網に囚われた男 -2- The Net
網に囚われた男
-2-
The Net
(C)2016 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved.
南北分断をテーマにした作品には
キム・ギドクが脚本・製作を担当した『プンサンケ』(’11)
http://mtonosama.exblog.jp/17862317/ http://mtonosama.exblog.jp/17872088/
『レッド・ファミリー』(’13)もあります。
韓国の人間なら分断に目を背けることはできない訳で
キム・ギドク監督もそれは同様です。
さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。
ストーリー
韓国との国境に近い北朝鮮の村で、
妻子と共に貧しいながらも平穏な日々を送る漁師のナム・チョル。
その朝、いつものように国境警備の兵士に漁に出かけることを報告し、
唯一の財産であるモーターボートに乗って出漁。
だが、漁網がスクリューに絡まり、ボートは
チョルの意に反して韓国側に流されてしまった。
韓国の警察に連行されたチョルはスパイの疑いをかけられ、
執拗で残忍な取り調べを受ける。
だが、彼の監視にあたる青年警護官は
家族の許に帰りたいというチョルの思いを知り、彼の潔白を信じるように。
そんな時、やはりスパイ容疑で捕まった男が追い詰められ、
チョルにソウルに住む娘への伝言を託し、舌を噛み切り自死してしまう――
スパイ容疑もはっきりせず、妻子の許に戻ることしか考えていないチョル。
韓国側は彼を泳がせるよう方針転換する。
チョルはソウルの繁華街に一人放り出される。
街には商品が溢れ、人々が自由に行き交う。
だが、チョルは固く目を閉じ、何も見ようとはしない。
いつまで待っても警護官は戻らず、一人になったことを知ったチョル。
目的もなく街をさまよう内、やくざに追われる若い女を助ける。
弟を大学に入れるため身を売った女だった。
街にはまだ使えるPCが無造作に捨てられ、
彼は、ソウルには華やかだけではない部分が存在することを知る……
韓国で厳しい取り調べを受けるチョルを見ながら、
ああ、北ではもっと酷いことをされるんだろうな。
このまま韓国にいればいいのに、
と思う観客の気持ちとは裏腹に
漁師は頑なまでに北の家族の許へ帰ることしか考えていません。
北にも南にもダークサイドが存在します。
北だけが悪く、南は良い、とは決していえません。
ついついどちらかに肩入れしたくなる観客をいなしつつ
映画はチョルが直面する運命を淡々と描き出します。
南がどんなに華やかで自由でも、
彼にとって帰るべきところは妻子の待つ北なのです。
いつものギドク作品のように「あ、痛!」と観客が目を背けることもなく、
淡々と、静かに、
不条理というしかない漁師の運命をつきつけてきます。
しばらくは声も出ない程、映画に魅せられました。
キム・ギドク監督はいったいどれだけ進化するのでしょう。
終
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☆2017年1月8日に更新しました。いつも応援ありがとうございます☆
網に囚われた男
監督・脚本/キム・ギドク、エグゼクティヴ・プロデューサー/キム・ギドク、撮影/キム・ギドク
出演
リュ・スンボム/ナム・チョル、イ・ウォングン/オ・ジヌ、キム・ヨンミン/取り調べ官、チェ・グイファ/室長、ソン・ミンソク/北朝鮮の取り調べ官、イ・ウヌ/チョルの妻
2017年1月7日(土)よりシネマカリテ他全国順次ロードショー
韓国、2016年、112分、日本語字幕/根本理恵、提供/キングレコード、配給/クレストインターナショナル、http://www.thenet-ami.com/
普段は何とも思わずに 見過ごしている
背広姿の男達に
こんなに違和感覚えさせる 映像の力って!
短い予告編なのに
あっという間に 漁師の来た北朝鮮の人間
のような気分にさせられていました。
短く刈り込んだ 手入れの行き届いた髪型
にまで 違和感覚える始末で。
NYでは上映されないだろうけど
観たいなぁ!
観たい気持ちで 力強くポチッと❣️❣️
NYでは上映されませんか?残念だなあ。観てほしいなあ。
この監督は韓国よりも欧米で評価されているのですが、やっぱりテーマ的に上映は無理なのか・・・
この主人公をやった俳優さん、とても良かったけど、どうしてもなすびという日本の芸人さんに見えて仕方なかった。北朝鮮に猛烈に敵意を持っている取調官はイケメンなんですが最近こういう役が多くて、イケメン好きとしてはちょっと悲しいです。
今日も力強いポチッをありがとうございました。
厳しい現実の状況、日本では(今は)信じられないですが、でもこういう状況が「いつか来た道」として進行して行くような
危惧を感じます・・・
そうなんですよね。
「あれ~、なんで来ちゃったの?いけないんだよ、こっちへ来ちゃ」
で済んじゃうんじゃない?
考えてみれば、国というのはアホなこと、やってますなあ。私たちの良識で判断すればなんでもないことなのに、組織が絡むとこうなってしまうんですよね。拉致された人たちだって、こういうことが積み重なってなかなか帰ってこられないんですね。「ごめんね」、「いいよ」、で済めば世の中平和なのに。