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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

三毛猫ひかちゃん

-74-



あたし、ひかちゃん。



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なによ!


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今週はTVを観るのに忙しかったわ。

「華麗なる野生猫の世界」という番組でね、

いろんな子がいっぱい出てたのよ。

みんな狩りがうまくて尊敬しちゃった。




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ほら。



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あらま。



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じーーーっ。


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『アメリカ、アメリカ』も良かったわ。

エリア・カザン監督よ。


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家猫が「山猫」を観るの図よ。

なんたってヴィスコンティ監督よ。

クラウディア・カルディナーレって綺麗ねぇ。

あたしの好きな番組は

岩合さんだけじゃないの。

ま、守備範囲は広い方かしらね。



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ハワイよ。

って、うそ。

あのね、湘南にある市営プールなの。


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市民水泳大会っていうのがあってね、

飼い主が身の程知らずにも参加したのよ。

あ、この中にはいないわ。


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飼い主は夏の思い出作りができた、

なんて言ってるけど、散々な成績だったみたい。


あたしはなんでも知ってるんだから。


それにしても暑いわね。


大雨の被害を受けた皆さんは

この暑さで更に大変だと思いますが、

どうぞ、ご自愛ください。

ひかり


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# by Mtonosama | 2018-07-19 07:01 | 映画 | Comments(0)

