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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

<   2017年 12月 ( 14 )   > この月の画像一覧


2017 BEST10 of
殿様の試写室

 
-5-


あたし、ひかちゃん。

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あら、今日は違うの?
ベスト10、1位発表の日なんですって?
そうねぇ、もう大晦日だもの。

本当にいろいろなことがあった年だったわ。

ま、あたしは女王様だから
いつものように
下々をかしずかせていただけだけど。

さあ、
今日は女王自らプレゼンターとなって
発表するわよ。
良いこと?

2017年BEST10 of 殿様の試写室の
栄えある第1位は
『ヒトラーへの285枚の葉書』だわよ!



第1位

ヒトラーへの285枚の葉書

Alone in Berlin

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地味で暗い映画でした。

最初に
こんなことを言ってしまって申し訳ありません。

でも、
心の底から感動しました。

エマ・トンプソン、
ブレンダン・グリーソンという
二人の名優の演技ゆえでしょうか。
ヴァンサン・ペレーズの素晴らしい
監督と脚本ゆえでしょうか。
クリストフ・ボーカルヌ
の撮影ゆえでしょうか。
それとも
第二次世界大戦中
ベルリンで実際に起きた事件を
下敷きにしているからでしょうか。

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1940年6月ナチス・ドイツ軍
パリに入城。
時はまさにヒトラーの絶頂期。
軍需工場に勤めるオットー
国家社会主義女性同盟のアンナ。
彼らは良きドイツ人。
ある日、そんな夫妻の許に
一人息子戦死の知らせが届きました。

深い悲しみと喪失感に沈む二人――

オットーはやがて
カードに或るメッセージを書き始めます。
「総統は私の息子を殺した。
彼はあなたの息子も殺すだろう・・・」

翌日、彼はアンナと共に
その葉書をビルの階段に置いて
そっと立ち去りました。

その後も黙々とメッセージを書き続けるオットー。
共に配布するアンナ。
それは見つかれば死を意味する行為でした……

ベルリンに実在した夫婦が
強大な敵に抗した「ハンペル事件」を
基にした作品です。

一人息子が北部戦線の林の中で
斃れるシーンから始まり、
285枚の葉書を書き、
やがて発覚するまで、
ひたすら暗く地味なシーンが続きます。

でも、教育もなく
若くもない夫婦が
強大な敵に対して闘うその姿。
勇気という言葉は軽々しく使いたくありません。

心が震える程、感動しました。

名優の演技も素晴らしいけれど、
いろんなものがすべて合わさって
これだけ感動させるんだろうな、
と思います。

映画ってものすごい総合芸術です。

当試写室では7月に上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/27935413/
http://mtonosama.exblog.jp/27943159/





お忙しい中、お付き合いいただきありがとうございました。
どうぞ、皆さま良いお年をお迎えください。
試写室管理人


大晦日の今日、ポチッとして、くれたらうれしいわ♪ ひか
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by Mtonosama | 2017-12-31 06:45 | 映画 | Comments(10)

2017 BEST10 of
殿様の試写室
 

-4-


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きっと皆さまは
お正月準備に大童(おおわらわ)のことでしょう。

大わらわ?
よく聞く言葉ですが、
大きな童ってなんでしょう。
と気になり、調べてみたら
「昔、戦場では兜をかぶるために
髻(もとどり)は結わなかった。
その兜を脱ぎ捨て
髪を振り乱して戦う様が
子ども=童に似ていることから
例えて言われるようになった。
一生懸命になることをいう」
とありました。

すいません。

映画には全然関係ありません。
こんなことやっているから
正月準備ができないんでしょう。

でも、本作の主人公は
ある母子のために
大童になったといえます。
そんな次第ですので
管理人の寄り道を
大めに見てくださいませね。

さあ、2017年の第2位です。


2位
わたしはダニエル・ブレイク

I,Daniel Blake

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もう映画監督の道は退いて
隠居しようと考えていた名匠ケン・ローチ。

