もうひとりの息子 -1- Le fils de l’Autre
Le fils de l’Autre
(C)Rapsodie Production/ Cite Films/ France 3 Cinema/ Madeleine Films/ SoLo Films
先月、当試写室で赤ちゃん取り違えを題材にした「そして父になる」を上映しました。
でありながら、
再度同じ赤ちゃん取り違えを中心に据えた作品「もうひとりの息子」を上映いたします。
前回上映したのは日本人同士の赤ちゃん取り違え事件でしたが、
本作ではなんと“敵”の赤ちゃんが戦乱に紛れて取り違えられてしまったというもの。
そして18歳になるまで育てられていたというのです――
日本とフランスで奇しくも同じ題材を取り扱っています。
しかしながら、まったく違う作品にしあがっていますので、
どうぞじっくり味わっていただきたく存じます。
「もうひとりの息子」
2012年東京国際映画祭でグランプリと監督賞を受賞した作品であります。
テルアビブに暮らすフランス系イスラエル人の家族。
その18歳の息子が兵役検査を受けた結果、判明した驚くべき事実。
それはその子がイスラエル人家族の実の子ではなかったということでした。
18年前の湾岸戦争の混乱の中、出生時の病院で起きた赤ちゃん取り違え。
その事実は相手側の家族にも知らせられます。
そして、その家族はヨルダン西岸地区に暮らすパレスティナ人――
壁と銃で分かたれた民。
“敵”同士の赤ちゃんが取り違えられて、18年間育てられていたのです。
分離壁。
そこではイスラエル兵が銃をもって警戒し、
壁の内側へ向かう人々、そして、出てくる人をチェックしています。
人々を隔てる高い壁が威圧的にスクリーンを横切ります。
非常に政治的な映画であります。
壁の高さも大きさも絶望的です。
それは・・・
ちょっとどうよ。
子どもの取り違えったって、あまりにもすごすぎる設定じゃない?
本作の監督はロレーヌ・レヴィ。フランス人の女性監督です。
ある日、彼女のもとに送られてきた一本の物語を読んで、
長年抱き続けてきた問題をそこに見出しました。
それは
《人が生きてきた場所がその子ども時代や親と子の関係にどう繋がってくるのか》
という問題――
イスラエル人でもパレスティナ人でもない監督。
彼女はこの大変な設定の映画を撮るのに必要なのは個人の物語をつくることだと
腹を括りました。
監督は、映画の準備段階でイスラエルに行って、
脚本の多くの点が現実に対応していないことに気づきます。
映画にとって重要なのはその場所で暮らすことによって知る些細な事柄だと信じる彼女。
レヴィ監督は一旦脚本から離れ、現実に即した内容に作り変えていきました。
イスラエルのユダヤ人、イスラエルに暮らすパレスティナ人、西岸地区のパレスティナ人
で編成されたスタッフの意見を取り入れ、脚本を作りなおしました。
実際に起こりうること、というリアリティにこだわって映画を撮り続けたのです。
ユダヤ人とパレスティナ人の赤ちゃんが取り違えられたら――
取り違えそのものはまったく無いことではありません。
しかし、こんなありえない状況での取り違え事件を映画にしたら
いったいどんなことになるのでしょう。
続きは次回で。
乞うご期待でございます。
続
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☆10月8日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆
もうひとりの息子
監督/ロレーヌ・レヴィ、脚本/ナタリー・ソージョン、ロレーヌ・レヴィ、ノアム・フィトシ、原案/ノアム・フィトシ、撮影監督/エマニュエル・ソワイエ、製作/ヴィルジニー・ラコンプ、ラファエル・べルドゥゴ
出演
エマニュエル・ドボス/母オリット、パスカル・エルベ/父アロン、ジュール・シトリュク/息子ヨセフ、マハディ・ザハビ/息子ヤシン、アリーン・ウマリ/母ライラ、ハリファ・ナトゥール/父サイード、マフムード・シャラビ/兄ビラル、プリュノ・ポダリデス/医師ダヴィッド、エズラ・ダカン/ユダヤ教のラビ
10月19日(土)シネスイッチ銀座他全国順次ロードショー
2012年、フランス映画、105分、フランス語、ヘブライ語、アラビア語、英語、協力/ユニフランス・フィルムズ、配給/ムヴィオラ、http://www.moviola.jp/son/
ちょうど今、憎悪に関する本を読んでおりまして、イスラエル人とパレスティナ人の確執についての章もあり、この映画は是非みてみたいと思いました。
ところで、当方のブログから殿様のブログにリンクをはらせていただきました。
次回の記事で、ひかちゃんを紹介させていただく予定です!
よろしくお願いいたします!!
重たいテーマですね・・・。
我々日本人には伺い知れない過去が歴史が
あるのでしょう、この2国の間に。
そんな中、素晴らしいと思ったのは 監督がいったん
書きあげた脚本を、現地取材によって描き直していった、
ということです。
ハリウッド映画なんかだといまだに”間違ったジャパン”
な景色や着物の着方なんかがありますものね。
こういう映画は機内映画でとりあげにくいと思うので
(いろんな国の人が乗ってるから政治的配慮とかで)
この殿さま試写室でしかみることができません。
もっぱら機内映画派でトホホ。
次回のストーリー期待でポチッ!
そうなんです。ありえないよ~、と思ってしまった程深刻なテーマでした。
西岸地区の景色がとても重かったです。
リンクをはっていただき、光栄です。
それにしてもひかちゃんのようなヤンキー猫をご紹介してい
ただいてよろしいのでしょうか^_^;
でも、本心はとっても楽しみです♪
無事、到着なさいましたね。
今回の機内映画は何本?
いや~、ホントに重たいテーマです。
しかし、「そして父になる」でも、本作でも、母は強い。
おとうちゃんたちのだらしなさに較べて、母はなんと偉大で
ありましょう。
今日もポチッをありがとうございました。
しっかり疲れを癒してくださいね。
はじめまして。紀平と申します。
私は現在「映画ベース」という映画のレビューサイトを開発しており、
是非、映画に関心のある方からの映画のレビューや、
サイトをご利用頂いてのご意見やご感想などを頂きたいと思っております。
「映画ベース」
http://kota.lolipop.jp/eigabase/
たくさんの方からのレビューが集まり、
そして数々の映画の中から面白い映画を見つけられるサイトに
何としてもしていきたいですので、
是非一度サイトにお越し頂き、ご利用をご検討頂けないでしょうか?
突然の勝手なお願いではありますが、
どうかよろしくお願い致します。
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// 映画ベース
// http://kota.lolipop.jp/eigabase/
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// 紀平 光太
// kihira@kota.lolipop.jp
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イスラエル人もパレスチナ人も同じ産院にいられたのでしょうか。
イスラエル・パレスチナの争いは 聖書の時代からの歴史を知らないと理解できないそうですが、
それプラス 赤ちゃん取り違え、18歳に成長した青年・・・。
難しい問題 山積ですね。
これを監督はどのように料理するのかな。
次回ストーリー待ってます。