たかが世界の終わり -2- Juste la fin du monde
たかが世界の終わり
-2-
Juste la fin du monde
(C)Shayne Laverdiere, Sons of Manual
グザヴィエ・ドラン監督の監督の背景にはいつも
ゲイと母があったのですが、本作では家族も登場します。
はい。ゲイも母も家族も全部出るということです。
若い監督さんの場合、とがってて
触るとケガをしちゃいそうな部分ってありますよね。
自分のことを思い返してみても
親や家庭、家族なんて「なんぼのもんや」ってとんがらかっておりましたしね。
あ、いまは年の功できわめて温厚ですが。
それにしても、
グザヴィエは28歳にして既に老大家の視点を持っているような。
そんなグザヴィエの最新作とはどんなお話でしょうか。
ストーリー
空港からタクシーに乗り込み、実家に向かう人気作家のルイ。
12年ぶりに会う兄を待ちわびていたシュザンヌが抱きついてくる。
幼い頃の彼女しか記憶にないルイは戸惑う。
兄の妻カトリーヌに「初めまして」と挨拶すると
「一度も会っていないの?」と大げさに驚いてみせる母。
重い気持ちを抱えて戻ってきたルイを
母、妹、兄嫁は明るく優し気に迎える。
会話を続けようと子供の話をするカトリーヌに
「ルイが退屈してるだろ」と決めつけ、
それを咎めるシュザンヌを「化粧が濃いぞ」とけなす兄アントワーヌ。
言い合いを始める兄妹の傍らで、
カトリーヌはルイのもの言いたげな視線に気づく。
不機嫌な兄を避け、シュザンヌはルイを自分の部屋に連れてゆく。
都会で成功した兄に憧れ、雑誌や新聞に載った彼の記事を集めていたシュザンヌ。
だが、気が付けば絵葉書しか送ってくれないルイを責めていた。
「どうして急に帰ってきたの?」
真相に迫る問いかけをしながら自らはぐらかしてしまう妹。
答えない兄。
一方、物置部屋で母はルイと向き合う。
引っ越し先の住所を教えない息子に嘆きながら、それでも抱きしめる母。
「なぜ帰ってきたの?」
と訊ねた母にやはり答えられないルイ。
母は息子の深刻そうな表情を見ると
「元気そうでよかった」と話を変えてしまう。
「今日は泣いたり、告白したりする日じゃないわ」
昼食の席で兄アントワーヌの憎々しい物言いはさらに激しく、
シュザンヌとの激しい口げんかになる。
怒りのあまり席を立つシュザンヌ。
兄を叱責する母。
ルイもかつての自分の部屋に逃げ込み、
若き日の甘い思い出に耽る。
兄とタバコを買いに出かけるルイ。
車内でも怒るアントワーヌ。
「なんで帰ってきたんだ」とキレ、荒々しく車を走らせる。
帰宅し、母自慢のデザートを囲む家族を前にルイは……
朝、実家に帰り、夕暮れには戻っていく――その一日を描いているのですが、
ルイの懊悩が昏いまなざしとなって深部を流れているような印象の映画です。
ルイは言おうとしているのに母も妹も兄もそれを聞こうとしません。
まるで耳をふさいでいるみたいに。
「アントワーヌ、なんなの?あんたは怒鳴ってばっかりいて」
とのが親だったら一喝しちゃいます。
「ルイも、ルイよ。話があって帰ってきたんなら、さっさと言っちゃいなさい」とも。
でも、それだったら面白くもなんともないですわね。
もう子供じゃなくなった自分が久々に帰郷しても
居場所もなければ、立ち位置もわからなくなっている。
家族も何かを察していながらそれを聞かないことで家族であり続けようとする―――
そんなの家族じゃない?