しかし、死に物狂いで助けを求める人に対して
国は余りにも非情ではないか・・・
「仕事をみつけられないならもっと苦しめ」
といわんばかりの実態を
目の当たりにした怒りから
隠居は中止し、本作を制作しました。

長年、大工として
真面目に暮らしてきたダニエル・ブレイク。
妻亡き後も真面目一筋で通してきました。
そんな彼が心臓発作を起こし、
ドクターストップがかかり
仕事ができなくなります。
でも、仕事をしないと
求職手当は支給されません。

わかりきった質問、
煩雑な手続き、
おまけにPCに触れたこともないのに、
申請はオンラインのみ・・・
そんな無慈悲な職業安定所で
出会ったケイティと子ども達との
友情と交流。

嗚咽をもらしながらの感動のラストーー

ケン・ローチ監督、
隠遁などと言わず、
もっともっと映画を撮り続けてください。

当試写室では3月に上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/27631503/
http://mtonosama.exblog.jp/27640294/





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by Mtonosama | 2017-12-30 06:21 | 映画 | Comments(4)

2017 BEST10 of
殿様の試写室 


-3-

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さて、今日から
いよいよBEST3に突入です。
とがった映画や
何かを厳しく追及する映画も
いいのですが、
やはりほのぼのする作品が
2017年の終わりには
ふさわしいかもしれません。
では、第3位いきます。


3位
はじまりの街

La Vita Possibile

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13歳の息子を連れて
住み慣れたローマから旅立つ母。
でも、楽し気な様子には見えません。
そう
主人公は夫のDVから逃れ
思春期の息子と共に
見知らぬ土地トリノへ
向かう途中なのです。

家族をテーマに
社会的弱者に寄り添った作品を
撮り続けてきた
イタリア人監督
イヴァーノ・デ・マッテオ監督の作品。

夫の暴力によって
身も心も傷ついた中年女性が
再生する物語です。

人間ってひとりじゃないな
ってことを改めて感じさせてくれる映画でした。

当試写室では10月に上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/28233829/
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by Mtonosama | 2017-12-29 05:50 | 映画 | Comments(6)

2017 BEST 10 of
殿様の試写室


-2-


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さて、年末恒例のBEST10。
熱海・貫一お宮像の
貫一の頭も欠けていますし、
前回は黒枠付きのお話ばかりに
なってしまいました。

過ぎた日々を振り返り、
かつ
来るべき年を見据えながら、
今日は6位から4位まで、
行きます。


6位
網に囚われた男

The Net


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最近、
北朝鮮からの漁船が多数漂着しています。
本作はまさに今の状況を
予言しているような映画でした。

漁船のモーターが故障し、
国境線を超えてしまった
北朝鮮の平凡な漁師の身に
ふりかかった運命。

分断された半島の悲劇を抉り出した
キム・ギドク監督、渾身の一作です。

ほぼ一年前の作品ですが、
未だに震えがきます。

当試写室では1月に上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/27417109/
http://mtonosama.exblog.jp/27425820/



5位
ドリーム

Hidden Figures

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元気の出る映画でした。
1960年代
東西冷戦下、アメリカは有人宇宙計画を推進。
ソ連との間で激しいつばぜり合い。
このアメリカの計画に
多大な貢献を果たした黒人女性数学者達。
知られざるヒロインたちに
スポットライトを当てた感動作です。

人種差別、男女差別に直面しつつも
素晴らしい頭脳と数学力で
突き進んでいった女性たちの
実話を基にした作品です。

当試写室では9月に上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/28158959/
http://mtonosama.exblog.jp/28166776/



4位
マンチェスター・バイ・ザ・シー

Manchester by the Sea


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ボストン近郊のリゾート地
マンチェスター・バイ・ザ・シーを
舞台に繰り広げられる
叔父と甥、兄と弟、父と子、
そして
弟家族の物語。

灰色の空と海に
海鳥の鳴く声が寂しげに響く――

暗く、寒く、寂しい
冬枯れの景色の中で
いろいろな家族の在り方を
考えさせられる秀作でした。

当試写室では5月に上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/27769885/
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by Mtonosama | 2017-12-28 07:51 | 映画 | Comments(6)

2017 BEST 10 of
殿様の試写室

-1-

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もう2017年もおしまいです。

なんか歳を重ねるほど
月日の流れが速いと
思いませんか?

