ラサへの歩き方 祈りの2400km -1- Paths of the soul
ラサへの歩き方
祈りの2400km
-1-
Paths of the soul
9年前にチベットを訪れて以来、常にこの地を恋し続けているとのです。
実は、9年前どころか100数十年前の小学生の頃から憧れていました。
―当時の子どものお楽しみ番組『ポパイ』(日曜夜7時)で初めてチベットを知りました―
念願かなって9年前にラサの地に降り立った時は、
心が躍ったものです。
そして、たまたまバスの中から
五体投地しながら道路を進んでくる一団を目にした時、
この人達はなぜこのように苦しい祈りをするのか、
現世にそれほど絶望しているのだろうか、
と驚きました。
彼らは身体の前面を覆う皮のエプロンをまとい
両手には板きれをつけ、
硬いコンクリートの地面に
身を投げ、身を投げしながら、進んでいるのでした。
――――
本作『ラサへの歩き方』は中国四川省国境に近いチベットの小さな村から
聖地ラサを経てインドに近いカイラス山までの2400kmの道のりを
巡礼する村人たちの道中を描いた壮大なロードムービーです。
究極のロードムービーと言ってもいいかと思います。
カイラス山は標高6656mの未踏峰。
チベット語ではカン・リンポチェといいます。
神々しく、美しい山ですね。
未踏峰というのは、カン・リンポチェは信仰の山であるため
登頂許可が下りないからなのです。
伝説では聖者ミラレバが登頂したということになっています。
主峰は本尊。
周囲の山々は本尊を取り囲む尊格と見立てられ
この地の巡礼は曼荼羅図をイメージして行なわれるのだといいます。
映画とは関係ありませんが、
そんな聖なるカイラス山を通る自動車専用道路の建設が
中国政府によって計画され、
現在その中止を求める運動が国際的に展開されています。
監督はチャン・ヤン。
北京の胡同を舞台にした『こころの湯』(‘99)
『胡同のひまわり』(‘05)の監督です。
最初、中国人監督によるチベット映画と知り、
「どうしたもんじゃろのお」
と悩みました。
だって、ダライ・ラマやチベット仏教を目の敵にする
中国がこのような作品の上映を許可するでしょうか。
『こころの湯』も『胡同のひまわり』も
心温まる映画でした。
良い人ばかり登場する映画でした。
この手の作品を手掛けてきた中国人監督が
あまりにヘビーな五体投地をどのように捉えるのか、
映画を観て失望させられるのはなあ・・・
怖さの方が勝つ思いを抱きつつ鑑賞しました。
チャン・ヤン監督、
Warm @ heartなだけじゃありませんでした。
一見ドキュメンタリー作品を思わせるシビアな映像ながら
実は本作はフィクションであります。
この作品、監督の転機となるかもしれません。
ドキュメンタリーを思わせるのは
本作に出演する人々がすべて
実際にチベット自治区マルカム県プラ村に暮らす農民たちで、
実際に自分自身と重なる役柄を演じているから、です。
そして、フィクションであるというのは
五体投地を最高の光の中で撮影するため、
前へ進んだり、後戻りしたり、を何度も繰り返すという演出を施したから。
実際、撮影したい対象が思い浮かばない時には数日撮影を休み、
巡礼者たちとおしゃべりしたりすることもありました。
監督はまた
おおよそのプロットと人物設定について
長い時間をかけてプランを練っていました。
巡礼の途中で死を迎える70~80歳の老人を出演させる。
巡礼の途上で出産する妊婦。
多くの殺生を行なったため、罪滅ぼしをしたいと願う家畜解体業の男。
7,8歳の女の子。
16,17歳の若者。
そして、50歳くらいの男に巡礼のかじ取りをさせる・・・
そんな人物設定とプロットを作ってはいました。
が、しかし、
プロットの根幹には、赤ちゃんが生まれ、老人が亡くなるという
生と死の対比がしっかり存在しました。
脚本はありません。
なんといっても
圧巻なのは五体投地です。
最後に大まかな五体投地のルールをお伝えします。
1.合掌
2.両手、両膝、額を大地に投げ出しうつ伏せる
両手、両膝、額で五体です。
3.立ち上がり、同じ動作を繰り返す
4.中断したら、戻って同じ場所から始める
決してズルをしてはいけません。
5.他者のために祈る
さあ、続きは次回まで乞うご期待でございます。
続
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☆7月15日に更新しました。いつも応援してくださって本当にありがとうございます☆
ラサへの歩き方 祈りの2400km
監督/チャン・ヤン、撮影/グォ・ダーミン、編集/ウェイ・ロー、音声/チャオ・ナン、ヤン・ジャン、プロデューサー/チャン・ヤン
出演
ヤンペル、ニマ、ツェワン、ツェリン、セパ他
7月23日(土)シアター・イメージフォーラム他全国順次公開
2015年、115分、中国、チベット語、字幕/樋口祐子、配給/ムヴィオラ
http://www.moviola.jp/lhasa/
そんなのにチベットなんて出てきましたっけ?
私もこの「ポパイ」はよくみてましたが、それ以上に強く
印象に残っているのは、スポンサーが不二家でそのコマーシャルです。不二家本店(銀座?)にええとこの坊んと嬢が
日曜日に家族でお出かけ着を着て行くのです。そしてお店で
パフェやサンデーをこれでもかと食いやがって、いえ、召しあがって、それがうらやましくて、いつか自分も東京の不二家に
食べに行くのだと憧れて見ていたのであります・・・なんてセコイ(;_:) 殿様の夢となんという違い(>_<)
話がそれまくっとりますが、「五体投地」て初めて聞く言葉。
何のために?完全な帰依のため?出産までしながら、この修行
(と言っていいのか)を続けて行くというのは何で?昔昔の話ならあり得るかもだけど、現代でも何で?と???だらけです。
分かっていた結果とは言え、なえは萎えました。テロが頻発し、世界も狂ってきている。悪夢のような世の中になっても生きていくしかないですね。
そうです。♪ポッパイ ザ セーラーマン ポッポー♪のポパイです。日曜日の午後、親が「おでかけするよー」などというと「7時までには絶対帰るんだからね」と念を押してからでかけた威張った子どもでした。
チベットね、出てきたんですよ。人とは思えないヘンなものが高い山をズンズン登っていくんです。アメリカ・アニメだからアジア系のものへの認識は非常にザツでしたよね。
でも、山奥に暮らすチベット人になぜか幼いとのはひきつけられてしまったんですわ。勿論、ポパイでは五体投地は出てきませんでした。
CMを覚えていられるのですか?ペコちゃんとポコちゃんくらいしか覚えていませんが^_^;
いや、次から次へといろんなことが起こります。もう旅は幼い頃への時間旅行しかできないのかな・・・
100mやるのも大変そう。
まさか、祈りの道2400kmを全て
五体投地で進むんじゃないでしょうね。
一生かかっても巡礼が終わりそうにない。
世の中テロだの、クーデターだの
想像もしないことが起こる。
日本は今の所 一応平和だけど、
皆が安心して暮らせる世のが
いつまでも続きますように。
ノホホンとポパイを観ていた
子供のころが懐かしい。
身体が丈夫でないとできない祈りですよね。
本作でも妊婦さんとおじいさんはやっていませんでした。
五体投地は大変ですが、一回の投地で進む分は歩幅よりは大きいですから。
でも、突然、自動車道で目にするとかなり衝撃を受ける祈りです。ポタラ宮やジョカン寺の前でも皆さん五体投地をしていらっしゃいますが、荒野を進む五体投地は荘厳といってもいいほどでした。