三姉妹 ~雲南の子 -1-
三姉妹
(C)ALBUM Productions, Chinese Shadows
数年前、中国を訪れました。
九寨溝に行く途中のことだったと思います。
三蔵法師ご一行が歩いたような風景の中を進むバスの窓から、
いくつかの穴をうがった岩山が見えました。
ガイドさんは「あの穴に住んでいる人たちがいるんですよ」と説明してくれました。
この荒野に入る最後に見た街が、煌びやかな上海だったこともあって、その落差に驚きました。
中国では、行くたびになにかしらのカルチャー・ショックを体験させられます。
しかし、この映画では更に驚かされました。
2年前、当試写室で上映した「無言歌」の王兵(ワン・ビン)監督の
http://mtonosama.exblog.jp/16898004/ http://mtonosama.exblog.jp/16910634/
最新ドキュメンタリー映画「三姉妹 ~雲南の子」のことです。
雲南といわれて連想するのは、
昆明、麗江、鄙びた街の風情、トンパ文字、少数民族のあでやかな衣装――
そんなイメージが先行し、一度行ってみたいものだと憧れていました。
本作「三姉妹 ~雲南の子」が撮影されたのは雲南省の海抜3200メートルに位置する
洗羊塘(シーヤンタン)村というわずか80戸の家族が暮らす寒村。
中国で最も貧しい地域のひとつです。
雲南省はここ10数年の間に開発が推進されていますが、
洗羊塘村は高地のため、インフラも整備されず、電気が通ったのも中国で一番遅かったという村。
3200メートルという高地ゆえ、ジャガイモだけが、収穫できる唯一の食物です。
村の真ん中には、この近辺の唯一の飲み水である小さな川が流れ、
ジャガイモを植えたり、わずかばかりの家畜を放牧するくらいしか産業はありません。
何千年も前からほとんどその暮らしは変わっていないように見えます。
もちろん空気はきれいですし、山々も雄大です。
聞こえる音は吹き抜ける風の音くらいのもの。
環境破壊もなく、なにもかも昔のままが良いというなら、最高の土地でしょう。
しかし、壮大な自然は人を拒むものです。
雲南では、高地に暮らす人々の貧困を解決するため、低地への全村移住計画が進められています。
洗羊塘(シーヤンタン)村も既に移住が決まっているのですが、
どこへ、いつ、移住するのかは誰も知らされていません。
本作で描かれるのは
10歳のインイン(英英)、6歳のチェンチェン(珍珍)、4歳のフェンフェン(粉粉)の三姉妹。
姉妹ですから女の子です。
おねえちゃんのインインは女の子に見えますが、下の二人も女の子なんですよ。
でも、中国は一人っ子政策をとっているのに三姉妹って?
農村部や少数民族の地域では例外もあるということ。
漢民族の伝統に従うと、男子が親の面倒を見ることになるので、
特に農村部においては、労働力として、また、家の跡継ぎとして男児の出産を希望する農民が多いのです。
(革命を経てなお、このような考えが根付いているというのは!)
この三姉妹の家でも、上2人が女の子だったので、3人目こそは男子を、と願ったのに
またも女の子が生まれたということなのでしょう。
一人っ子政策の国に生まれた三姉妹。
さあ、この子たちはいったいどんな生活を送っているのでしょうか。
続きは次回に。
しばしお待ちくださいませ。
続
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☆5月11日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆
三姉妹 ~雲南の子
監督/ワン・ビン、撮影/ホアン・ウェンハイ、リー・ペイフォン、ワン・ビン、録音/フー・カン、編集/アダム・カービー、ワン・ビン、製作/シルヴィー・ファグエ、マオ・ホイ
5月25日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードーショー
仏・香港合作、2012年、153分、配給/ムヴィオラ、字幕/樋口裕子、http://moviola.jp/sanshimai/
まさにすっとこの孫と同じ年まわりの3姉妹!
(もうひとり下にいるけど)
屈託のない笑顔を見ると、果たしてこの子らを
見たこともない街へ移住させるのがしあわせなこと
なのかどうか、と思ってしまいます。
ドキュメンタリーですから脚色のないできごとが
そのまま描かれるのでしょうね。
しかし高度3000メートルを超える場所で毎日を
暮らしているとは。
心肺機能強いだろうな、と思ってしまうのは
いまや都市生活者となってしもうたかつての野性児の
自分勝手な呟きであります。
この子たちに幸あれ、のポチッを。
そっか、すっとこさんのお孫さんと同じ年頃ですね。
小さな妹たちはなんでも楽しくてニコニコ笑っていますが・・・
留まることも苦、移住も難。
貧困という言葉の意味が鋭く胸をえぐります。
あ、暗くなりそう(/_;)
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