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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

運命は踊る

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FOXTROT


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(C)Pola Pandora- Spiro Films - A.S.A.P. Films - Knm - Arte France Cinema 2017



『運命は踊る』というタイトルだけを見て

まず連想したのは『会議は踊る』。

「踊る」つながりでした。


でも、関係ありません。

本作の原題はフォックストロット。


フォックストロットってなんでしたっけ?

キツネの速足・・・でした?

辞書には

馬術】

trotからwalkへ、またはその逆へ移る際の

小走り歩調


もう一つは

二人で踊る4/4拍子の

比較的早いテンポのダンス

とあります。


本作にはどうも後者があてはまるようです。


ダンスといえば

管理人がまだ学生だった頃は

ダンパというものが流行っていました。

ダンパというのはダンスパーティのことです。


「あそこのダンスホールは柱が多いので

チークタイムになるとやばいよ」

などと女子の間で囁かれたりしました。

そう、チークタイムとはキスタイム。

柱の陰で唇を奪われてしまうよ、

というのです。


あ、また、しょうもないことを――



フォックストロットに戻ります。

本作の中でしばしば口にされるこのステップ。

どんなステップかというと

「前へ、前へ、右へ、ストップ、

後ろ、後ろ、左へ、ストップ」。


はい、やってみましたか?

出発地点へ戻ってきたでしょ?

いくら動いても元の場所へ戻ってきますよね。


一度動き出した運命は

どうあがいても変えることができない・・・

ということで『運命は踊る』なのでしょうか。


そう、フランスの詩人、ラ・フォンテーヌも

言っています。

「人は運命を避けようとして選んだ道で

しばしば運命に出会う」と


いきなり重いですね。


監督・脚本は本作が長編第2作目となる

イスラエルのサミュエル・マオズ。



サミュエル・マオズ監督


1962年テルアビブ出身。

20歳の時、レバノン戦争でレバノンに侵攻した

イスラエル国防軍戦車の砲撃手として従軍。

その後、撤退に伴い帰国。


戦後は演劇学校で映画を学び、1987年卒業。

自身の戦争体験を基に脚本執筆を試みるが、

戦時の生々しい記憶や匂いが蘇り、執筆中断。


デビュー作『レバノン』の発表は

構想から20年以上を経た

2009年のことだった。

その『レバノン』(09)

ヴェネチア国際映画祭金獅子賞を受賞。

それから8年後に発表した本作も

同じくヴェネチアで銀獅子賞を受賞。

本国でもイスラエルのアカデミー賞

(オフィール賞)最多8部門受賞。



イスラエルが参戦する戦争の不条理や

犯罪性を描いていながら、

オフィール賞8部門受賞です。


案外イスラエルも懐が深いと思いましたら、

スポーツ・文化大臣を中心とした

右寄りの政治家達から

(本作は)イスラエルにとって有害な映画」

との攻撃を受けていました。



しかし、本作はそんな圧力を

撥ね返すだけの実力を持った作品です。


スタイリッシュな映像、

巧みな構成力、

子を喪った親の絶望、

運命のフォックストロット。


映画のワンシーン、ワンシーンが

非常に印象的です。

雨を孕んだ重い空、

広大な砂漠、

その真ん中にある小さな検問所の前を

ゆったりと通り過ぎる一頭のラクダ。


やられました。


さあ、いったいどんな映画なのでしょう。

続きは次回まで乞うご期待でございます。



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運命は踊る

監督・脚本/サミュエル・マオズ、撮影/ギヨラ・ベイハ、製作/ミハエル・ウェーバー、ヴィオラ・フゲン、エイタン・マンスーリ、チェドミール・コラール、マーク・バシェ、ミハル・マルクト

出演

リオール・アシュケナージ/ミハエル、サラ・アドラー/ダフナ、ヨナタン・シライ/ヨナタン、ゲフェン・バルカイ/軍の司令官

929()よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館他全国順次ロードショー

2017年、イスラエル=ドイツ=フランス=スイス、113分、カラー、日本語字幕/大西公子、後援/イスラエル大使館、配給/ビターズ・エンド




# by Mtonosama | 2018-09-18 06:21 | 映画 | Comments(3)

三毛猫ひかちゃん

-77-



あたし、ひかちゃん。


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また、来ちゃった。



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最近、

飼い主ったら美術館づいているの。

これは横須賀美術館よ。


東京湾の入口にあるから

美術館からは行き交う船が

間近に見えるわ。



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この日は中園孔二という絵描きさんの

美術館での初個展


「中園孔二展 

外縁―見てみたかった景色」

2018714日~930日)