当試写室管理人にとって
今年は
大事な人たちを
見送った年でした。

3月には
大学の先輩が
雪山で遭難しました。
当試写室で上映した
『三里塚のイカロス』にも
http://mtonosama.exblog.jp/28050528/
http://mtonosama.exblog.jp/28067697/

出演した先輩です。

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彼は残念ながら
本作を観ることはできず、
遭難現場には
リュックサックが発見されただけでした。

6月には
大学時代からの親友が
厳しい闘病生活を送り
亡くなりました。
彼女が「ラインなら読めるよ」
と言うから、スマホに変えましたが、
それにも次第に返信が来なくなり、
既読だけになり、
既読にもならない日が3日続いた日、
彼女の夫から電話がありました。
遺言でお葬式もなかったので
実はまだ亡くなった気がしません。

11月には
両親亡き後、
故郷に帰ると
いつも泊めてくれていた
伯母が亡くなりました。

心がボキボキ音を立てて
折れていきますが、
それでも前を向いて
歩きますわ。

さあ、そんな2017年の
BEST10
10位から7位まで
いきます!


10位

ノーエスケープ
自由への国境

DESIERTO

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トランプ大統領の壁発言の頃の上映ですが、
政治批判的な映画ではありませんでした。
トラックに乗って
米墨国境を越えようとした
15人の移民たちを
執拗に追跡する襲撃者。

アドレナリンがブシューッと噴出する
手に汗握るサバイバル・エンタテインメントでした。

当試写室では4月に上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/27754578/
http://mtonosama.exblog.jp/27762440/



9位

ラ・ラ・ランド
LA LA LAND

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久々に目も耳も楽しめる
ミュージカル映画でした。

なんたって冒頭のシーンに
がっつり掴まれました。

渋滞のハイウェイ。
イライラ
イライラ
それがリズムを刻み始めたと思ったら、
いきなりの群舞ですからね。

『ウェスト・サイド物語』にしたって
なんたってミュージカルは群舞でしょう。

こればっかりは観ていただくしかありません。

当試写室では2月に上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/27571299/ 
http://mtonosama.exblog.jp/27579989/



8位
ヒトラーに
屈しなかった国王


Kongens nei

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つい先日上映したばかりではありますが、
エリック・ポッペ監督も来日したことですし、
天皇生前退位も話題の昨今でありますので、
ノルウェーの歴史、あるいは
国王の選択というより
一人の老人の決断と人生を描いた作品
として
8位に選びました。

当試写室では12月に上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/28829875/
http://mtonosama.exblog.jp/28847446/



7位

未来に花束を
Suffragette

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良い映画でした。
観終わった後、昂揚感に
包まれたことを記憶しています。

オリジナルタイトルの“Suffragette”は
女性の参政権を求める活動家の
蔑称として生まれた言葉。
今では女性運動を指す言葉として
定着しています。

本作の舞台である約100年前のロンドン。
女性の参政権運動が先鋭化してきた
時代を生きた
貧しい女性労働者を描いた映画。

当試写室では1月に上映しました。
http://mtonosama.exblog.jp/27435188/
http://mtonosama.exblog.jp/27443954/




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by Mtonosama | 2017-12-27 06:06 | 映画 | Comments(4)

三毛猫ひかちゃん
-63-


あたし、ひかちゃん。

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さて、今月のお言葉よ。
「過去と相手は変えられないが、
未来と自分は変えられる」