悲しみに、こんにちは

--


Summer 1993


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(C)2015, SUMMER 1993


ストーリー

1993年夏。

フリダはバルセロナの家で

大人たちが荷造りしている様子を

じっと見つめていた。


両親を亡くし、

独りぼっちになった彼女は

カタルーニャの田舎町へ引っ越し、

母の弟夫婦の許へ

ひきとられることになったのだ。

叔父と叔母、幼い従妹のアナは

フリダを家族の一員として

優しく迎え入れる。


だが、彼女は友達もたくさんいた

バルセロナが懐かしくてならない。

時折会いに来てくれる

祖父母たちの顔を見ると

一緒に帰りたくなるし、

母もいつか

迎えにくるような気がする。


叔父叔母が両親になり、

従妹のアナが妹になることは

そんなに簡単にはいかないようだ……


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映画はフリダが段ボールの積みあがる様子を

ぼんやりと眺め、

夜空を花火が彩る夜、

友達や祖父母に手を振る中、

叔父の運転する車に乗せられ

バルセロナを後にする様子から始まります。


フリダ自身も何が自分の身に起こっているか

わからないだろうし、

観客もまたどうしてこんなことに

なっているのかよくわからず

共にうろたえます。


叔父の家は山に囲まれた田舎町。

叔父も叔母も優しいし、

従妹のアナはフリダの後をついて歩く

可愛い子です。


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でも、村の人は

フリダが転んでケガをすると

自分の子を近づかせないようにするし、

叔母は嫌がる彼女を

血液検査に連れていきます。

「バルセロナでもやったのよ」と

フリーダは病院行きを拒みます。

でも、幸いなことに

以後、行く必要はなくなるのですが。


1993

もう四半世紀も昔です。

94年に治療薬が出るまでは

この病気は死の病でした。

キース・へリングもフレディ・マーキュリーも

ロック・ハドソンも

この病気で亡くなりました。


フリダの両親も新薬開発に

間に合わず亡くなりました。


世界中で大勢亡くなりましたが、

90年代初頭、

スペインでは21,000人が亡くなります。

スペインはヨーロッパでエイズ発症率が

一番高い国でした。


当時、スペインは長きにわたった

フランコ独裁政権が終り、

人々が自由を謳歌していた頃。


突然訪れた自由と解放感は

ドラッグを蔓延させることになり、

これがHIV感染の増加を引き起こしたのでした。


日本でもパニックじみた報道が

されていたことを覚えています。


治療薬ができたのは1994年。

フリダの両親は後一歩のところで

間に合いませんでした。


映画の中でも

神経質なまでに

この病気を恐れる人達が描かれています。


監督が生まれた1986年は

母子感染が30%にも上りました。

フリダが何度も血液検査を受けさせられたのは

そのせいだったのですね。


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第二の黒死病のようなものだったのでしょう。


とはいえ、フリダにはそんなことはわかりません。

いやがおうでも

新しい生活に馴染むしかありません。

叔父さんをパパと呼び、

叔母さんをママと呼び、

従妹のアナを妹と呼ぶ生活です。


「叔父さんたちはやっぱり

アナの方が可愛いんだろうな」


「マリアさまにお願いすれば

ママが迎えに来てくれるかな」


幼い頭で一生懸命新しい生活を

生きようとするフリダと

重い責任を負いつつも彼女を娘にしていく

若い叔父夫婦。


穏やかなカタルーニャの自然を背景にした

家族の物語です。



悲しみに、こんにちは

脚本・監督/カルラ・シモン、製作/バレリー・デルピエール、撮影/サンディアゴ・ラカ

出演

ライラ・アルティガス、パウラ・ロブレス、ブルーナ・クッシ、ダビド・ヴェルダグエル、フェルミ・レイザック

721日(土)、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開

2017年、スペイン、カタルーニャ語、96分、日本語字幕/手束紀子、配給/太秦

http://kana-shimi.com/


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# by Mtonosama | 2018-07-16 06:23 | 映画 | Comments(2)

