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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

網に囚われた男 -1- The Net


網に囚われた男
-1-
The Net

網に囚われた男 -1- The Net_f0165567_532333.jpg

(C)2016 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.


2017年第1回目の上映は
キム・ギドク監督の最新作です。

年が明けてもソウルの目抜き通りは
何万人ものデモ隊に埋められていることでありましょう。
ならぬものはならぬ
許せないものは許さない
と結集する韓国の人々のパワーに瞠目します。


網に囚われた男 -1- The Net_f0165567_5404958.jpg


本作は二つに分断された朝鮮半島の悲劇を抉り出した
キム・ギドク監督の渾身の一作です。

漁船モーターが故障し、北朝鮮と韓国の国境線を越えてしまった
北朝鮮の平凡な漁師の身にふりかかった不条理な運命。

この半島が抱える問題点を
鬼才はあらためて私たちにつきつめてきました。

国境を描いた映画というと『JSA』(’00 パク・チャヌク監督)を思い出します。
JSA(Joint Security Area):共同警戒区域。
大韓民国と朝鮮民主主義人民共和国の
軍事境界線上にある約800m四方の地域を指す。

それにしても、
あらためて北朝鮮の正式国名を見ると
「民主主義ってなんだったっけ?」の感を新たにしますわねえ。

『JSA』も面白い映画でした。
微かな希望もありました。

網に囚われた男 -1- The Net_f0165567_5354080.jpg

ところが
キム・ギドク監督作品となると
南北問題は少し趣が違ってきます。

キム・ギドク監督
これまで何度もご紹介してきましたが、
カンヌ、ヴェネチア、ベルリンの世界三大映画祭を制覇し、
『嘆きのピエタ』
http://mtonosama.exblog.jp/19794903/ http://mtonosama.exblog.jp/19818003/
では第69回ヴェネチア国際映画祭金獅子賞に輝いた監督です。

鬼才という言葉がふさわしい監督でしたが、
本作『網に囚われた男』は、名匠、
もう一歩進んで巨匠という呼び名で
呼んでもいいような気がしてきました。

とのは『春夏秋冬そして春』('03)でキム・ギドク監督を知り、
その映像の美しさに仰天し、アジア的な世界観に酔いしれたのであります。
更に彼の名に惹かれて『サマリア』(‘04)、『弓』('05)なども観ましたが、
これらは正直言ってよくわかりませんでした。

網に囚われた男 -1- The Net_f0165567_5385910.jpg

その後、久々に観たのが、
『アリラン』('11)
http://mtonosama.exblog.jp/17268231/ http://mtonosama.exblog.jp/17280223/
『嘆きのピエタ』('12)
『殺されたミンジュ』('14)
http://mtonosama.exblog.jp/24871440/  http://mtonosama.exblog.jp/24881792/

以前の作品に見られた独りよがり――
というと、ちょっと言葉が悪いですね。
そう、一人合点みたいなものがなくなって、わかりやすくなり、
作品として1ステージ高いところに来た感じがしました。

ところが、本作『網に囚われた男』は
さらに、心に直接訴えかけてきます。
国境線をめぐって翻弄される漁師の運命、
それは
政治性などでは解釈することのできないものでした。
わかりやすく、心にすとんと落ちてきました。
鬼才・奇才から名匠に進化したのだ、と思いました。

さあ、一体どんなお話でしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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☆2017年1月5日に更新しました。今年も当試写室に気軽にお立ち寄りくださいませ☆

網に囚われた男
監督・脚本/キム・ギドク、エグゼクティヴ・プロデューサー/キム・ギドク、撮影/キム・ギドク
出演
リュ・スンボム/ナム・チョル、イ・ウォングン/オ・ジヌ、キム・ヨンミン/取り調べ官、チェ・グイファ/室長、ソン・ミンソク/北朝鮮の取り調べ官、イ・ウヌ/チョルの妻
2017年1月7日(土)よりシネマカリテ他全国順次ロードショー
韓国、2016年、112分、日本語字幕/根本理恵、提供/キングレコード、配給/クレストインターナショナル、http://www.thenet-ami.com/

by Mtonosama | 2017-01-05 05:50 | 映画 | Comments(7)
Commented by なえ at 2017-01-06 17:59 x
殿様の解説を読んでいると、この映画は政治的なプロバガンダ色の強いものと言うより、人間の感情に直に訴えてきて、心を揺さぶるものがあるということでしょうか。そういうものこそ見たいなあと思います。

日本の監督さんで誰かそういうタッチの拉致問題をテーマにした映画を作ってくれないかなあと思います。

ところで今朝ふくらはぎがこむら返り(@_@)。以前ほど強烈ではなかったけれど、しばらくイテテイテテ状態。以前教えてもらた薬を買ってたんですが、あいにく寝てる部屋には置いてなくて(>_<)取りに行くには足が痛くて歩けない(T_T)
これからは枕の横に置いて寝なくては、はあ~あ。
Commented by Mtonosama at 2017-01-06 19:56
♪なえさん

まず薬と水は寝る前に絶対に枕元に用意しないといけませんぜ。
足つりの権威である私は必ず薬とお水を確認して眠りにつきます。
その安心感も必要なんです。
最近はつっていないけど、あの痛みは許せないですからね。

あ、映画のことを言い忘れた。良い映画です。

Commented by ライスケーキ at 2017-01-07 18:51 x
韓国、お隣の国なんですけど、
歴史や国情など、良く分からないんです。
私にとっては、まだ
近くて遠い国です。
韓国料理 好きなんですけどね。

こむら返りに効く薬って
あるんですか?
痛くなったら、飲むと
直ぐ治るんですか。
私は、足をマッサージしたりして、
耐えています。
Commented by Mtonosama at 2017-01-08 05:01
♪ライスケーキさん

朝鮮半島問題も、中国と香港の関係も難しいですね。
次から次へと大変な問題が起きます。

こむらがえりも個人にとっては大変です(-_-;)
私がお医者さんに処方されたのはツムラの68番「芍薬甘草湯」です。
今は薬局でも売っています。TVCMでもクラシエの芍薬甘草湯を宣伝してますよ。
是非枕元に備えてください。
マッサージするとその姿勢で負担のかかった場所がつったり、結構苦痛が長引いてつらいですよね。
Commented by kogarinta at 2017-02-16 12:44
こんにちは。
私もキム・ギドク監督に対する印象が、との様ととても似ています。
以前の、孤高な感じを貫く雰囲気があってある種の独善的な作品よりも、段々とそのメッセージが判り易く伝わってきているような気がします。
TBさせていただきますね。
Commented by kogarinta at 2017-02-16 12:47
TBを…と思ったら、どうしてか今回TBのURLが出てきませんでした。
制限かけられてますか?
Commented by Mtonosama at 2017-02-17 08:39
♪kogarintaさん

同じ感じ方でうれしいです。今回はどこか人情的でもあるし、すとんと伝わってきますよね。海外では定評があるけれど、国内ではそれほどでもなかったというから国内路線も取り始めたのでしょうか。

TBありがとうございます。どうしたのでしょうね。何もやっていませんが。

by Mtonosama