彷徨える河 -2- El abrazo de la serpiente
彷徨える河
-2-
El abrazo de la serpiente
(C)Ciudad Lunar Producciones
100歳くらいの時はアマゾン川や密林に憧れていましたが、
150歳にもなるとちょっと臆するようになってしまいました。
大蛇やピラニアや吸血虫
猛烈な湿気や暑熱―――
体力的にきついだろうなあ。
憧れだけで旅はできません。
だから、このような映画はとても嬉しいです。
『地獄の黙示録』(’79 フランシス・フォード・コッポラ監督)を
ご覧になりましたでしょうか。
本作はあの強烈なラストシーンを想起させます。
テオとして本作に登場する
テオドール・コッホ=グリュンベルクの手記にもあります。
「無限に広がるこのジャングルで
幾人もの探検家が陥ったような不治の狂気に襲われるのか、
私には今はまだわからない。
だが、魅惑の日々において
私が目にした美しいものは言葉で言い表すことができない。
私にわかることは、彼らと同じように、
これまで見えなかったものが見えるようになったということだけだ。
私は過去の私とは変わった」
『地獄の黙示録』のめくるめくラストはまさにこの不治の狂気でした。
ストーリー
アマゾン流域の密林。
ゴムや薬草。ジャングルは様々なものの宝庫である。
かつてそれらを求めて多くの侵略者がこの地に足を踏み入れ、
先住民族たちを殺戮した。
カラマカテはその生き残りとしてたった一人で生きているシャーマンだ。
ある日、彼の許へドイツ人民族学者テオが訪れる。
彼は重病に冒され、カラマカテに治してもらおうとやってきたのだ。
殺戮者である白人を忌み嫌うカラマカテは治療を拒む。
だが、テオの病を治す唯一の手段である聖なる植物ヤクルナを
求めてアマゾン川にカヌーを漕ぎだすのだった――
それから数十年
カラマカテはあまりにも孤独な日々の中で記憶も感情も失っていた。
そこへ現れたアメリカ人植物学者のエヴァン。
彼もまた幻の植物ヤクルナを求めていたのだ。
再びカヌーを漕ぎだすカラマカテ。
過去と現在。
二つの時間が交錯するアマゾン川。
カラマカテたちは狂気と幻影と混沌に満ち溢れた
アマゾンの深奥部へと遡っていく……
モノクロでありながら
アマゾン川の広い川面が乱反射する豊かな光のせいでしょうか。
随分と明るい感じです。
アマゾンにも先住民族にも何の予備知識もないまま
カラマカテの漕ぎだすカヌーに揺られていく内、
白人たちのもたらした狂った宗教や
異常な集落を共に巡ることになります。
十字架と科学技術によって未開の部族を啓蒙するという白人至上主義は
否定的なものとして描かれ、
二人の探検家も無力で無知で強欲な人間に見えてきます。
そして、蔑みの対象ですらあった呪術や迷信が
自然と共存するための真の知恵であるのだなあ、
と気づかされる映画でした。
そして、カラマカテを演じた二人にもやられました。
年老いたカラマカテを演じたアントニオ・ボリバル・サルバドールは
カラマカテ同様、先住民族オカイナ族の最後の生き残りです。
それがこの夢のような物語に信憑性を与えるものになっているのかもしれません。
これまでに観たことのない映画でした。
価値観が変わる作品です。
どうぞ、ディープなアマゾンに触れてみてください。
終
今日もポチッとお願いできればうれしゅうございます♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村
☆10月26日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆
彷徨える河
監督・脚本/シーロ・ゲーラ
出演
アントニオ・ボリバル・サルバドール/年老いたカラマカテ、ニルビオ・トーレス/若き日のカラマカテ、ヤン・ベイヴート/テオ、ブリオン・デイビス/エヴァン
10月29日(土)【シアター】イメージフォーラム
2015年、コロンビア・ベネズエラ・アルゼンチン、124分、配給/トレノバ、ディレクターズ・ユニブ、後援/コロンビア共和国大使館
やっぱり 殿様の予言通り
じいさまになったカラマカテに
惹かれてしまうわん。
「世界中の製薬会社が 特別な治療薬として
アマゾンの呪術師を訪ねて 特殊な植物を
探ぐり当てようとしている。
しかし その呪術師が いなくなり 植物が何
だったのか 今となっては永遠の謎だ。」
と聞いたのは 何年も前です。
すっとこ故郷の祖母婆様も 胃薬センブリ
の生育地を 誰にも明かす事なく逝きました。
あの婆様のせんぶりほど苦く 効き目のもの
凄かったのは 他にありませなんだ。
婆様を偲んで 追憶のポチッとポチッと❣️
いっときアマゾンの不思議な植物をテーマにした
ハリウッド映画がはやった時期があったような。
おぼろな記憶の中から浮かんできました。
センブリやマツタケの生育地は絶対内緒なんですね。
おばあちゃんたちも秘密のままにしておいて大正解ですよ。きっと。
追憶のポチッをありがとうございました。
この映画、フランスでは去年のクリスマス直前に公開されていたみたいなんです。12月から1月にかけてなんて、忙しくって映画チェックをする余裕もないんですよ。あぁなんでこういうタイミングの悪い時にこういう映画が公開されちゃうかな。。。ぶつぶつ。
なんとしても大スクリーンでみてみたいですよ。
クリスマス公開っていうと、日本だったら結構力入れてる時期ということになると思うのですが、フランスではそうじゃないんですね。
最初「フランスではこの映画がクリスマス公開映画か。すごいなあ。やっぱりフランスは違うわ」と思ったものですから。
フランスで一番力を入れる公開時期はいつなんでしょう。いわゆるかき入れ時ってヤツですが・・・ 日本は夏休み向け映画にも力を入れていると思います。
逆にじわじわと口コミで大人の間に広がってロングランになるような映画は、そういう時期を外して公開されたものが多いと思うんです。例えば新学期が始まる9月とか。街が落ち着いている時期ですね。ただ、それがかき入れ時にあたるかというと、それもちょっと違うような気がしますし。。。。
うーん、答えになってないですね。
お答えいただき、ありがとうございました。
フランスでは、日本の夏休みはバカンスの最中だし、
クリスマスは家族でお祝いだから、
映画どころじゃないですよね。
そっか、ぎゃはは系ならバカンス準備の合間に
ちょっと見るかとなるのでしょうね。
こちらでは単館系の作品でも、
ゴージャスだったり、評判の高いものは、
GWや夏休み、クリスマス、お正月に
公開するものが多い、と経験的に思っていました。
だから、本作のようにモノクロで地味な作品が
フランスではクリスマス公開ということで
「さすが!」と思いつつ、
「あれ?」って感じでした。
でも、欧米で話題になった映画のようですね。
私ももう一度観たい映画です。