う~ん、
未来と自分は変えられる・・・

そうね、
信ずるものは救われる、だわ。

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お見苦しいモノを
お見せしてごめんなさい。

あのね、
これ夫の人なんだけどね、
しつっこいのよ。

あたしがお外を見てるとき
いきなりつかまえようとしたのね。

でも、動作が緩慢だから
エイッ!て手をすり抜けたの。

その時、あたしの後ろ脚の爪で
ひっかかれたって大騒ぎなのよ。

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普段はこうやって
飼い主の孫の手でまったりよ。

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(おっかしいわね。なんでこの狛犬さん、逆さまなの?あ、また飼い主ね(怒))

ぶっとい脚をした狛犬さん。
こんな脚で蹴られたら
夫の人も
頬の傷くらいじゃすまないわよね。
この狛犬さんたちは
鶴が丘八幡宮に向かう
段葛の前で大切なお仕事してるんだって。

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そうそう、
なんで狛犬さんがいるかっていうとね、
飼い主の年長のお友達が
鎌倉でお惣菜屋さんを開店したの。

あ、年長のお友達って
いうと怒られるんだって。
そうよ、飼い主が150歳なら、
年長のお友達はいくつになるのよねぇ。

レンコンとゴボウとバラ肉の
お煮つけが本当に
美味しかったって。

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その間、
あたしはいつもの場所でお留守番。

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ん?

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ふにゃにゃ!?

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なんでもなかったわ。
またグルーミングに励まなくっちゃ。

押し詰まってきたわね。
飼い主は
お正月の準備もお掃除も
何もしないって開き直ってるわ。

皆さんも無理しないでね。

ひかり


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☆12月26日に更新しました。皆さまは良いクリスマスをお過ごしでしたか?飼い主☆
by Mtonosama | 2017-12-26 06:04 | 映画 | Comments(4)

わたしは、幸福(フェリシテ)
-2-

Felicite

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(C)ANDOLFI - GRANIT FILMS - CINEKAP - NEED PRODUCTIONS - KATUH STUDIO - SCHORTCUT FILMS / 2017


本作の舞台キンシャサは
コンゴ民主共和国の首都。
人口1000万人を超える
アフリカ有数の大都市です。
コンゴ河下流にあり、
対岸にはコンゴ共和国の首都
ブラザヴィルがあります。

フランス語圏の都市としては
パリに次ぐ世界で2番目の人口。

現在の人口増加が続けば
2020年には
フランス語圏最大の都市になる
と言われています。

映画は
まだまだインフラなどは
整ってはいないものの、
活気ある店舗や
人々の様子を映し出しています。

知らない土地をスクリーン上に
観るのは映画の醍醐味です。

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ストーリー
フェリシテはバーで歌って
生計を立てている。
その店の常連タブーは
彼女に好意を抱いている。

ある朝、
フェリシテの家の冷蔵庫が壊れた。
修理屋としてやってきたのはタブー。
彼が言うには
冷蔵庫のファンが
故障の原因だそうだ。
修理が続くので、
彼女は仕方なく
新品を買うことに決める。
しぶしぶタブーに金を渡し、
新しい冷蔵庫を頼む。

その日、
病院から電話が。

一人息子のサモが交通事故に
遭ったという。
急いで病院に駆けつけると
サモは虚ろな目をして
大部屋のベッドに。

彼は左足を骨折しており、
手術代と治療費で
100万コンゴ・フラン
(約18万5千円)が必要だ。

しかも前金だという。
まずは薬を買うように言われる。
疲れ果てた様子のフェリシテを
見かねて年配の女が
薬を買ってきてあげると
声をかけてくれた。
お金を渡すフェリシテ。
だが、女は金を持ったまま
消えてしまった。

なんとしても金が必要なフェリシテ。

バーでは
タブーが彼女のために
客から金を集める。
バンドメンバーも協力する。

翌朝
フェリシテが目を覚ますと
タブーが冷蔵庫の修理をしていた。
テーブルの上には金。
新しい冷蔵庫を買うため、
彼に渡した金を
手術代の足しになるように
返してくれたのだ。

