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殿様の試写室

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殿が観た最新映画をいち早くお知らせ!

         オーケストラ! -1-
                  Le Concert

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             (c)2009 - Les Productions du Tresor

オーケストラ   オーケストラ!
感嘆符がついているといないとでは、雰囲気がまったく違いますよね。
ひとつで、なんか楽しげ。期待できそうな感じが湧き上がってきます。

映画の中で演奏されるのは
モ―ツァルト「ピアノ協奏曲第21番ハ長調kv467」
チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲ニ長調Op.35」
あるいはバッハ「無伴奏チェロ組曲第1番ト長調BWV1007」
他にもロッシーニ、シューマン、パガニーニ…
なじみの曲もあれば、そうでない曲もありますが、とにかくクラシックのオンパレード。

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にもかかわらず
にやりとしたり、ハラハラしたり、なおかつ、政治の不条理に怒ったり。
そんなことができるのも感嘆符がかけた魔法のせいかもしれません。
はたまた脚本のおもしろさでしょうか。

ロシア・ボリショイ交響楽団の劇場清掃員が
楽団の指揮者に化けて、寄せ集めのオーケストラを引き連れ
花の都パリはシャトレ劇場に乗り込み、喝采を浴びる―――

実は、その清掃員アンドレイこそ、30年前は天才と呼ばれ
ボリショイ交響楽団の首席指揮者を務めたほどの人物。
そして、寄せ集めの団員たちも同じく30年前は
ボリショイ交響楽団の優秀な演奏家たちだったのです。

とまあ、なんとも荒唐無稽なお話なのですが、そそられます。
ラデュ・ミヘイレアニュ監督も、そそられてしまったひとり。

ラデュ・ミヘイレアニュ監督は1958年、ルーマニアのブカレスト生まれ。
80年チャウシェスク政権下にあったルーマニアから亡命。
ユダヤ系ジャーナリストの息子としてイスラエルの保護下に入った。
次いでフランスに移り、IDHEC(高等映画学院)で映画を学ぶ。
80年代、マルコ・フェレーリ監督の助監督を務めた。
短編映画「Les Quatre Saisons」(‘80)を経て、93年に共同脚本も担当した「Betrayal」で
長編映画の初監督を務める。この作品はモントリオール映画祭の審査員特別賞をはじめ
世界中の映画賞を獲得。
2作目の「Train of life」では国際的な成功をおさめ、ヴェネチア映画祭で2つの賞を
サンダンス映画祭で観客賞を受賞。
2005年の「約束の旅路」では、セザール賞最優秀脚本賞を受賞し
ベルリン国際映画祭でも審査員賞をはじめ、3つの賞を獲得した。

監督もまた冷戦下の東欧で歴史の荒波に翻弄されたひとですが
あるプロデューサーから渡されたひとつのシノプシスが
この映画をつくるきっかけとなりました。
それは「パリへ向かう偽のボリショイ交響楽団の物語」というもの。

このアイデアを気に入ったラデュ監督。
プロデューサーに同じアイデアで自分自身の脚本を書きたいと申し出ました。
了承を得て監督は取材のため、ロシアへ。
キャラクター、セリフ、アイデアなどのヒントをしこたま仕入れて書き上げたのが
本作「オーケストラ!」の脚本です。

ロシア取材の成果は随所に。
ゴリゴリの共産党員であるマネージャーの携帯の着信音楽が革命歌「インターナショナル」だったり
動員されたサクラの前で陶酔してアジテーション演説をする老共産党員とか
また、そのサクラの動員を商売にする元指揮者アンドレイの妻とか

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専横をきわめたソ連・共産党員のなれの果ては
わびしいような、おかしいような。

あるいは、ソ連・ブレジネフ政権下で行われたユダヤ人迫害の悲話を
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲をバックに描くなど
見どころ聴きどころ満載です。

とっても大変な時代のお話なのですが
ロシア人とフランス人、ダサさと洗練、重いと軽い
の対照のおかしさに、つい笑ってしまいます。

でも、ストーリーを貫くのはクラシック音楽。
それも教養としてのクラシックではなく、
人生に密着したクラシックというところがちょっと並みの映画とは違います。

人生に密着したクラシック?
そうなんです。
クラシック音楽って、気取ってるだけじゃないんです。
人生のワンシーンなんです。

それにしても、アンドレイはなにゆえ清掃員になったのか、知りたいでしょう?
ですが、それは次回までのお楽しみということで。

To be continued.

