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殿様の試写室

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鈴木家の嘘 -2-

鈴木家の嘘

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(c)松竹ブロードキャスティング



野尻監督が言っています。


「団欒というものにはほとんど記憶が無い。

ウチの食卓にはいつも一人いなかったから。

家族全員が集まるのは正月か法事。

家族とはそういうものだと思っていた。


いつもいなかった一人、

兄が本当にこの世からいなくなった。

突然すぎて

私たちは悲しんでいいかさえわからなかった。


残された私たちは

毎日顔を合わせるようになった。

葬儀の後のひからびた寿司桶の前。

みんな黙って食べていたが、

私はその情景に思わず笑ってしまった。

ウチの久しぶりの家族団欒だったからだ。

私はその時、初めて

『家族』というものを考えるようになった」


ああ、すごくよくわかります。

皮肉なことに、

死も生活そのものなんですよね。



ストーリー

長男・浩一が自室のゴミを片づけている。

ゴミをまとめると

カーテンを開けて窓の外の景色を眺めた。

次に押入れに上がり

天袋から吊るしたロープに首をかけた――


買い物から帰った母・悠子は

浩一が好きなオムレツを作り、

食事に呼ぶが返事が無い。

浩一の部屋に入った悠子は

天袋からぶら下がる息子の姿を目撃する。


その夜、長女・富美が帰宅すると

家の中は真っ暗、

ストーブの上のやかんは空焚きになっていた。

富美は2階で倒れている母と

押入れからぶら下がる浩一をみつける。


浩一が死んでしばらく経ち、

父・幸男は息子の机でみつけた

ソープランド「男爵」のチラシを手に

店に出かける。



大学の体育館。

新体操をやっている富美の携帯に

父からの電話。

急いで富美が「男爵」に向かうと

父が店長やスタッフに取り囲まれていた。

帰りのバス停で事情を説明しようとする父に

「こんなときに何やってるのよ」と

怒って取り合わない富美。


浩一の死を目の当たりにした母の悠子は

病院に運ばれたが意識は戻らないまま。


ある日、

スマホで調べた自死遺族の会に出かけた富美。

だが、中には入りづらく帰ろうとしたところ

会員の女性に促されて入室する。


浩一の四十九日。

納骨に来た寺で

幸男と富美は遺骨を返されてしまう。

自ら死を選んだもののお骨は

穢れているというのだ。

名古屋で冠婚葬祭会社を営んでいる

幸男の妹・君子はそれを聞いて怒りまくる。

寺からの帰り道、幸男、富美、君子

悠子の弟・博の4人はうどんを食べながら

今後について語り合う。


同じ頃、隣の病床から聞こえてくる

ラジオの音に悠子の手が反応して動いた。

悠子の意識が戻ったと聞き

幸男ら4人は病院へ駆けつける。


眠りから覚めた悠子は浩一が死んだことを

まったく覚えていなかった。

「浩一は?」と訊ねる悠子に

「お兄ちゃんはアルゼンチンで

博おじさんの仕事を手伝ってるよ」

と咄嗟に嘘をつく富美。

浩一がひきこもりをやめたと知って

喜ぶ悠子……


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突然、命を絶ってしまった長男の浩一。

ひきこもって、

皆の前に姿を見せなかったとはいえ、

家族でした。


息子の無残な姿の第一発見者となった母。

その衝撃と悲しみは記憶を失う程でしたが、

父も妹も浩一の死に際して、

その心中に渦巻くのは

なぜ?という疑問と自責の念。

そして、これ以上、

悠子を傷つけられないという思い――



こんなつらくて重い映画なのに

父・幸男がソープに乗り込む場面では

「おいおい、お父さん、何やってるの」と

つっこみたくなり、

富美が訪れた自死遺族の会の

おしゃべりなおばさんに苦笑したり、

133分を笑い、時には、ため息をつきながら

観てしまいました。


他者から見れば間が抜けた幸男の行動にも

おしゃべりなおばさんにも

はたがとやかく言えない心の闇が

隠されているんですよね。


さあ、家族はどこに向かうのでしょう。


良い映画でした。



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☆11月14日に更新しました。いつも応援して下さって本当にありがとうございます☆


鈴木家の嘘

監督・脚本/野尻克己、製作/井田寛、撮影/中尾正人

出演

岸部一徳/鈴木幸男、原日出子/鈴木悠子、木竜麻生/鈴木富美、加瀬亮/鈴木浩一、吉本菜穂子/日比野さつき(分かち合う会)、川面千晶/米山(分かち合う会)、島田桃依(分かち合う会)、金子岳憲/小林(分かち合う会)、山岸門人/佐古(ソープランド店長)、宇野祥平/北別府、レベッカ・ヤマダ/フランシスカ、松岡泰志/神谷(霊媒師)、岸本加代子/鈴木君子、大森南朋/吉野博

1116日(金)より新宿ピカデリー、シネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

2018年、日本、133分、カラー




by Mtonosama | 2018-11-14 05:42 | 映画 | Comments(4)
Commented by すっとこ at 2018-11-14 07:43 x
【先ずはポチクリ❣️】

うううううううううううううううううううう。

苦手だなあ 家族の物語。
まして 不全状態な家族の物語は
身につまされ過ぎて

硬直したまま
画面に見入ってしまいそうだ。

この映画は 監督自身の体験もあって
却ってクスリと笑えるとこもあるのか。

一生懸命って必死って可笑しいよね。
生きて行くって
家族って
可笑しいよね❣️
Commented by との at 2018-11-15 05:57 x
♪すっとこさん

ポチクリありがとうございます。

硬直しないから大丈夫です。硬直の寸前でグズグズと崩れて笑ってしまうから。
すごい監督さんだなぁ、と思った。

うんうん、生きていくって、大変だよ。
一生懸命生きると、歯だって痛くなっちゃうし。
Commented by なえ at 2018-11-16 20:50 x
「他者から見れば間が抜けた幸男の行動にも
おしゃべりなおばさんにも
はたがとやかく言えない心の闇が
隠されているんですよね。」

そうなんですよね。
その闇に取り込まれないで、それを見つめられる人が「笑える人」なのかも。悲劇と喜劇は背中合わせ。その両面を
客観的に見られる、そういう「目」を持てたらいいなあ。

ところで、そう、あのジュリー!いつだったかテレビで
老タイガースのコンサートをやっていて、何でカール・サンダースがこんなところにいるんだろう?と思いました。それがジュリーと分かって、ひ、ひ、ひえ~\(゜ロ\)(/ロ゜)/どした。

Commented by Mtonosama at 2018-11-17 05:02
♪なえさん

わ、深い!
そうなんです。みんな闇を隠して生きているんですもんね。
表面だけ見れば、あの人綺麗でお金もあっていいな、と思えてもとんでもない暗黒を抱えて生きていたりするもんです。表面だけを見てツイッターでガンガン叩くのは止めてほしいですわ。

カーネル・サンダース。そういやあ似てます(笑)。
その老タイガースのコンサートにピーも出てました?
彼は比較的変わってませんよね。やっぱり先生をやってたからかな。