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殿様の試写室

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裸足の季節 -2- MUSTANG


裸足の季節
-2-
MUSTANG

裸足の季節 -2- MUSTANG_f0165567_5352384.jpg

© 2015 CG CINEMA – VISTAMAR Filmproduktion – UHLANDFILM- Bam Film – KINOLOGY


トルコ人の名前は難しいので、最初に登場人物をご紹介しますね。
しっかり者で要領も良い長女ソナイ。
次女セルマは活発だけれど、間が悪かったためにイヤな思いをさせられます。
花が咲きそめたばかりのように初々しい三女エジェは運命を受け入れ――
まだまだ子どもの四女ヌル。
幼な顔ながらなかなか行動派の末っ子ラーレ13歳。

三女エジェ以外は演技未経験。
でも、皆さまざまな困難や屈辱的な状況に立ち向かう姉妹を
ふざけあう仔犬のように、
あるいは、酸いも甘いも噛み分けたおばさんのように
あるいは、等身大の思春期の少女のように
いきいきと演じています。

ストーリー
学期末、ラーレの大好きなディレッキ先生がイスタンブールの学校に異動になった。
4人の姉達はしょげかえるラーレを励ましながら下校。
帰り路、浜辺で男子生徒達と騎馬戦をして遊ぶ。
男子生徒の肩に乗り、キャーキャーとはじける五人姉妹。

ところが、帰宅後、恐ろしい顔をして待ち構えていた祖母から激しい折檻を受ける。
「男達の首にまたがるなんて、ふしだらなことをするからよ!」
隣家の主婦が祖母に告げ口をしていたのだ。

その晩、帰宅した叔父のエロルは怒り狂い、
既に姉妹は「キズもの」にされたのではないかと疑う。
そして、姉妹を病院に連れていき、処女膜検査を受けさせるのだった。
純潔が証明され、帰宅した姉妹に祖母がいう。
「少しでも疑わしければ結婚できないんだからね!」
女の価値は純潔にこそあるのだという。

この日以来、外出を禁じられ、家に閉じ込められる姉妹達。
いまどきの洋服や化粧品はすべて捨てられ、
携帯電話やパソコンは没収、戸棚へ入れて施錠された。
そんな彼女達を待ち受けていたのは
地味な洋服、料理や掃除の花嫁修業。
花嫁としての必須事項を村の女達が毎日教えにくる。
なんと憂鬱な日々。

大のサッカーファンである五女のラーレはスーパーリーグに行きたい。
叔父に頼んではみたが、
「男だらけのサッカー場に女が行くだと?」と一刀両断。
だが、リーグが目前に迫ったある日のこと。
ファンの暴動により、男性客の試合会場への入場が禁止され、
女性客のみ入場できることに。
それでも叔父は許してくれない。

どうしてもサッカーを観たいラーレ。そして、とにかく外へ出たい姉達。
祖母の目を盗んでこっそり家を抜け出す。
通りかかったトラックに乗せてもらい、無事サッカー観戦。
ところが、この日を境に姉妹達の運命は急展開――

祖母は姉妹達を花嫁候補として村人達に品定めをさせ、
家には二度と表に出られないよう厳重な柵が取り付けられた……

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なんでもかんでも性に結びつけて曲解する祖母、叔父、村人達のいやらしさ。
そのくせ、女にだけ純潔を押しつける頑迷さ。

天真爛漫に少女時代を送っていた姉妹達がある日を境に
二百年前に戻ったかのような籠の鳥に。

ボーヴォワール女史の言う如く
周囲によって無理矢理旧来の女性像へと造り変えられてしまうのか――

確かに、情況に抗いきれず三女は死を選び、
次女は初夜の床で処女の証が認められなかったからと
病院で検査を受けさせられます。
義父などは銃持参で病院についてくるんですよ。
長女はうまく立ち回り、叔父の決めた見合い相手ではなく
自分の彼氏との結婚を果たしますが。

大きい姉達の運命を目の当りにし、
知恵と勇気をしぼり、未来を求めて
1000km先のイスタンブールへ旅立つ四女と末っ子。

痛快なテンポで繰り広げられるガールズアドベンチャーです。

フフ・・・
旧態然たる祖母、叔父、村人たちよ。
あんたたちの思い通りにはさせないよ。

ああ、面白かった!





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裸足の季節
監督/デニゼ・ガムゼ・エルギュヴェン、脚本/デニゼ・ガムゼ・エルギュヴェン、アリス・ウィノクール、撮影/ダーヴィッド・シザレ、エルシン・ギョク、音楽/ウォーレン・エリス、製作/シャルル・ジリベール、共同製作/フランク・ヘンチキ、アンニャ・ウーラント、ミネ・ヴァルグ
出演
ギュネシ・シェンソイ/ラーレ、ドア・ドゥウシル/ヌル、トゥーバ・スングルオウル/セルマ、エリット・イシジャン/エジェ、イライダ・アクドアン/ソナイ、ニハル・コルダシュ/祖母、アイベルク・ペキジャン/エロル
6月11日(土)より、シネスイッチ銀座、YEBISU GARDEN CINEMA他全国順次ロードショー!
2015年、フランス=トルコ=ドイツ、94分、提供/ビターズ・エンド、サードストリート、配給/ビターズ・エンド、日本語字幕/大西公子、字幕監修/野中恵子
http://www.bitters.co.jp/hadashi/

by Mtonosama | 2016-06-07 05:53 | 映画 | Comments(12)
Commented by poirier_AAA at 2016-06-07 21:21
この映画、評判が高いことは聞いていたのですが観に行くタイミングを逃してしまったんです。あぁ、なんとしても行っておくんだった。