フェリシテは叔母を訪ねる。
叔母は、
「お前は一度死んだが
棺の中で蘇り、
それで祝福と幸福を意味する
フェリシテという名前に
変えたのだ」
と話し、手術代を少しくれる。

散々な苦労をして集めた金を
病院へ持っていくが、
まだまだ足りない。
フェリシテは別れた夫にも会うが、
自分を捨てた彼女を恨んでいる夫は
無慈悲に追い返す。

フェリシテは見ず知らずの
土地の有力者の家にも行き、
金をもらおうとするが、
追い出される。
しかし、必死にすがるフェリシテの様子に
「二度と来るな」と言いつつ
金を渡してくれた。

金を持って再び病院へ。
だが、
一足遅かった。
サモの容体が悪化し、
足を切断されてしまっていたのだ……

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何があろうと
表情を変えず、
金策に走るフェリシテ。

彼女のいったいどこが
祝福と幸福だというのでしょうか。

キンシャサの街の雑踏を
泣きもせず、喚きもせず、
ただ、
息子の足を切らずにすませたい、
わずかな可能性をも
無駄にはすまい、
と歩き続けるフェリシテ。

その強さに圧倒されます。

と同時に
つい先日家族が入院した管理人は
何はともあれ
必要な手をうってくれる
日本の病院はありがたい、
コンゴに住んでいなくて良かった、
とつくづく思いました。
もちろん
入院費に愕然とはしましたけどね。

あ、すみません。
また私事に走ってしまいました。

コンゴ民主共和国100年の混乱は
インフラの遅れのみならず、
借りた金を返さない、
金は貸さない、
薬代をネコババする、
警官は賄賂をとる――
といった人々を
生み出してしまったんでしょうかねぇ。

そんな人間のいやらしさも
見せるからでしょうか。
お調子者タブーの
思わぬ純情と優しさに
張りつめていた心が緩みます。

魂を揺さぶるような歌と
演奏を背景に
アフリカの変わりつつある部分と
変わらぬ部分を
見ることができたような気がします。





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☆12月23日に更新しました。明日はイブですね。皆さまに良いことがありますように☆

わたしは、幸福(フェリシテ)
監督/アラン・ゴミス、脚本/アラン・ゴミス、脚本協力/オリヴィエ・ルストー、デルフィーヌ・ジング、
撮影/セリーヌ・ボゾン、製作/アルノー・ドメルク、ジャラルディーヌ・スプリモン、
ヴァネッサ・シジェフスキ、ジョルジュ・ショカール
出演
ヴェロ・ツァンダ・ベヤ/フェリシテ、ガエタン・クラウディア/サモ、パピ・ムカパ/タブー、
カサイ・オールスターズ
12月16日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町他ロードショー
2017年、フランス、セネガル、ベルギー、ドイツ、レバノン、129分、
リンガラ語&チルバ語&フランス語、字幕/斎藤敦子、字幕監修/奥村恵子、配給/ムヴィオラ
http://www.moviola.jp/felicite/

by Mtonosama | 2017-12-23 06:05 | 映画 | Comments(4)

わたしは、幸福(フェリシテ)
-1-

Felicite

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(C)ANDOLFI - GRANIT FILMS - CINEKAP - NEED PRODUCTIONS - KATUH STUDIO - SCHORTCUT FILMS / 2017

『わたしは、幸福(フェリシテ)』
これ、I’m happy
という意味ではありません。
主人公の名前が幸福(=フェリシテ)
なのです。

日本でいえば幸子でしょうか。
そういえば
『さちこ』という
ばんばひろふみの歌がありましたね。

♪幸せを数えたら片手にさえ余る
不幸せ数えたら両手でも足りない♪

1979年から80年にかけて
ヒットしたこの曲。
これを覚えているってことで
またまた自分の歳を
再確認させられてしまいますわ。

あ、いけない、いけない。
こんなことを言ってしまうと
ずっと『さちこ』に
引っ張られてしまいます。

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幸子、いえ、フェリシテは
コンゴ・キンシャサのバーで
歌を歌って生計を立てている
シングルマザーです。
歌手です。

