ブログトップ | ログイン

殿様の試写室

mtonosama.exblog.jp

殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

ジュピターズ・ムーン -1- Jupiter's Moon


ジュピターズ・ムーン


Jupiter’s Moon


-1-

f0165567_4481131.jpg


2017 (C) Proton Cinema - Match Factory Productions - KNM


今回、当試写室で上映する
『ジュピターズ・ムーン』。
そのキャッチフレーズには
“カンヌが熱狂したSFエンターテインメント”
とあります。

SFエンターテインメントと聞いて
まず思い浮かべるのは
やはりハリウッド映画の
あの派手派手しさですわね。

「イヤな思いが吹き飛ばせれば
ま、いいか」
位の軽いノリで観たのですが。

これがなんと――

子どもの頃に見た〇〇大サーカスと
シルク・ド・ソレイユとの違い
とでも申しましょうか。

エンターテインメントという言葉の持つ
少しばかり軽い雰囲気は
全然ありません。

f0165567_4534142.jpg

優雅とさえ言って差し支えない
空中飛翔シーンに目を奪われました。
また
難民問題を描きつつも
社会的政治的に振れていきません。
まさに
これぞ映画というものを
堪能させてもらえました。

本作が出品された
第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で
審査員を務めたウィル・スミスが

「僕は『ジュピターズ・ムーン』が
本当に好きだ。
これから先、何度も繰り返して観たい
と思う最高の映画だった。
だけど他のどの作品も素晴らしくて
他の審査員を説得できなかった。
民主主義って時には最低だね」

と発言したとか。
そんなウィルに強く同感する
管理人であります。

監督はハンガリー出身の
コーネル・ムンドルッツオ。
すごいぞ!ハンガリー。

コーネル・ムンドルッツオ監督
1975年ハンガリーに生まれる。
脚本家、映画監督、舞台演出家。
映画制作会社プロトンシネマと
劇団プロトンシアターの創設者。
2014年
『ホワイト・ゴッド 少女と犬の狂詩曲』
カンヌ国際映画祭「ある視点」部門で
グランプリ&パルムドッグをW受賞

f0165567_4571569.jpg


色彩、映像、構成――

その昔、
憧れたヨーロッパ映画そのものです。
あ、もちろん
昔のヨーロッパ映画には
難民は登場しませんでしたけど。

ところで
『ジュピターズ・ムーン』
というタイトルですが、
何か意味があるのでしょうか。

あるようですよ。
それも深い意味が。

現在、ジュピター=木星には
69の衛星が発見されています。
その内、ガリレオ・ガリレイに発見された
「エウロパ」は「ヨーロッパ」の語源となった
ラテン語“EUROPA”と同じスペルで表されます。

ドイツ語だと
そのまんまのスペルで、
「ヨーロッパ」を意味しています。
「オイローパ」と読みますが。

「エウロパ」は地表が厚い氷に覆われ、
固い表層の下には塩水が流れ、
生命体が存在する可能性も
示唆されています。
人類や生命体の新たな命の揺籃と
なり得るとも言われる衛星です。

コーネル・ムンドルッツォ監督は
本作が「エウロパ」の名の下に
現在そして近未来のヨーロッパ
ひいては
世界の物語として
観てもらうことに、意義があるとして
このタイトルをつけたということです。

先程、
昔、憧れたヨーロッパと言いましたが、
それはハンガリーという
ヨーロッパの辺境を舞台に
撮影されたからかもしれません。

建物の内部も俯瞰した都市の光景も
古き良きヨーロッパの顔と雰囲気を
まとっています。

f0165567_50573.jpg


ただひとつ違うのは
その風景の中に多くの難民がいるということ。

監督は2014年難民問題が起きた頃、
難民キャンプに滞在していたことがあり、
そこでの経験を描きたいと思っていました。

本作に登場する空中を浮遊する少年は
シリア難民という設定。

現実には
ハンガリー政府は
ヨーロッパを目指して押し寄せる難民が
入国できないよう
バルカン・ルートとして知られた
セルビアとの国境にフェンスを設置しました。
そして
同政府はEU執行機関である欧州委員会の
難民分担受入計画を拒否したまま
現在に至っています。

空中浮遊少年は封鎖直前の
バルカンルートを通って
ハンガリーに入国したんですね。

映画とは関係ありませんが、
1989年ベルリンの壁が崩壊した時
脱出してきた人たちが
ハンガリー経由だったことを思うと
政府が現在とっている措置は
悲しい気がしますけど。

さあ、いったいどんなお話なのでしょうか。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



今日もポチッとお願いできれば嬉しゅうございます♪
↓↓↓↓↓

にほんブログ村
☆2018年1月14日に更新しました。いつも応援して下さってありがとうございます☆


ジュピターズ・ムーン
監督/コーネル・ムンドルッツォ、脚本/カタ・ヴェ―ベル、撮影/マルツェル・レーヴH.S.C.、視覚効果/ハイコ・ティッベルト、空中浮遊装備/バラーシュ・ファルカス、プロデューサー/ヴィクトリア・ぺラトニー、ヴィオラ・フュージョン、ミヒャエル・ウィーバー、ミヒェル・メルクト
出演
メラーブ・ニニッゼ/シュテルン医師、ゾンボル・ヤェーゲル/アリアン、ギェルギ・ツセルハラミ/ラズロ、モーニカ・バルシャイ/ヴェラ
2018年1月27日(土)新宿バルト9他全国ロードショー
2017年、ハンガリー・ドイツ、英語・ハンガリー語、128分、字幕翻訳/横井和子、
配給/クロックワークス、http://jupitersmoon-movie.com/

by Mtonosama | 2018-01-14 05:12 | 映画 | Comments(4)
Commented by すっとこ at 2018-01-14 23:15 x
ええええええええええええええええええええ!

カンヌ国際映画祭で審査員を務めた

ウィル スミス って!!!

あの
アメリカの
俳優の ウィル スミス ですか?

なんだか
カンヌ映画祭っていうと
「フランス人が選ぶ」
「フランス人好みの」
という印象があったので

ビーーーーーーーーーーーーーーックリ
でした❣️(そこか)
Commented by との at 2018-01-15 09:53 x
♪すっとこさん

フランス好みといえばフランス好みだけど、すっごい映画でした。しばらく茫然自失状態でした。

ウィル・スミス、頑張って推したと思うな。

それにしても寒い日が続きますなぁ。すっとこさん、ご自愛くださいませ。
Commented by なえ at 2018-01-15 21:15 x
1枚目の写真を見たとき、2つの感情が同時に。
1つ目は:「ワハハハハハ!何だこれは!」
2つ目は、どぎもを抜かされたような感覚。うまく言えない
けれど、斬新なアイデアを言葉でなく、絵(写真)で表現して
見せてもらったような。目を開かされたような、不思議で自由な感覚を持ちました。

この難民の少年(つうより老けて見えるけど)は、「オイローパ」を巡って行って、「オイローバ」は今その存在・意義を試されてるのでしょうか。試金石になるんですね。
Commented by Mtonosama at 2018-01-16 06:05
♪なえさん

そうなんです。3Dやら何やらでいっくらでも不思議できれいで本物より本物らしい映像が撮れる昨今ですが、この映画はそういったものを廃した不思議さに充ち満ちています。

たしかにこの浮遊少年を少年と呼ぶには抵抗があるし、この顔はシリア人ではないではないか、と思ったりもするのですが、そんなことどうでもよくなってしまう魅力が本作にはありました。

オイローパは、世界は、どこへ行くのでしょう…