プライベート・ウォー -1- A PRIVATE WAR
プライベート・ウォー
-1-
A PRIVATE WAR
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以前ベトナム戦争の取材で命を落とした
日本のジャーナリストの妻たちから
お話をうかがったことがあります。
それは「わが夫還らず」(砂書房)という
本になりました。
ベトナム戦争は終わり、
いまでは若い人々の中には
ベトナムで戦争があったことすら知らない人が
多いかもしれません。
本作の舞台は中東です。
いまもシリアで戦争が起きており、
多くの人々が難民となっている現状を
報道するジャーナリストがいます。
報道のさなかに亡くなる方もいます。
本作は、
英国サンデー・タイムズ紙の特派員として
世界中の戦地に赴き、
レバノン内戦や湾岸戦争、チェチェン紛争
東ティモール紛争などを取材してきた
女性記者、メリー・コルヴィンを
描いた映画です。
スリランカ内戦取材で左目を失明し、
PTSDに苦しみながらも
苛酷な取材を通じ、
人々の眼を紛争地帯に向けようとした彼女は
2012年シリアで受けた砲撃で
命を落としました。
メリー・コルヴィン
1956年 NY州ロングアイランドに生まれる
1978年 エール大学を卒業
1979年 ジャーナリストを目指し、
UPI通信社に入社
1984年 UPI通信社のパリ局長に任命される
1986年 英国サンデー・タイムズ社に移籍
リビア最高指導者カダフィ大佐の取材に成功
その後もレバノン内戦や
第一次湾岸戦争、チェチェン戦争、
東ティモール戦争などの取材を重ねる
2000年 外国人記者協会
ジャーナリスト・オブ・ザ・イヤー受賞
国際女性メディア財団
ジャーナリズムの勇気賞受賞
2001年 スリランカ内戦を反政府組織
「タミル・イーラム解放の虎」側から取材中
同国軍が放ったロケット弾によって左目失明
この事故により、PTSDを負いながらも
現場復帰。
その時、つけ始めた黒い眼帯が
彼女のトレードマークになる。
英国プレス賞 海外記者賞受賞
2002年 二度目の夫だったボリビア人記者が
自死
2009年 英国プレス賞 海外記者賞二度目の
受賞
2011年 大規模反政府デモ「アラブの春」
報道の際、再びカダフィ大佐を取材
2012年2月22日 シリア内戦が起きていた
シリア・ホムス市で反政府勢力を取材
ババアム地区に駐留し、衛星電話を介して
BBC、チャンネル4、CNN、
ITNニュースに出演し、現状を伝える
その数時間後、政府軍の砲弾を受けて死亡
享年56歳
ダヤン将軍のような
黒い眼帯をトレードマークに
恐れを知らぬ戦場記者として戦地を走り、
一人の女性として男たちを愛し
人生を駆け抜けたメリーの半生を描いたのは
マシュー・ハイネマン監督。
骨太なドキュメンタリー作品に
定評がある監督ですが、
初の劇映画である本作ではどんな顔を
見せてくれるのでしょうか。
今も世界の片隅で行われている
無益な殺戮と
行き場のない人々の苦悩。
壮絶なメリーの生き方の背後に
自分たちの暮らす場所が戦場になった人々
の痛みと嘆きが見えてきます。
彼女の生き方は激しいけれど、
今さらながらの
激しい女の伝記ではありません。
片眼を失明しても、
普通の生き方をどこかで望み、
それでも
戦場に魅入られてしまった
女性の苦悩、恐怖、怒り、悲しみを
とりこもうとした渾身の一作です。
さあ、一体どんなお話なのでしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございます。
続
今日もポチッとお願いします♪
プライベート・ウォー
監督・製作/マシュー・ハイネマン、脚本・共同製作/アラッシュ・アメル、製作/シャーリーズ・セロン、原作・総指揮/マリエ・ブレンナー、撮影/ロバート・リチャードソン、主題歌“Requiem for a Private War”/アニー・レノックス
出演
ロザムンド・バイク/メリー・コルヴィン、ジェイミー・ドーナン/ポール・コンロイ、トム・ホランダー/ショーン・ライアン、スタンリー・トゥッチ/トニー・ショウ
9月13日(金)TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
2018年、イギリス・アメリカ、英語、110分、日本語字幕/松岡葉子、提供/ポニーキャニオン、ハピネット、配給/ポニーキャニオン
こういう女性もいらっしゃるのね。
「女性も」ってつい書いちゃうとこ
が 自分でもジェンダーの壁を
越えられないのでせうか。
数々の輝かしい受賞歴と
夫の自死と。
うーーーーーーーーーーーーーーーーん。
最期のレポートの後砲撃死を。
ある意味本望なのか。
今日はポチクリを済ませましたよん❣️
戦地で真実を伝える為に活躍する
ジャーナリストには 頭が下がります。
しかし、いつまでたっても どこかで
戦争してます。
If we don’t end war, war ends us….
良い戦争、悪い平和なんてあるわけがない…。
何故いつまでも 争いが終わらないんだろう。
I’m a dreamer. なんでしょうか…。
本当にそうですね。
ジャーナリストが死を賭して取材しているからこそ、私たちにも何が起こっているのか伝わってきます。
H.G.ウェルズの言葉、彼としては後半の "war will end us"を強調したかったのでしょうが、この言葉、今では『戦争を終わらせるための戦争」という意味に使われているんですね。原爆投下もそういう意味で捉えるアメリカ人が多いのはそこから来ているのでしょうか。
良い戦争、良い原爆なんてあるわけないのにね。