その歌と音楽がまたすごい。
ワールドミュージック界の雄、
カサイ・オールスターズの
グルーヴ感溢れる音楽で
コンゴの熱い夜が
ダイレクトに伝わってきます。

といっても
音楽の映画ではないのですが。

彼女が幸福=フェリシテ
という名前なのは
幼い頃に一度死にかけ、
葬式の時に生き返ったから。

そのときフェリシテ=幸福という
新しい名前を与えられました。

彼女は誇り高く
自分を折ることのできない人間です。

一人で生きたいと
夫を捨て、
バーで歌いながら
シングルマザーとして
息子を育てるフェリシテ。

なにもかも“お金”のこの街では
タフでなければ
やっていけません。
そして、
彼女の家の冷蔵庫が壊れた日、
一人息子が交通事故に
遭います―――

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これまでに観たことのない
アフリカ映画でした。

猛獣も出てこなければ
槍を持った原住民も出てこないのは
もちろん
コンゴ民主共和国という
植民地から独裁政権、
戦争、混乱と
ヘビーな100年間を経てきた国を
舞台としながら
政治的なテーマの映画でもありません。

そう、
とにかく初めて観るアフリカ。
コンゴに暮らす等身大の女性のお話です。

監督は
アフリカ映画で最も栄誉ある
FESPACO映画祭で
史上初めて
最高賞(エタロン・ドール)を
2度受賞したアラン・ゴミス。

2017年ベルリン国際映画祭では
銀熊賞(審査員大賞)を受賞しました。

アラン・ゴミス監督は
コンゴの超人気バンド
カサイ・オールスターズの音楽と
女性ボーカル・ムアムブイの歌声に
触発され、
脚本を書きました。

歌声がイメージさせてくれたもの。
それは
人生は困難だけど、
音楽だけが人生の別の面を見せてくれる。
そんな日々を生きる女性の闘い―――
でした。

ジャングルもなく
『マンデラの名もなき看守』で
http://mtonosama.exblog.jp/m2008-05-01/
観たような貧民窟もなく、
知らない土地のドキュメンタリー映画のように
映し出されるキンシャサ市内。

でも、彼女の名の由来といい、
カサイ・オールスターズの音楽といい、
どこか原初のアフリカを思わせる部分もあり、
そそられます。

さあ、一体どんなお話なんでしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございますよ。



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☆12月20日に更新しました。どうぞ皆さまお風邪など召しませぬように☆

わたしは、幸福(フェリシテ)
監督/アラン・ゴミス、脚本/アラン・ゴミス、脚本協力/オリヴィエ・ルストー、デルフィーヌ・ジング、
撮影/セリーヌ・ボゾン、製作/アルノー・ドメルク、ジャラルディーヌ・スプリモン、
ヴァネッサ・シジェフスキ、ジョルジュ・ショカール
出演
ヴェロ・ツァンダ・ベヤ/フェリシテ、ガエタン・クラウディア/サモ、パピ・ムカパ/タブー、
カサイ・オールスターズ
12月16日(土)ヒューマントラストシネマ渋谷&有楽町他ロードショー
2017年、フランス、セネガル、ベルギー、ドイツ、レバノン、129分、リンガラ語&チルバ語&フランス語、字幕/斎藤敦子、字幕監修/奥村恵子、配給/ムヴィオラ
http://www.moviola.jp/felicite/

by Mtonosama | 2017-12-20 06:05 | 映画 | Comments(2)

アランフエスの
麗しき日々

-2-

Les BEAU JOURS d’ARANJUEZ

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(C)2016-Alfama Films Production-Neue Road Movies