オーケストラ!
監督・脚本/ラデュ・ミヘイレアニュ、共同脚本/アラン=ミシェル・ブラン、マシュー・ロビンス、原案/ヘクトール・カベッロ・レイエス、ティエリー・デ・グランディ、音楽/アルマン・アマール、製作/アラン・アタル、撮影監督/ローラン・ダイアン
出演
アレクセイ・グシュコブ/アンドレイ・フィリポフ、メラニー・ロラン/アンヌ=マリー・ジャケ、フランソワ・ベルレアン/オリヴィエ・デュプレシス、ドミトリー・ナザロフ/サシャ・グロスマン、ミュウ・ミュウ/ギレーヌ・ドズ・ラ・リヴィエール、ヴァレリー・バリノフ/イヴァン・ガヴリーロフ、アンナ・カメンコヴァ/イリーナ・フィリボヴナ
4月17日(土).Bunkamuraル・シネマ、シネ・スイッチ銀座他全国順次ロードショー、2009年、フランス、124分、配給/ギャガGAGA★、http://orchestra.gaga.ne.jp/


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# by mtonosama | 2010-03-19 06:31 | 映画 | Comments(6)
              ソラニン -2-

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        (C)2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会 写真:太田好治

「ソラニン」ってなんだったっけ?
と、思いませんでした?すぐに分かった人は「理科」好きのひと(笑)。

「ソラニンはジャガイモ・トマトの芽に多く含まれるアルカロイド。
多く摂取すれば嘔吐・腹痛・頭痛などの中毒症状を起こす」
と広辞苑にはあります。

ソラニンは毒ですが、その植物の成長のためには必要不可欠な成分なんですって。
これ、ポイントです。カツカツ(と、チョークで黒板をたたく)。

ストーリー

OL2年目の芽衣子(宮崎あおい)。
多摩川に近い小さなアパートで種田(高良健吾)と一緒に住んでいます。
芽衣子、今の職場を気に入ってはいません。
種田、バンド活動をしています。フリーターです。
大学時代、軽音楽サークルで知り合ったふたりはつきあい始めてもう6年。

やりがいのない仕事とかったるい人間関係。
「会社、辞めちゃおっかな」とつぶやく芽衣子に
「辞めちゃいなよ。ほんとにそうしたいなら。
行きつく先が世界の果ての果てだとしても、芽衣子と俺はずっと一緒なんだから」
そして、芽衣子は辞表を出します。

仕事を辞めた芽衣子は種田がギターとヴォーカルを担当するバンド「ロッチ」の
練習を見にいきます。
メンバーは大学時代のサークルの仲間。
実家の薬屋を継いでいるドラムのビリー(桐谷健太)。
ベースの加藤(近藤洋一)は大学6年生。
加藤のカノジョのアイ(伊藤歩)は芽衣子の親友。
5人で集まれば、すぐに楽しかった大学時代にタイムトリップできます。

でも、その帰り道、酔っ払った種田は生活への不安を口にします
勢いで仕事を辞めた芽衣子だって、焦りや不安は同じ。

自分の不安には蓋をして
「才能ないから、本気じゃないから、いつも逃げてばっかり。
種田は好きな音楽のことで誰かから批判されるのが怖いんでしょ」
と責める芽衣子。
気まずい空気の中、仕事に向かった種田でしたが
芽衣子の言葉をきっかけにして、真剣にギターを弾きたい本当の自分に気づきます。