という展覧会を観にいったの。


彼の作品が「日曜美術館」で

紹介されていたのを見て

そのきれいな色遣いと

25歳という若さで亡くなったことに

魅かれたんだって。


中園孔二

1989年~2015

25年という短い生涯の中で

多彩かつ様々な技法で

多くの作品を遺しました。



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untitled

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untitled


みんなuntitled「無題」なの。


可愛い顔をしているんだけれど

どこか不安で怖い感じ。

3枚目の絵なんて

中央で人が燃えているところを

女の人がスマホで撮影しているわ。


残酷さを前面に出す――

それができるのが

若さというものなのかしら。


しかし、それにしても写真が下手よね。

なんで斜めってるのよ。

中園さんに申し訳ないわ。


皆さん、まっすぐの作品を観たかったら

ぜひ横須賀美術館へ行ってみて。

素敵な場所にある

素晴らしい美術館なんだから。



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ほらね。



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あたし?

あたしはいつものようにTV鑑賞よ。

でも、画面にはとんでもないものが

写っているわ。

ポッ



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やっと涼しくなって一安心ね。


さ、

また寝るわよ。

おやすみなさい。


ひかり




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# by Mtonosama | 2018-09-15 06:50 | 映画 | Comments(10)

三毛猫ひかちゃん

-76-



あたし、ひかちゃん


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あたし、目がちょっと座ってるかしら。

あのね、

マタタビってものの匂いをかいだの。

初めてじゃないのよ。


子どもの頃に一度経験したことあるの。

でも、その時はなんともなかったわ。


で、飼い主も不思議に思って

プールの博識者に訊いたのね。

そしたら

「あのね、幼稚園児にピンナップガールを

見せても何の反応もしないでしょ?

猫も同じなのよ」って

教えてくれたんだって。


もう、一体プールで何を習ってるのやら。


ま、そんな次第で

あたしとしたことが

狂態を示しちゃったって訳。



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平塚美術館よ。


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そろそろ涼しくなってきたから

季節外れ感満載なんだけどね。


深堀隆介展|平成しんちう屋

(201877日~92)

を観てきたんだって。


これねえ、全部、絵なのよ。

あたしもね、思わず手を入れて

掻き回すところだったわよ。


お水に見えるところは樹脂だし、

金魚はアクリル絵の具で描いたものなの。


どう見たって立体的な金魚よねえ。



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深堀隆介

1973年名古屋市生まれ、横浜在住。

1995年愛知県立芸術大学を卒業。

名古屋のディスプレイ会社に

デザイナーとして勤務するが

1999年退職。

本格的に創作活動を開始し、

絵画と立体を並行してさまざまな作品を制作。

だが、次第に

何をすべきかがわからなくなり

自信を失いかけていた時、

7年間ほったらかしておいた

水槽の中で金魚が生きているのを発見。

その美しさに制作意欲をかきたてられた。

その後、金魚を描き続け、

これを「金魚救い」と呼んだ。

(深堀隆介展より)


あらまあ、名古屋出身なのね。

「金魚救い」って言葉も良いわ。


飼い主なんてもうこれでいちころだで。

まあ、だちかんな。


あら?

どうしてあたしが名古屋弁を?



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夏の間、飼い主は近場の美術館を

あたしは高校野球を

楽しんだわ。


急に涼しくなると

夏の疲れが出るものよ。

飼い主もちょっとへばっているの。

皆さんも気をつけてね。

ひかり



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# by Mtonosama | 2018-09-12 06:24 | 映画 | Comments(6)

顔たち、ところどころ

-2-


VisagesVillages



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(C)AgnesVarda-JR-Cine-Tamaris, Social Animals 2016



そもそも、この二人を結びつけたのは

この映画のプロデューサーでもある

ヴァルダの娘、ロザリー・ヴァルダでした。


ヴァルダはJRと自分との共通点を

「有名でもなく権力も持たない人々に

対して興味があることね」

と語っています。

確かに、本作に登場する被写体たちは

みんな無名の村人たちです。


妙に気の合った2人は

出会った3日目から

短い動画を撮り始めました。

しばらくしてヴァルダはJR

「都会派のあなたを田舎に連れていくわ」

と宣言。


おばあちゃん、孫と一緒に田舎へ行く!