それでも、死期が迫ったら帰っていきたいところは家族の許なのかもしれませんね。
それにしても、ヴァンサン・カッセル演じる不機嫌な兄。
すごかったです。
『トム・アット・ザ・ファーム』にも出てきた
怖ろしいおにいさんを思い出してしまいました。
どうぞ、また一回り大きくなったグザヴィエ・ドランの新作をご覧になってください。
終
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☆2017年2月10日に更新しました。いつも応援してくださってありがとうございます☆
たかが世界の終わり
監督・脚本/グザヴィエ・ドラン、原作/ジャン=リュック・ラガルス、撮影/アンドレ・テュルパン、音楽/ガブリエル・ヤレド、美術/コロンブ・ラビ、編集/グザヴィエ・ドラン
出演
ギャスパー・ウリエル/ルイ、レア・セドゥ/スザンヌ、マリオン・コティヤール/キャサリン、ヴァンサン・カッセル/アントワーヌ、ナタリー・バイ/母
2017年2月11日(土)新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAロードショー
カナダ・フランス合作映画、99分、カラー、字幕翻訳/原田りえ、
http://gaga.ne.jp/sekainoowari-xdolan/
♪ナイフみたいに尖っては
触るもの 皆 傷つけた
ああ わかってくれとは言わないが
そんなにオレが悪いのか♪
こんなのをBGMにしたげたい皆さん。
♪ギザギザハートの子守歌♪ by チェッカーズ。
「何で帰って来たの?」
って 妹や母に聞かれる暗い青春。
うむむむむむむむむむむむむむむむむ。
♪ララバイ ララバイ お休みよ♪
を心の中で歌いながらポチッと❣️❣️
ルイは もうすぐ「死」を迎えるって事?
違うかな?
それでもう 夕方には帰っちゃうの?
十二年も家に帰らないって やはり淋しいよね。
欧米の人はクリスマスには家族全員で過ごすとか、
会えなくても ママンに電話するとか言うけど、
やっぱり 人によりけりね。
原題は分からないけど、「たかが世界の終わり」って、
「たかが・・・」じゃないと思うけど・・・。
良く分からないけど ポチッ!
お兄さんが言うように12年も会ってなかったら「他人」の関係かも。
ルイはゲイなんですか?そのことを話に帰ってきたと家族は
思い、わざわざ言わなくてもとルイの話を聞こうとしない?
近づきたいのに12年が邪魔して近寄れない、相手のことを思っているようで実は相手のためになってない、というような
ぴたっと合う所が見いだせないような、そんなまどろっこしさのまま、ルイは帰って行くのでしょうか?
にしても、おっかさん、ド派手。
ララバイ、ララバイ、お休みよ♪
良い曲でしたねえ。
わたしはルーラルーラルラー♪が好き。父親がこの子守歌を歌ってくれたものだから。
いなくなった家族の方が良い思い出を残してくれるのかなあ。ホロリ
12年って長いですよね。
18歳で家を出たとしても12年経ってたら30歳ですがな。
幼顔の高校生がもうおっさんです。
おっさんになったルイが「僕もうすぐ死ぬんだ」ってことを告げようと帰ってきても
やっぱり家族は戸惑いますよね。
何もなかったように受け入れる母親より
カリカリ怒り狂うにいちゃんの方が自然なのかもしれない。
自分と照らし合わせながら考えるとあれこれ考えちゃう映画でした。
(あ、ルイがゲイであることは家にいる頃から家族みんな知ってました)
こういうテーマ、日本映画にもありそうですね。
監督さんは、この映画で何を言いたかったのでしょうか??
家族に思うように受け入れてもらえないルイさんのもどかしさとつらさ?
家族はこれでいいのかという問い?
なにか、夏目漱石の小説みたいな感じですね。
通俗的な内容だけど、永遠のテーマみたいな事柄が含まれてますね。
そうですね。このテーマは日本の方がありそうかも、です。外国映画の家族というとやたらハグしたり、クリスマスにはみんな集まったり、それぞれ問題は抱えてるにしても親しげでハッピーな雰囲気ばっかりが目立ちますが。
カナダの田舎町のどこか寒々しいような雰囲気が印象的な映画でした。