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殿様の試写室

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カプチーノはお熱いうちに -2- Allacciate le cincture


カプチーノはお熱いうちに
-2-
Allacciate le cincture


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(C)2013 All rights reserved R&C Produzioni Srl - Faros Film


イタリア人も、日本人も、どこの国の人でも、
人は思いがけない相手と恋に落ちてしまったりします。
「え~っ!全然タイプじゃないのに」
という人を好きになってしまうのだから
人生ままならぬものです。
相手に夢中なうちは良いけれど、
ハッと我に帰った時「なんだってこんな男(女)と――」と思ったってもう遅い。

本作の主人公もそうなんです。
カフェで働くエレナは雨のバス停で口げんかした野卑な男アントニオと
恋に落ちてしまいます。

でも、この口げんかまでのイントロがとても素敵なんです。
石畳に激しくしぶく雨の中を歩く人々の脚から映画は始まるのですが、
石畳、激しい雨、急ぎ歩く脚――
観客の視線を雨脚につれて誘い、次第に期待感へと高めていきます。
ちょっと昔のフランス映画みたいでとても洒落ています。

美人で、気は強いけれど、案外うぶなエレナ。
マッチョで、人種差別主義者で、粗野なアントニオ。
まったく不釣り合いな二人です。

さあ、こんな二人の恋の行方は?

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ストーリー
エレナは親友のシルヴィア、ゲイのファビオとカフェ”タランチュラ“で働いている。
ある雨の日のバス停。
エレナはバスを待つ客同士の言い争いに巻き込まれる。
口汚く老女や移民を罵る乱暴な男アントニオに勝気なエレナは激しく言い返すのだった。

数日後、恋人のジョルジョとパーティに出たエレナはアントニオと再会する。
彼は親友シルヴィアの恋人だったのだ。
談笑中、アントニオに会社から電話が。
皆が見ている中で下品な言葉遣いで応対するアントニオ。最悪だ。
エレナもファビオも、シルビアに「あんな男と交際するのはやめろ」と忠告。
でも、シルビアはきかない――

そんな中、いつか自分のカフェを持ちたいといっていたエレナに一大転機が訪れる。
ファビオがすごい物件をみつけてきたのだ。

開店準備をしているエレナのところにアントニオが現れる。
「俺が嫌いなんだろ?」そんなアントニオを無視して作業を続けるエレナ。
コーヒーマシンを組立ながら、アントニオに説明書を読んでくれるよう頼んだエレナは
彼が識字障害者であることを知ってしまう。
それ以来、度々カフェにやってくるアントニオが気になって仕方ない。
でも、アントニオは親友の恋人だし、生き方も性格も自分とは正反対。
どうにも気持の整理がつかないエレナだった。

一方、新しいカフェ”ガススタンド“の準備は着々と進んでいた。


13年後、多くの人で賑わう”ガススタンド“。
皆に囲まれて13周年を祝うエレナとファビオ。
事業の拡大をファビオに持ちかけるエレナはもうすっかり企業家の顔だ。

仕事を終え、子どもたちを預けていた母の家に寄り、自宅に帰るエレナ。
酒瓶が林立するリビングを抜け、寝室に向かうと、
夫アントニオがいびきをかいて眠っている。
翌日、アントニオが公共料金を払い忘れたことで始まった夫婦喧嘩。
「何から何までやるのはもうたくさん!」と怒るエレナに
「くたばれ!」とアントニオ。
ああ、恋に落ちた男女も10数年を過ぎれば――

ある日、叔母に誘われスパに行き、その後、乳ガン検診を受けるエレナ。
だが、軽い気持で検診を受けた彼女にガンが見つかった。
”カフェ・ガススタンド“でアントニオ、ファビオ、母、叔母に結果を伝えるエレナ。
ショックを受け、無言でカフェを出て行くアントニオ。

化学療法を受けるため通院しながら仕事も家庭もこなそうとするエレナ。
子どもたちも寝静まった夜。話したいことも話せない不器用な二人。
ある日、無理がたたったエレナは店で倒れ、そのまま入院することになってしまった……

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イタリア式恋愛映画と思いきや、
これじゃあ日本の不器用な中年、初老、あるいは老夫婦と同じではありませんか。
腹筋が横に割れていたアントニオのお腹も、13年も経てば見事に出っ張り、
おつむの方も何やら寂しげになっていますし。
(実際、アントニオ役のフランチェスコ・アルカは撮影のために13キロ太ったんですって)

恋愛なんて人生のはしかみたいなもの。
歳をとれば忘れてしまうものかもしれませんが、
案外なにかをきっかけにボッと発疹が現れることもあるのか・・・な?

仕事も家庭も何もかも背負い込んでしまうエレナだけど、
彼女の周囲には味わい深い人達がいっぱい。
家族や古い友人、入院中に出会った友人。
そんな人々を通じて夫への想いも生き方も穏やかになっていけたエレナです。

恋愛映画でもあり、家族愛の映画でもあり、
あの時ああしていればなぁ的青春物語でもあり、
ジャンルを決めるのは難しいけれど、
でも、心にしみる映画でした。





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☆9月22日に更新しました。皆さん良いお休みをお過ごしでしょうか?☆

カプチーノはお熱いうちに
監督・原案・脚本/フェルザン・オズぺテク、原案・共同脚本・製作/ジャンニ・ロモリ、製作/ティルデ・コルシ、撮影/ジャン・フィリッポ・コルティチェッリ
出演
カシア・ムストゥニアク/エレナ、フランチェスコ・アルカ/アントニオ、フィリッポ・シッキターノ/ファビノ、カロリーナ・クレシェンティーニ/シルヴィア、フランチェスコ・シャンナ/ジョルジョ、カルラ・シニョーリス/アンナ(エレナの母)、エレナ・ソフィア・リッチ/カルメラ、ヴィヴィアナ、ドーラ(エレナの叔母)、パオラ・ミナッチョーニ/エグレ(病室の友人)、ルイーザ・ラニエリ/マリクラ(美容室の店主)、ジュリア・ミケリーニ/ディアーナ(エレナの担当医)
9月19日(土)よりシネスイッチ銀座ほか全国順次ロードショー
2014年、イタリア、112分、カラー、字幕/関口英子、配給/ザジフィルムズ、後援/イタリア文化会館
http://www.zaziefilms.com/cappuccino/

by Mtonosama | 2015-09-22 05:50 | 映画 | Comments(2)
Commented by ライスケーキ at 2015-09-24 20:48 x
「全然タイプじゃないのに、好きになる」って事あるんですか?

理想と現実の違い?

タイプの人ってあまり現れませんものね。
現れても相手が振り向いてくれなかったり、
こちらが「No, thank you.」って事もあるし・・・。

それでも、夫婦になると 何とかやっていくものです。
夫婦って 面白いものですね。
Commented by Mtonosama at 2015-09-25 06:52
♪ライスケーキさん

ほら、アバタもえくぼっていうじゃない?
あ、ひかちゃんが乗り移ってしまったままだわ。

恋は盲目っていいますもの。

ああ、かつては「この人こそ」ってお方もいたのに、
そういう方からは決して振り向いてはもらえないんです。

夫婦?
あたしは面白くないわ。

あ、いけない。まだひかちゃんがいた。

by Mtonosama