悲しみに、こんにちは

--


Summer 1993


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(C)2015, SUMMER 1993


少女から大人になる時って

案外鮮明な記憶が

残っているような気がします。


遡り、幼児から少女になる時は

ただただ守られてきた時代から

自分でも何かを守ろうという気持ちが

生まれる時期でしょうか。


う~ん

昔のこと過ぎてよくわかりません。


ただ、

その時期に大事な人との別離を経験すると

その時間はことさら大切なものとして

心の奥底に刻まれるものなのでしょう。


そのことを表現しようとするのは

とても痛いことでしょうが。


本作の監督も20数年を経なければ

その時期を映像化できませんでした。


その時代の記憶は

薄い薄い硝子のようなものですから

壊れやすいし、

壊れれば

その破片は鋭く心に突き刺さります。



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監督はバルセロナ生まれのカルラ・シモン。


カルラ・シモン監督

1986年生まれ。

バルセロナ自治大学

オーディオビジュアル・コミュニケーション科

を卒業。

カリフォルニア大学で脚本と監督演出を学び、

2011年ロンドン・フィルム学校に入学。

在学中に制作した短編ドキュメンタリー

BORN POSITIVE

劇映画『LIPSTICK』は

多くの国際映画祭で上映された。

『悲しみに、こんにちは』は長編デビュー作。

ベルリン国際映画祭でプレミアム上映され、

新人監督賞、

ジェネレーションplus部門グランプリを受賞。

2013年、監督は子どもや10代の若者たちに

映画を教えるため”Young For Film!”をつくる。


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そんなシモン監督が描いたのは

幼女から少女になろうとするフリダの

1993年の夏のできごと。


そう、フリダは監督自身なのです。


さなぎから抜け出そうとする蝶の

痛みすら感じさせるような

フリダの新生のときを

カタルーニャの風景を舞台に描き出した本作は

ベルリン国際映画祭、

ゴヤ賞などの新人賞を受賞。

各国の映画祭でも話題を呼び、

2018年アカデミー賞のスペイン代表にも

選出されました。


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本作は監督の子供時代の思い出を

基に作られた映画です。


シモン監督は脚本も書いていますが、

脚本を書きながら、時々、

「私は何故自分の個人的なできごとを

他人に説明しなければならないの?」

と自問したそうです。


しかし、脚本を書くという作業を経て

様々な登場人物の視点に立ち

自分の子ども時代を

見つめ直すことができたとも言います。


自分が親になって初めて

親の気持ちがわかるとは

よく言われることです。


監督は脚本を書くことによって

大人の視点から子どもだった自分を

捉え返すことができたのかもしれません。


素朴なカタルーニャの風景、

可愛らしい子ども達、

おろおろと戸惑う大人たち、

血への恐怖――


さあ、彼女は子ども時代に

一体何を経験したのでしょう。



悲しみに、こんにちは

脚本・監督/カルラ・シモン、製作/バレリー・デルピエール、撮影/サンディアゴ・ラカ

出演

ライラ・アルティガス、パウラ・ロブレス、ブルーナ・クッシ、ダビド・ヴェルダグエル、フェルミ・レイザック

721日(土)、渋谷ユーロスペースほか全国順次公開

2017年、スペイン、カタルーニャ語、96分、日本語字幕/手束紀子、配給/太秦

http://kana-shimi.com/



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# by Mtonosama | 2018-07-13 07:51 | 映画 | Comments(6)

人間機械

-2-


MACHINES


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(C)2016 JANN PICTURES, PALLAS FILM, IV FILMS LTD


江戸川乱歩に

「人間椅子」という作品がありますが、

これは人間機械です。


人間が機械になってしまったような

おぞましい感じがあります。

もしかしたら

「人間椅子」よりも怖いかもしれません。


ラーフル・ジャイン監督は5歳の頃、

スーラトという町に祖父が所有していた

繊維工場を遊び場にしていました。

そうなんですね。

彼は本作に登場する労働者たちとは

違って富裕層に所属する人間です。


監督は撮影のため、多くの工場を訪ねる内に

自分の階級を意識するようになったそうです。

労働者たちは口を閉ざし、

自分について語ろうとはしませんでした。

彼が経営者側に属する人間だったからです。


映画の中にもそんなシーンがあり、

小心者の管理人は

「わ、こりゃ監督は辛かろう」と思いました。


それでも何人かの労働者は

自分が工場で働くことになった

いきさつを話しています。


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ストーリー

多くの機械が唸る暗くて複雑な迷路のような

工場の奥へとカメラは進む。

グジャラート州にある巨大な繊維工場。

カメラはそこに働く人々の姿をとらえ、

苛酷な労働、容赦ない貧富の差を映し出す。

1960年代からインド西部グジャラート州の

サチン地域では規制のないまま

工業化が進められた。

本作に描かれる前近代的な労働条件は

その証左である。


多くの子どもが労働に従事し、

組合もなく、残業時間は週7080時間を超える。

その殆どが無賃金あるいは低賃金である。


工場の幹部は言う。

「彼らにまともな賃金を与えても

酒とタバコに消え、

田舎の家族は路頭に迷うだけだ」


工場労働者は言う。

「組合は必要だ。だけど、誰が指導する?

代表者は殺される。

あんたがやってくれると言うなら良いさ」……


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国際労働機関によれば

世界中で2100万人が

強制労働の被害者とされています。

「世界奴隷指数」は

(オーストラリアの人権団体が発表)

3600万人にも達すると言われ、

その内半分がインドにいるとされています。


最近フェアトレードということが

良く言われますが、

フェアトレードとは

需要や市場価格の変動によって

生産者が不当に安い価格で買い叩かれたり、

恒常的な低賃金労働者が発生することを防ぎ、

また児童労働や貧困による乱開発という形での

環境破壊を防ぐことを目的としている。

最終的には

生産者・労働者の権利や知識、

技術の向上による自立を目指す。

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1115767411


ああ、わかってはいるものの――


怖いのに、

理不尽なのに、

目を背けたいのに

腹が立つのに

天女が舞い降りてくるように

美しい布が生まれ、

褐色の筋肉が盛り上がって

材料を運搬する労働者の様子、

紗のような布を透して見る薄暗い明り

それらのなんと美しいことでしょう。


「実物を見るのは憚られても

それを描いた絵を見ることは喜びをもたらす」

アリストテレスの言葉です。


それにしても

1年に10億点もの新品の洋服が捨てられる日本…



人間機械

監督・脚本/ラーフル・ジャイン、撮影/ロドリゴ・トレホ・ヴィラヌエバ、製作/ラーフル・ジャイン、タナシス・カラサノス、イッカ・ヴェファカラハティ

7月21日(土)渋谷ユーロスペース他にて全国順次ロードショー

2016年、インド・ドイツ・フィンランド、カラー、71分、日本語字幕/岡崎真紀子、配給/株式会社アイ・ヴィー・シー



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# by Mtonosama | 2018-07-10 08:53 | 映画 | Comments(4)

