殿様の試写室

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あの日 あの時 愛の記憶 -2- Die Verlorene Zeit

あの日 あの時 愛の記憶
 -2-
Die Verlorene Zeit

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(C)2010 MediaPark Film- und Fernsehproduktions GmbH

事実は映画より奇なり。
なぜ、本作が実話であると聞いて驚いたか、といえば、
アウシュヴィッツ収容所に収容された者同士が恋に落ちることが可能なのか、
という疑問があったからです。

自分の命が、明日、いや、今日でさえどうなるかわからないのに、
人を愛する気持ちになどなれるのか。
まして、常に拘束され、監視された状況にあって人は愛を交わすことができるのか。
(すいません。下世話な疑問で)

そんな疑問は吹っ飛んでしまいました。
人間の力強さにあらためて感銘を受ける映画です。


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ストーリー
1976年、ニューヨーク。
ドイツからアメリカに渡り、優しい夫と娘に囲まれて穏やかな日々を送るハンナ。
その日は夫の研究が表彰され、祝賀ホームパーティを行うことになっていた。
ハンナはパーティ用のテーブルクロスを受け取りにクリーニング店へ行き、
そこで「あの声」を聞いた。
「あの声」はテレビから聞こえていた。
画面では戦争中に死んだと聞かされていたトマシュがインタビューを受けていた――

1944年、ポーランド。
ハンナとトマシュはアウシュヴィッツ強制収容所で出会い、恋に落ちた。
政治犯として収容されたトマシュはユダヤ人よりは自由がきく立場。
とはいえ、危険な中、ふたりはむさぼるように逢瀬を重ねる。

トマシュは脱走を計画していた。
収容所の実態を撮影したフィルムを外部に届けるという任務があったからだ。
その時にハンナも伴うことを決めていた。
ハンナは妊娠していたが、それをトマシュに告げないまま、一緒に脱走することを決意。

その日、ドイツ軍の制服を身につけ、ナチス分団長になりすましたトマシュは
ハンナを囚人番号で呼び出す。
「73804番、来い!」。
うつむいたまま、トマシュの命令に従うハンナ。
出口で門番の追及をかわし、収容所を出たふたりは森に駆け込み夢中で走り続けた。

1976年、ニューヨーク。
ハンナは赤十字社に電話をかけ、トマシュの再調査を依頼。

1944年、ポーランド。
森を逃げ、農家の洗濯物を盗み、さらに逃亡するハンナとトマシュ。
森の奥でふたりは初めて肌を合わせ、愛し合うのだった。
その後、鍵をつけたまま駐車してあった車に乗り込み、逃げ続けるふたり。

1976年、ニューヨーク。
パーティの最中、客と話すハンナの眼にトマシュの幻影が。
思わず、しばらく吸うことのなかった煙草に手を伸ばすハンナ。

1944年、ポーランド。
盗んだ車の助手席で微笑みながらタバコをくゆらすハンナ。
車が着いたのはトマシュの実家。だがその家はドイツ軍に接収されていた。
納屋に身をひそめるふたり。
トマシュはハンナを婚約者として母親に紹介するが、
母はハンナがユダヤ人と知るや激しく彼女を拒絶する。

その晩、ハンナは高熱を出す。
だが、急にレジスタンスの召集がかかったトマシュは「二日で帰る」と言い残し、
ワルシャワへ旅立ってしまった。
その別れが、その後の32年の失われた時につながるとは知る由もなかった……


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ふたりの愛が芽生えた場所は確かに特殊なものではありましたが、
失われた時を求める経緯は誰にでも起こりうること。
狂気の時代を描いた歴史的な映画ではあるのですが、
その実、生を全うしようという人間の心の彷徨を描いた作品なのかもしれません。

胸にしまいこんだ重い過去も、死ぬ前には納得のいく形に清算したいな、
と150歳にもなるとしみじみ思うのであります。





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☆7月30日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆

あの日 あの時 愛の記憶
監督/アンナ・ジュスティス、脚本/パメラ・カップ、プロデューサー/スヴェン・ヴォルト、撮影/セバスティアン・エットシュミット、編集/ウタ・シュミット、音楽/ユリアン・マース、クリストフ・M・カイザー
出演
アリス・ドワイヤー/ハンナ・ジルベルシュタイン(‘44)、マテウス・ダミエッキ/トマシュ・リマノフスキー(‘44)、ダグマー・マンツェル/ハンナ・レヴィーン(‘76)、レヒ・マッキェヴィッチュ/トマシュ・リマノフスキー(‘76)、スザンヌ・ロタール/トマシュの母、ヨアンナ・クーリーグ/トマシュの義姉、アドリアン・トボル/トマシュの兄、フロリアン・ルーカス/ナチス将校、シャンテル・ヴァンサンテン/ハンナの娘、デヴィッド・ラッシュ/ダニエル・レヴィーン(ハンナの夫)
8月4日(土)銀座テアトルシネマ他全国順次ロードショー
2011年、111分、ドイツ、英語・ドイツ語・ポーランド語、後援/東京ドイツ文化センター、配給/クレストインターナショナル
http://ainokioku.jp/

by Mtonosama | 2012-07-30 05:41 | 映画 | Comments(10)
Commented by Tsugumi at 2012-07-30 17:26 x
どのような状況でも愛は不滅なんですね。。