しっかし、腹立ちますね。
父親もひどいと思うけど、もっと酷いと思うのは同性の祖母とか母とか村の女たちです。自分たちだって嫌だったはずのことを若い世代にも同じように押し付けようとするなんて。
そりゃあ宗教とか慣習とかいろいろあるから歯向かうのは難しいのかもしれませんけどね、でも女が女をいじめてどうするよって話ですよ。

こんな生き生きした子たち、幸せになってほしいです、ほんとに。
Commented by Mtonosama at 2016-06-08 05:49
♪poirier AAAさん

やっぱりフランスでは評判が高かったんですね。
ホント、Mustangのごとく元気いっぱいの少女達には
映画を見ながら、がんばれ!がんばれ!と心の中で声援していました。

騎馬戦ごときで産婦人科へ連れて行く叔父さんって・・・

その昔、希望大学を全部落っこった従弟の父親、つまり、叔父ですけど、私に「女が大学行ったって意味ないだろう」と言う言葉をやっかみ半分で投げつけてきました。

どこの国もいつの時代もこういう差別発言はあるんですね。
現代の若いMustangたちには頑張ってほしいです。

150歳の老馬はしっかり見守ってますよ(^^)/
Commented by ライスケーキ at 2016-06-09 22:24 x
これ、現代のトルコの話?
男子生徒と騎馬戦やっただけで、
こんな事になっちゃうの?

トルコの人、日本に来たら
ぶったまげるわね。
小学校で、男女混合で騎馬戦やってるもの。
女子が男子をなぎ倒したりしてるから、
「男子頑張れー」と、言いたくなっちゃう。

トルコみたいな、男性社会も困るけど、
「草食男子」ばかりになったら、それも困るね。
男性も女性も、互いを尊重して、
自由に生きられる世の中。
彼女達はどんな社会を目指すのでしょう。



Commented by Mtonosama at 2016-06-10 06:15
♪ライスケーキさん

へえ、騎馬戦では男子が女子になぎ倒されてるの!?
小学生高学年は女子の方が圧倒的に身体も大きいものね。

トルコはイスタンブールあたりの都会では違うんだろうけど、
この映画の舞台の田舎町では昔ながらの考えが根強いのでしょうね。

この映画の末っ子は頑張れると思いますよ。
痛快な映画でした。
Commented by すっとこ at 2016-06-10 07:21 x
うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

すっとこも「これって現代の話?」と
思ってしまいましたが。

自殺を選んだ子もいたのですね。
なんてこったい。

でも四女と五女は どうやら自由目指して
走り出す模様!

しかし皆んな美しいなぁ。
この子達が村の老婆のようになるのだろうか。

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Commented by Mtonosama at 2016-06-10 09:36
♪すっとこさん

トルコとかレバノンとか中東の人ってきれいだよねぇ。
羨ましいねぇ。

この監督さんも美人だよ。
ああ、こんなにはっきりした目鼻立ちを持ちたかったなぁ。

がーんーばー!のポチッをありがとうございました。
Commented by kogarinta at 2016-06-15 12:43
こんにちは。
私はこの作品は割とすっきりしなかったクチでした。
(理由は弊ブログに記載してあります)。
ちょっと私の中で、トルコのや中東のネガティブキャンペーン的なポジションになってしまいました…風景と五人姉妹はすごーく綺麗なんですけどね…。
Commented by Mtonosama at 2016-06-16 09:09
♪kogarintaさん

ネガティブ・キャンペーンですか。
末っ子が先生の家に辿りついた後に一抹の不安を感じつつも
彼女はきっと何かをやってくれるだろう、と希望も感じました。

たしかに激しすぎる男尊女卑ではありましたね。
トルコの片田舎ではあんなふうなのでしょうか。
でも、数十年前の日本もそうでした・・・


Commented by kogarinta at 2016-06-16 09:41
こんにちは。
数十年前の日本…そうですね。いや、今でも実際に外的要因で閉じ込めることはなくても、違う形で女性を閉じ込めている場所は日本にもまだまだあると思います。
五人姉妹「全員」が幸せになれると良かったなぁ…。
Commented by Mtonosama at 2016-06-17 09:13
♪kogarintaさん

本当にそうですね。

五人姉妹があのおばあさんや近所のおばさんみたいじゃないおばちゃんになったらいいのに。
Commented by kogarinta at 2016-07-02 18:47
こんにちは。
大変大変遅ればせながら、「明日の空の向こうに」の情報をありがとうございました、のお礼を言いに伺いました。
ポーランドの作品なのですね。ポーランドとロシアの関係性って…現代史って厳しいですね。
ホント、末っ子君、きゅんきゅんしちゃいますねぇ。
Commented by Mtonosama at 2016-07-03 05:49
♪kogarintaさん

お、ご覧になりました?
いいでしょ?
悲惨な状況なのに、それを感じさせない子どもたちの冒険映画♪
もう一度観てみたくなりました。

by Mtonosama