人間機械

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MACHINES


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(C)2016 JANN PICTURES, PALLAS FILM, IV FILMS LTD


先日、朝日新聞に

「捨てられる新品の服『年10億点』」

という見出しが躍っていました。

大手通販業者や若者に人気のブランドの

商品などの新品が売れ残り、

倉庫に山積みになっているのだそうです。

大阪市の在庫処分業者の倉庫には

売れ残った、少しほつれていた、等

理由は様々ながら、

一度も売り場に並ばなかった服さえ

アパレル業者や工場等から

年間500万点が持ち込まれ、

これらは定価の1718%で売られます。


安くても売れていくならまだいいのですが、

銀座に出店する有名ブランドなどは

売れ残りの商品をすべて破砕して焼却するよう

依頼し、1点ずつの証拠写真も

求めるのだそうです。

(朝日新聞7/3付け朝刊より)


エーッ!

あの数万円以上の洋服が

誰も手を通してないのに切り刻まれ、

燃やされてしまうのですか?

エーッ!


というショックも消えない74日に観たのが

本作『人間機械』でした。


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スクリーンに映し出される巨大な工場。

薄暗い工場内を更に薄暗くする

濛々とした蒸気。

そして膨大な量の布。


インド北西部グジャラート州にある

巨大な繊維工場がこの作品の舞台です。


インドは、衣料品用の天然繊維・化学繊維ともに

世界第2位の繊維大国で、

繊維アパレル産業は

10%を占める基幹産業のひとつです。

2016年の統計によると

繊維アパレル産業の雇用者数は

直接雇用で約4500万人

間接雇用で約1億人とのこと。


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綿花の発祥の地であるインドは

植民地時代に綿花の栽培と綿花・綿糸の

製造が産業として定着しました。


独立後のインドでは

手工業や小規模産業を保護するため、

近代的大規模工場が規制されたので、

多くの中小企業が繊維産業を担っています。

ただ、近年、成長著しいアパレル産業では

大企業の進出が認められ、

ポリエステルの糸・繊維製品の製造も盛んで

本作に登場するのもそんな工場です。


そうした工場で働くのは

出稼ぎ労働者。

家族を故郷に置いて働きに来ている人々です。

そして、子ども達。

一日12時間に及ぶ苛酷な労働。

それは子どもの働き手も同様です。


今インドは凄まじい経済成長を遂げています。

英語人口が多いだけ、ビジネス面でも

労働力の面でも中国を凌駕するのではないか、

という話も聞いたことがあります。


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しかし、

映画の舞台である繊維工場に

入ったカメラがとらえるのは

そんなきれいごととは程遠い世界。

古くて不潔で薄暗い工場では

紡績機や製織機の立てる轟音の中で

子どもを含む多くの労働者が働いています。


監督はニューデリー出身の

ラーフル・ジャイン。

本作がデビュー作です。


さあ、一体どんな作品でしょうか。

続きは次回まで乞うご期待でございます。



人間機械

監督・脚本/ラーフル・ジャイン、撮影/ロドリゴ・トレホ・ヴィラヌエバ、製作/ラーフル・ジャイン、タナシス・カラサノス、イッカ・ヴェファカラハティ

7月21日(土)渋谷ユーロスペース他にて全国順次ロードショー

2016年、インド・ドイツ・フィンランド、カラー、71分、日本語字幕/岡崎真紀子、配給/株式会社アイ・ヴィー・シー



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# by Mtonosama | 2018-07-07 06:10 | 映画 | Comments(8)