それがどんな結果になろうとも。。
Commented by Mtonosama at 2012-07-30 20:09
♪Tsugumiさん

どんなに悲惨で、今日のこともわからないような状況下でも
人は愛し合うことができるということ・・・・・
すごいなぁ、と思いました。
Commented by すっとこ at 2012-07-30 21:44 x
ぇぇぇえええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!

2人して収容所から逃げのびたのなら
ずーーーーっと一緒に暮らしたのだと
思ってました・・・・。

そうだったのですか。

ハンナは現在のご主人に 一緒に逃げた彼のことを
話したようですね。

実際に会ったこと、を基にしたストーリーというのが
胸を打ちます。

愛って・・・。


殿様と同じ150歳なので
愛があまりに遠いのですが
いまいちど、こういう映画で味わってみたいと思います。

感動のポチッを押して帰ります。
次号UPを待っています!
Commented by Mtonosama at 2012-07-31 06:56
♪すっとこさん

お互い愛が遠いお年頃なんですね。

愛する2人が戦争によって引き離されると言うお話は
ちょっと古いところでは「ひまわり」を思い出します。
泣いて、泣いて、泣きじゃくり、眼を腫らした切ない映画でした。
音楽も良かったしね。

さて、本作。
現在の夫、困難を共にくぐりぬけた恋人・・・・・
30数年後の選択には心が千々に乱れたことでしょう。

ラストが素敵なんだよ。

今日もポチッをありがとうございました。
Commented by アイスケーキ at 2012-07-31 09:21 x
日本にも実際に「ひまわり」のような話ありましたね。日本で彼の妻が待っているのを知ったロシア人の妻?は彼に帰国をすすめます。 帰国して再会をはたす二人。実写フィルムを見て泣きました。 そしてロシアから彼女を招待して三人で抱き合って泣いてる姿。私も又泣きました。それにしても こんな悲劇を生み出す戦争。 二度としてはいけませんね。
Commented by Mtonosama at 2012-07-31 09:57
♪アイスケーキさん

戦争がある限り、そういう話は繰り返されるのでしょうね。

この映画は1944年と1976年がお菓子のミルフィーユの
ように重なり合ってラストに至ります。

ラストシーンが含蓄深いんですよ。良い映画でした。
Commented by poirier_AAA at 2012-08-01 00:54
一緒に逃げられたのに、その後離ればなれになってしまったのですか。運命は苛酷ですね。

過去を清算すると言うけれど、清算できるような過去なんて実はほとんどないのかもしれません。もつれあった糸、ぷつんと切れて行方がわからなくなってしまった糸、ほどいた方がいい、ほどけると頭では判っていてもほどきたくない糸、そんなものをいくつも抱えたまま人は生きて死んでいくのかもしれません。過去に途切れた糸と再開したこの女性は、どんな風にその先を生きたのでしょうね。機会があれば観てみたい作品です。
Commented by Mtonosama at 2012-08-01 10:10
♪poirier AAAさん

実は、最近、私にも過去を清算するできごとがありました。

もうずっと、この過去を抱え込んだまま死んでいくのか、
と思っていましたが、なぜかその時代の人々と数百年ぶりに
邂逅する機会があったのです。

この映画は二人が出会う寸前で終わっています。
でも、二人のにこやかな笑顔がこれから先のことを暗示して
いるようでした(もちろんどうなるかはわかりませんが)。

Commented by Tsugumi at 2012-08-07 13:13 x
今ドイツに滞在し、まだまだ残る戦争の爪痕に心いたみました。
しかし私の出会ったドイツ人には陽気な人が多くとっても親切な人が多かったです。
やはり戦争というのは狂気の世界。。人間はそんな状況をも乗り越える力をもっている。。

素晴らしいですね。

ドイツ映画というと何となく敬遠していたけど、今回の訪問でもっとみようと心に決めました。
Commented by Mtonosama at 2012-08-07 14:11
♪Tsugumiさん

ドイツですか。ドイツのどちらにいらしたのでしょう。
ビールはたくさんお飲みになりましたか?
ドイツでも当試写室にお立ち寄りいただいてありがとうございます。

私はドイツではダッハウ収容所に行きましたが、
そういった戦争の負の遺産にはいまだに行き場を失くした霊
が漂っているような気がします。

ドイツ映画ですが、近々楽しい映画を当試写室で上映する
つもりです。
ドイツ映画好きになっていただけたらお仲間が増えて嬉しいです♪

by Mtonosama