JRも外国では小さな町を

転々としたことはあっても

「国内の田舎町には行ったことがなかったので

田舎町をめぐる旅で人生が変わった」

と言っていますよ。


さあ、出発です!


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ストーリー

映画監督アニエス・ヴァルダと

写真家でアーティストのJR

一緒に映画を作ることにした。


村人たちの顔を撮ることにした2人は

JRのスタジオ付きカメラトラックで

フランスの村々を回り始めた。


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炭鉱労働者の村にたった一人で暮らす女性、


ヤギの角を伸ばしたまま

飼育することを信条とする養牧者、


港湾労働者の妻たち、


廃墟になった村でのピクニック、


「決定的瞬間」の

アンリ・カルティエ=ブレッソンのお墓、


反逆のファッション写真家ギイ・ブルダンとの

思い出の海岸、


JR100歳になる祖母に会うこと、


J.L.ゴダールが映画『はなればなれ』で作った

ルーブル美術館の最短見学記録の更新etc.etc.


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楽しい記録を残しながらも

アニエスの眼はだんだん見えづらくなり、

JRも決してサングラスを外した顔を

見せようとはしない。


彼女はJRにプレゼントをしようと思い立つ。

JRが会いたいと言っていたゴダールに

会わせてあげようとしたのだ。

彼女は長年の友人であるゴダールに連絡し、

彼の自宅を訪ねる約束を取り付けたのだが……


当初は短期間の撮影を予定していましたが、

地方で数日撮影してはパリに戻るという旅は

18ヶ月に及び、

製作予算を大幅に上回ることに。

それだけ夢中になった撮影旅行。

楽しくない訳はないし、

映画の深みも増してきます。


そんな時の予算調達はいずこも同じ

クラウドファンディングです。

750万円を集めました。

他にもフランス国立映画映像センター、

フランスのTV局キャナル・プリュス、

ニューヨーク近代美術館(MOMA)や

パリのカルティエ財団などからも

調達したそうですよ。


アニエス・ヴァルダがいくら

「ヌーヴェルヴァーグの祖母」といわれようと

右から左へお金を自由にできませんものね。


充分な時間と人間関係とお金

そして

被写体の心をがっちりつかむ――


映画という総合芸術を支えるのは

人と情熱とお金です。


被写体の村人たちとの素敵な交流、

アニエスとJRの年齢を超えた友情。

そうしたものの醸す温かさが

観客の心もじわじわと温めてくれる映画です。


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おばあさんと

サングラスを外さない髭のおにいさんが

おかしな車に乗って旅をして

写真を撮り、壁に貼っていくだけの映画が

ここまで人の心を温かくしてくれるなんて

まるで奇跡みたいな映画です。



顔たち、ところどころ

脚本・監督・ナレーション/アニエス・ヴァルダ、JR、オリジナル・サウンドトラック/マチュー・シェディッド、製作総指揮/ロザリー・ヴァルダ、写真/クレア・ダギット(ボニュー、レイヤンヌ、工場)、ニコラ・ギシュト(パリ、工場、北部地域)、ヴァランタン・ヴィニェ(フランス国立図書館、ノルマンディー海岸)、ロマン・ル・ボニーク(ヴェクサン、ルーブル美術館、ル・アーブル、ピルー)、ラファエル・ミネソタ(ルーブル美術館)、ロベルト・デ・アンジェリス(料理、スイス)、ジュリア・ファブリー(第二カメラ)、写真貼付のアーティスティック・ディレクター/ギヨーム・カニャール

915()よりシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開

2017年、フランス、89分、字幕翻訳/寺尾次郎、配給/アップリンク


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# by Mtonosama | 2018-09-09 06:53 | 映画 | Comments(6)

顔たち、ところどころ

-1-


VisagesVillages



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(C)AgnesVarda-JR-Cine-Tamaris, Social Animals 2016



87歳と33歳、

祖母と孫ほども年の差のある二人が

フランスの村人の写真を撮って

工場の給水塔や

納屋のファサードや

取り残された炭鉱住宅の壁や

崖から崩れ落ちた昔の要塞に貼りつけながら

スタジオ付きカメラトラックで旅をします。


アート?