鬱蒼と樹々が茂る小高い山の上。
午後を回った少しけだるい陽光と
空気が漂っています。

そこは
フランス・ベルエポックを
象徴する大女優サラ・ベルナール
が住んでいた屋敷。

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サラ・ベルナール ナダール撮影 1864年

庭に置かれた椅子の向こうには
田園地帯のかなたに
パリの街並みが
はるかに望めます。

そこに座った男女。
男は30代後半くらいでしょうか。
女は美しいけれど
男よりはかなり年長のよう。

黄色く霞んだような午後の陽光。
だが、藤棚の下にいる二人は
山の下から吹き上げる風の
中でとりとめもない対話を
交わします。

性的な体験、
子ども時代の思い出、
それぞれの記憶、
男と女の違い・・・

唐突な対話、
見えてこない二人の関係、
この対話はゲームなのか、
真剣なのか、
最終的な合意を
得ようとしているのか、
???
不思議な夏のダイアローグ・・・

庭に向かって
大きく開かれた窓。
その奥の書斎では
作家が一人
タイプライターを前にして
庭をみつめている。

観客が
その作家の目線で
窓外を見ると
藤棚の下に男女はおらず、
遠くに霞むパリの市街地・・・

男女は
作家の創造物?

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場面はベルナール邸の内外のみ。
登場人物は
男女と
作家と
ニック・ケイヴ
の4人だけ。

そして、人ではありませんが
大きなジュークボックス。

どこにもぶっとんだところはないのに、
なんか不思議な映画です。
逆に
ぶっとんだところのないことが
不思議さを生み出して
いるのかもしれません。

ヴィム・ヴェンダースは
『Pina/ピナ・バウシュ踊り続けるいのち』(’11)
http://mtonosama.exblog.jp/17198768/ 
http://mtonosama.exblog.jp/17210360/
『もしも建物が話せたら』(’14)
 http://mtonosama.exblog.jp/24971561/
 http://mtonosama.exblog.jp/24980390/
『誰のせいでもない』
http://mtonosama.exblog.jp/26855071/
http://mtonosama.exblog.jp/26907304/
を3Dで撮影しましたが、
3Dといっても
『アバター』なんかを想像すると
かなり違います。

“ナチュラル・デプス”といって
出来る限り正確に
二つのカメラの動きを目の動きに似せ、
何が
どうやって
目に映るのかを再現する
3Dです。

「数分もすれば
違った形で映画を観たことすら
観客は忘れるだろう」
と監督自身語っています。

このあたりで
魔法にかけられてしまったんでしょうか。

アラン・デロブという人が
発明した撮影法で、
特殊効果などは
使用していないのだそうです。

今回の作品への
ヴェンダース監督の思いは
まるで
本作が最初で最後の作品のよう、
と思ってしまいました。

彼は言います。
「自分が撮った作品を全部見てみると
二つの極端に違うカテゴリー、
もしくは信念が観てとれる。
一方は
ほぼ台本なしで
私と共にキャストとスタッフが
冒険に乗り出し、
映画を撮影する過程でのみ
具現化されたもの。
もう一方は
最初から最後まで細部に至るまで
綿密に計画され
しっかりとした
ストーリーラインに沿う
原作に基づいて作られたものだ」

本作はこのどちらにも
属していない作品だと彼は言います。
これまでの作品に共通するところは
音楽へのこだわりでしょうか。

唐突とも思える
ニック・ケイヴの登場には
驚きました。

ちょっとばかり
これまでのヴェンダース作品とは違います。

男女の会話と音楽と
ナチュラル・デプスに
耳と目を傾けるため
もう一度
映画館に行ってきたいと思います。



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アランフェスの麗しき日々
監督・脚本/ヴィム・ヴェンダース、プロデューサー/パウロ・ブランコ、ギアン=ピエロ・リンゲル、
撮影/ブノワ・デビ
出演
レダ・カテブ、ソフィー・セミン、イェンス・ハルツ、ニック・ケイブ
12月16日(土)EBISU GARDEN CINEMA他全国順次ロードショー
2016年、フランス、ドイツ、ポルトガル、フランス語、ドイツ語、英語、97分

by Mtonosama | 2017-12-17 07:05 | 映画 | Comments(8)

アランフエスの
麗しき日々
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Les BEAU JOURS d’ARANJUEZ

