台湾萬歳 -2-
台湾萬歳
-2-
(C)「台湾萬歳」マクザム/太秦
本作を台湾三部作最終章とした酒井充子監督は言います。
「台湾の80歳以上のお年寄りは
日本の統治時代に青少年期を過ごした人達です。
彼らは戦前戦後の激動の時代を経験しています。
わたしは、日本に対する複雑な気持ちも混じった彼らの思いを
『台湾人生』、『台湾アイデンティティ』で伝えてきました。
人々が生きて紡いできた日々の暮らしこそ
台湾にとってかけがえのない宝であり、原動力です。
長年にわたる取材の中でそんな当たり前のことに
改めて気づかされました。
最終章ではその当たり前のことを撮りたいと思いました」
張旺仔さん(85歳)、李典子さん(77歳)夫妻
張さんは元漁師。1931年の生まれ。
台東縣成功鎮在住
戦争末期には空襲もあり、機銃掃射も間近で見ました。
国民学校を卒業する年に終戦。
19歳から49歳までカジキ漁。
かつて日本人が台湾に持ち込んだ突きん棒漁一筋。
現在は畑仕事が日課の好々爺です。
台湾は夫婦別姓のため、つれあいの姓は李さん。
「典子」は父親の日本人の友人がつけてくれたそうです。
オヤウさん(69歳)、オヤウ・アコさん(62歳)
台東縣成功鎮在住
カジキ突きん棒漁を営むアミ族の夫婦。
カジキの季節が終わるとトビウオやシイラを獲り、
一年中海とつきあう生活です。
アミ族はかつての「新港」漁港の築港の際、
労働力として駆り出されました。
アコさんの叔父は戦前に村を代表して日本を訪問した秀才でしたが、
戦後、国民党に徴兵され、
中国大陸で43年間も過ごすことになってしまいました。
カトゥさん(41歳)
台東縣延平郷在住、中学校の歴史教師&シンガーソングライター
1974年パイワン族の父とブヌン族の母との間に生まれました。
通称のカトゥは祖父の日本語名が加藤四郎だったことから。
ブヌン族の伝統的な狩りを今も続けています。
ムラス・タキルダンさん(89歳)
台東縣延平郷在住、日本名きよこさん、ブヌン族。
日本統治時代、もともと住んでいた高地の村から
強制的に移住させられ、今の地に。
移住経験の数少ない証言者。
地元のお年寄りの聞き取りをしているカトゥさんが
本作ではムラスさんに移住当時の話を聞きに。
ムラスさんは移住後はかつて住んでいた村に一度も帰ったことがない、
自分たちの土地を守ってほしいと訴えます。
ダフさん(41歳)
カトゥさんと共に伝統の狩りを大切にするブヌン族。
撮影隊が同行した狩りで一発でキョンをしとめた狩りの名手。
本作では
人々は日本統治が良かったとか悪かったとかを語りはしません。
ただ大昔から続いてきた自然との関わりを
穏やかに懐かしそうに
日本語で話してくれます。
そんなお年寄りの語り口に
うんうんと頷きながら、耳を傾けてしまいます。
突きん棒漁や足袋、ほっかむり、刺身、ワサビ・・・
カトゥさんとダフさんは
仕留めたキョンをさばきワサビをつけて食べていました。
台湾には今も日本統治時代の残したものや食生活が
色濃く残っています。
撮る側と撮られる側の間に
良い関係が生まれているのだなぁと思わせる作品でした。
数年前、台湾を訪れて以来
すっかり台湾を好きになってしまったとのですが、
その理由は人々の優しさと穏やかさでした。
過去に起きたことを踏まえつつ
是非もう一度台湾を訪ねてみたくなりました。
終
今日もポチッとしていただければ嬉しゅーございます♪
↓↓↓↓↓
にほんブログ村
☆7月15日に更新しました。
台湾萬歳
監督/酒井充子、エグゼクティブプロデューサー/菊池笛人、統括プロデューサー/小林三四郎、プロデューサー/小関智和、陳韋辰、撮影/松根広隆
出演
張旺仔、許功賜、潘春連、柯俊雄ほか
7月22日(土)ポレポレ東中野ほか全国順次公開
2017年、日本、カラー、93分、製作/マクザム、太秦、配給/太秦、http://taiwan-banzai.com/
一方、某野党党首の戸籍開示要求などと、日本人のその根底にある差別意識の卑小さが情けないです(ーー゛)
多様性を受け入れられない国
嗚呼、それが日本・・・
台湾ってね、本当に穏やかで優しい人がいっぱいでした。
今度は前回19800円の旅で行けなかった台湾南部の方にも
行きたいです。でも、南へ行けば行くほど暑いだろうから
季節を選んでいかねば。