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殿様の試写室

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ガザの美容室 -1- Dégradé

ガザの美容室

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Dégradé


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ガザと聞いて連想するのは

イスラエルによって建造された高い壁に囲まれ、

天井のない監獄と言われる街です。


若者たちは塀に囲まれた中で

うつろな目をして過ごします。

その失業率は6割以上で麻薬も蔓延しているとか。


51年前からイスラエルの占領下に置かれ、

24年前にはパレスチナ自治が始まりましたが、

11年前にイスラム組織ハマスが

支配するところとなると

イスラエルの経済封鎖が始まりました。


このハマスとパレスチナ自治政府も

対立しているといいます。


二重の対立構造なのですね。


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この10年間で3

イスラエルによる大規模空爆や侵攻も

繰り返されました。



そんなガザの街にも美容院はあります。

壁に囲まれているとはいえ、

人が暮らしている以上、

冠婚葬祭はあります。


髪をセットしたり、脱毛したり、

身だしなみも整えねばなりません。

それになんといっても

美容院は女たちが本音で語れる空間です。


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美容院といえば、以前、当試写室でも

『キャラメル』というレバノンの美容室を

舞台にした作品を上映しました。


あちらでは脱毛をするのに

砂糖と水とレモンを入れた溶液を煮詰め

キャラメル状にしたものをムダ毛に塗り、

乾きかけたところで

ベリッと剥ぎ取るのだそうです。

https://mtonosama.exblog.jp/10242253/


本作でも同じようなことをやっていました。

美への探求こそ女を強くするのであります。


パレスチナ自治区、ガザ。

女性客でにぎわう美容院。

そこには

離婚調停中の主婦

ヒジャブを被った信心深い女性

結婚式を控えた娘

出産間近の妊婦

皆それぞれが順番を待ちながら

午後の時間を過ごしています。


そんな時、表の通りに銃声が響き、

彼女たちは

突然起こった戦乱の中に取り残されます。


68回カンヌ国際映画祭批評家週間に

出品された本作は

ガザで生まれ育った双子の兄弟監督

タルザン&アラブ・ナサールによる

初の長編映画です。


タルザン&アラブ・ナサール監督

1988年ガザ生まれ。

アルアクサ大学で

芸術の学士号(絵画専攻)を取得し、卒業。

その後、映画製作を開始。

2013年初監督短編『Condom Lead』は

カンヌ国際映画祭で上映。

本作は2015年カンヌ国際映画祭批評家週間

でワールドプレミアム上映された。


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さて、戦闘状態の中に

置き去りにされた女性たちですが、

一体どこが攻撃してきたと思いますか?


普通、イスラエルと思いますよね。

実際、ガザでの戦闘はほとんどが

イスラエルによって

繰り返される空爆や侵攻です。

これまでに2千人以上のパレスチナ人が

亡くなっています。


しかし、美容院の外で行われている銃撃戦は

イスラエルの攻撃ではなく

ハマスとマフィア間の戦闘なのです。


ここのところがややこしいのですが、

1994年ガザではパレスチナ解放機構の

主流派「ファタハ」の主導で

パレスチナ自治が始まりました。


が、しかし、

2006年のパレスチナ自治評議会選挙で

イスラム組織「ハマス」が

ファタハを破り、勝利したことから

2007年夏ハマスが支配するようになりました。


選挙に負けたファタハが腐敗して

地元の有力家族と結びついたことから

マフィアがはびこっているという訳です。


イスラエルに攻撃されるだけではなく

ガザ内部も混乱しているのですね。

たまりません。


さあ、いったいどんなお話なのでしょう。

続きは次回まで乞うご期待でございます。


ガザの美容室

監督/タルザン&アラブ・ナサール、撮影/エリック・デヴィン、編集/ソフィー・レンヌ、アイアス・サルマン、音楽/バハ―・オトマン、サウンドトラック/ベンジャミン・グロスピロン

出演

ヒアム・アッバス/エフィティカール、マイサ・アブドゥ・エルハディ/ウィダド、マナル・アワド/サフィア、ダイナ・シバー/サルマ、ミルナ・サカラ/ゼイナブ、ヴィクトリア・バリツカ/クリスティン、レーム・タルハミ/ワファ、フダ・イマム/サメーハ、ラネム・アル・ダオウド/マリアム、サミラ・アル・アシーラ/ファティマ、ラヤ・アル・カハテブ/ルバ、ウェダッド・アル・ナサル/ソーサン、ネリー・アボウ・シャラフ/ナタリー、タルザン・ナサール/アハメド

623日(土)新宿シネマカリテ、渋谷アップリンク他全国順次公開

2015年、パレスティナ、フランス、カタール、84分、配給/アップリンク、http://www.uplink.co.jp/gaza/


by Mtonosama | 2018-06-10 06:26 | 映画 | Comments(6)
Commented by hamakorian at 2018-06-10 09:55
どんなお話なのでしょう?
ガザで生まれた監督さんの映画なら、
現実をしっかり反映した内容なのでしょうね。
とても興味があります。
Commented by との at 2018-06-10 19:31 x
♪hamakorianさん

知らなかった現実が反映されていると思います。ガザの市民にとって生命や生活を脅かす相手はイスラエルだけでなかったんですね。
大変ですよねえ。昨日髪を切ってきたのですが、マッタリしてるときにいきなり外で戦闘が始まったらと思うとゾッとします。映画って思いもよらない現実を教えてくれます😢
Commented by すっとこ at 2018-06-11 07:14 x
にゃーーーーーーーーーーーーーーんと!

2枚目の写真、のんびりくつろいどるのは
縦から見ても
横から見ても
どっからどー見ても

ライオンですよね!
にゃんこではなく。

首に太い鎖が付いてるけど。

なんだか近寄って行って
撫で撫でしたり 腹に顔を埋めて
もふもふしたい!モーレツに❣️

あっ そーゆー映画ではありませんか。
Commented by Mtonosama at 2018-06-11 10:23
♪すっとこさん

ライオンですよ~。
ライオンを連れているのはマフィア。
動物園から盗んできたんだって。

なんかシュールな映画って思ってしまうけど、
ガザってなんでもありの場所なんですよね。

ライオンってゴワゴワした毛でモフモフできないんじゃないかしらねえ。パンダも触ったらゴワゴワの剛毛でした。
Commented by ライスケーキ at 2018-06-11 19:51 x
この辺りの歴史、事情
理解出来ていません。

イスラエル、パレスチナ、ハマスにマフィア?
たまに、時事解説読むんですが、
サッパリ頭に入りません。

でも、美容院に行っていて
銃声が聞こえるなんて…。

「ガザに平和を」それしか言えません。
Commented by Mtonosama at 2018-06-12 09:19
♪ライスケーキさん

私もパレスティナとの関係においてはイスラエルが悪いと思っていました。アメリカが味方になってるのをいいことにやりたい放題に見えます。

この映画の撮影直前にもイスラエルのガザ攻撃があったのだそうです。でも、この双子の監督さんは敢えてパレスティナの内紛を背景に描いたそうです。

常に攻撃の危険にさらされている地域の日常を淡々(?)と描いた映画なんでしょうね。