パフォーマンス?

写真芸術?

村おこし?

過去へのオマージュ?

それとも

面白い遊び?


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これらぜ~~んぶが

一体となった楽しい二人旅が

ドキュメンタリーになりました。

いえ、これが全部ではないはず。

観る人によっては

もっともっと色んなことを

感じるかもしれません。



87歳の女性は

「ヌーヴェルヴァーグの祖母」と呼ばれる

女性映画監督のパイオニア

アニエス・ヴァルダ。

といっても写真の通りの可愛いおばあちゃん。

1928年ブリュッセル生まれ。

今年で90歳です。


第2次世界大戦中の1940

家族で南仏に疎開。

戦後、ソルボンヌ大学入学。

その後、演出家ジャン・ヴィラールの

専属カメラマンになり、

2015年にはカンヌ国際映画祭で

史上6人目となるパルムドール名誉賞

2017年には

60年以上にもわたる功労が認められ、

アカデミー名誉賞を受賞。


撮影当時は87歳。

上下二色に髪を染め分けた楽しげな人です。


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一方、33歳のJR

1983年パリ近郊の生まれで

今年35歳。

10代の頃、グラフィティ・ペインティング

を始め(要するに落書き?)

17歳の時に

パリの地下鉄で拾った(!)カメラで

自分と仲間達によるストリートアートの写真を

撮って街の壁に貼り付けるようになる。

以来、ケニアのゲットー、ブラジルの貧民街、

パレスチナの分離壁、東日本大震災後の日本等

世界中の壁を展示場所として

人々の巨大ポートレートを貼っています。

2010年に非営利団体メディアの

TED Prizeを受賞、

そこで得た賞金10万ドルで個人参加型の

Inside Out」プロジェクトを開始。

2013

そのアジア初の展示が

ワタリウム美術館で開催されました。

現在はパリとニューヨークを拠点に活動中。


経歴も風貌もユニークな

二人の旅も楽しいのですが、

工場労働者の集合写真が

生き生きしたアートになり、

寂れた炭鉱住宅の壁面に

往時の炭鉱採掘人の巨大ポートレートが

貼りつけられ、

一人寂しく暮らしていた老女の

顔に泣き笑いがよみがえる様子にも

惹きつけられます。


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今さらながら

アートって楽しいなって

思ってしまいました。


70回カンヌ国際映画祭で

最優秀ドキュメンタリー賞

ルイユ・ドール(金の眼賞)、

トロント国際映画賞での

ドキュメンタリー部門最高賞受賞。

90回米国アカデミー賞、第43回セザール賞に

ノミネートされ、

「ロッテン・トマト」でも100%という

驚きの満足度をはじき出したというのも

納得の面白さなのです。


しかし、どんな賞を受賞していようと

まず皆さんのその眼とその感覚が

この映画の楽しさを認めるのではないかなあ。


いけない、いけない。

もったいぶってしまいました。


続きは次回まで乞うご期待でございます。



顔たち、ところどころ

脚本・監督・ナレーション/アニエス・ヴァルダ、JR、オリジナル・サウンドトラック/マチュー・シェディッド、製作総指揮/ロザリー・ヴァルダ、写真/クレア・ダギット(ボニュー、レイヤンヌ、工場)、ニコラ・ギシュト(パリ、工場、北部地域)、ヴァランタン・ヴィニェ(フランス国立図書館、ノルマンディー海岸)、ロマン・ル・ボニーク(ヴェクサン、ルーブル美術館、ル・アーブル、ピルー)、ラファエル・ミネソタ(ルーブル美術館)、ロベルト・デ・アンジェリス(料理、スイス)、ジュリア・ファブリー(第二カメラ)、写真貼付のアーティスティック・ディレクター/ギヨーム・カニャール

915()よりシネスイッチ銀座、新宿シネマカリテ、アップリンク渋谷ほか全国順次公開

2017年、フランス、89分、字幕翻訳/寺尾次郎、配給/アップリンク


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# by Mtonosama | 2018-09-06 07:06 | 映画 | Comments(2)