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(C)2016-Alfama Films Production-Neue Road Movies


当試写室では本日
ヴィム・ヴェンダースの最新作
『ベルリン・天使の詩』(‘88 日本公開)
以来30年ぶりとなるペーター・ハントケとの
コラボレーションである
『アランフェスの麗しき日々』を
上映します。

ペーター・ハントケ
1942年オーストリア生まれ。
グラーツ大学で法律学を専攻するが、
1966年小説「雀蜂」で
作家デビューした直後に中退。
同年、戯曲処女作「観客罵倒」を
フランクフルトで上演、
出演者4人が最初から最後まで
観客を罵倒し続けるという
前代未聞の演出構成で
センセーションを巻き起こした。
その時、ハントケは
当時のビートルズの
マッシュルームカットを
真似していたため
「文学界のポップスター」
と言われた。
小説、戯曲、詩、放送劇、
フランス文学翻訳と
様々な分野で活動。
ちなみに本作
『アランフェスの麗しき日々 夏のダイアローグ』も
フランス語で書かれた戯曲である。

『3枚のアメリカのLP』(‘69)の
脚本執筆を皮切りに
『ゴールキーパーの不安』(‘72原作/台詞)
『まわり道』(‘75原作/脚本)
『ベルリン・天使の詩』(‘87脚本)、
そして
『アランフェスの麗しき日々』
(‘16原作戯曲)と
5度にわたり
ヴィム・ヴェンダース監督と
コラボを組んでいる。

78年にはヴェンダース監督の
プロデュースのもと
76年発表の小説
「左ききの女」を
自らの脚本・監督で映画化。
また、
母親の自殺を扱った
「幸せではないが、もういい」(‘72)や
「ゆるやかな帰郷」(‘79)、
母方の祖父の故郷
スロヴェニアを旅する
「反復」(’86)など
自伝的な小説も少なくない。

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1996年の紀行文
「ドナウ、サーヴェ、モラヴィア、ドリナ河畔への冬の旅」
ではユーゴスラヴィア紛争に関して
ヨーロッパのメディアは
偏った報道をしていると批判。
それが親セルビア的で
あることから物議を醸した。
現在はフランス在住。

あ、そうそう、
本作に出演している
ソフィー・セミンは
ハントケ夫人です。

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長々とご紹介してしまいましたが、
オーストリア出身のこの作家、
実は同国グラーツに在住していた
大学時代の友人に教えてもらいました。
本はなかなか手をつけられず
本棚の中で変色し、
友人は45歳の若さで
亡くなってしまいました。
ゆみちゃん、ごめんなさい。
ちゃんと読むからね。

すいません。
また私事に走ってしまいました。

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監督自身
「100%思いのままに撮った
生涯で初めての映画だ」
という本作。

その理由は
戯曲が題材だからであり、
映画がフランス語で展開されるからであり、
”ナチュラル・デプス“3Dで
撮影されたからであり、
映画の舞台が
女優サラ・ベルナールの邸宅だけ
だったからであり、
たった10日間で制作されたから。

でも、
一番大きな理由は
自分の意図がそのまま
最終型に至った
初の作品だからです。

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やるべきことを
やってきた巨匠だからこそ
できたのでしょうね。

映像作家として
これ以上の幸せはないでしょう。

正直なところ
観客はかなり当惑しますが・・・

さあ、一体どんな映画なのでしょう。
続きは次回まで
乞うご期待でございます。



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アランフェスの麗しき日々
監督・脚本/ヴィム・ヴェンダース、プロデューサー/パウロ・ブランコ、ギアン=ピエロ・リンゲル、
撮影/ブノワ・デビ
出演
レダ・カテブ、ソフィー・セミン、イェンス・ハルツ、ニック・ケイブ
12月16日(土)EBISU GARDEN CINEMA他全国順次ロードショー
2016年、フランス、ドイツ、ポルトガル、フランス語、ドイツ語、英語、97分

by Mtonosama | 2017-12-14 05:31 | 映画 | Comments(2)