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種田はバイトを辞め「今度チャンスを掴めなかったら、バンドは解散」と宣言。
スタジオで演奏にうちこむ種田たち。
完成したデモCDをレコード会社やライブハウスに送付したあと
5人は川辺で花火に興じるのでした。
新しい一歩への出発。

数日後、大手レコード会社から連絡が入ります。
ですが、担当者・冴木(ARATA)の提案は「グラビア・アイドルのバックバンドをしないか――」
現実は甘くない。

ある日、種田の口に出した言葉は「芽衣子さん、俺たち別れよう」。
「ウソつき!ずっと一緒だからって言ったじゃん」
でも、その日、種田は家を出ていってしまいました…

よくある青春恋愛映画ではあります。
ネタばらしすると、この後、種田は交通事故で死んでしまいます。

若木をへし折るような突然の死。
泣いているだけの芽衣子、そして、仲間たち。
立ち直れそうもありません。

でも、それだけだったら
「ソラニン食べ過ぎて嘔吐してしまいました。頭も痛くなりました。はい、おしまい」
で終わってしまいます。

覚えていますか?
ソラニンはその植物の成長のためには必要不可欠な成分なんです。

          芽衣子たちは成長します。

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人は生まれてきた以上、なにかを残していかなくてはなりません。
生き残った人は、かつて生きていた人の存在証明をしなくちゃなりません。

          種田くんの存在証明は感動的なラストシーンの中にありました。

今、24歳の人、かつて24歳だった人、漫画を好きな人、嫌いな人。
この感動のラストには泣きます。

ソラニン
監督/三木孝浩、原作/浅野いにお(「ソラニン」小学館ヤングサンデーコミックス刊)、
脚本/高橋泉
出演
宮崎あおい/井上芽衣子、高良健吾/種田成男、桐谷健太/ビリー、近藤洋一(サンボマスター)/加藤賢一、伊藤歩/小谷アイ、ARATA/冴木隆太郎、永山絢斗/大橋、岩田さゆり/鮎川律子、美保純/芽衣子の母、財津和夫/種田の父
4月3日(土)新宿ピカデリー、渋谷シネクイント他全国ロードショー
配給/アスミック・エース、2010年、日本/126分、http://solanin-movie.jp/


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# by mtonosama | 2010-03-16 05:47 | 映画 | Comments(5)
               ソラニン -1-

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       (C)2010浅野いにお・小学館/「ソラニン」製作委員会 写真:太田好治

自分のことで恐縮ですが、殿はすばらしい子ども時代を過ごしました。
それは漫画読み放題という時代です。
はい、小学1年のとき、近所のお友達のおうちが貸本屋さんを開業しまして。

もしかして、貸本屋をご存知ない方もいらっしゃいますよね。
貸本屋には貸本用につくられた漫画本がお店の棚いっぱいに並べてあるんです。
子どもにとっては、まさに漫画の森ともいうべき天国のような空間。

読みたい本を選んだら、小さな机に向かって座っているおばちゃんに
1冊につき10円を支払い、家へ持ち帰り、読み終わったら返すというシステム。
そうです、そうです。図書館みたいなものです。

抑えのきかない1年生は毎日おばちゃんのところへ通い
5冊も6冊も借り出して、読み狂っていました。
それも月末ツケ払いという、子どもなのに大人読みの日々。
遠い昔のことですが、「影」という貸本シリーズが記憶に残っています。

大昔の漫画の話を持ち出して、あいすみません。
これほど漫画好きだった殿なのに
映画となると「え、漫画が原作なの?」とひいてしまいます。
漫画の人気にのっかった映画づくりって「ちょっと安直じゃあ、ありませんか」
という漠とした反感がありまして。

でも、昨年、当試写室で上映した是枝裕和監督の「空気人形」も漫画出身でした。
良い漫画=良い映画という公式は存在しませんが、良い映画はやっぱり良いですねぇ。

「ソラニン」も2005年から2006年まで週刊ヤングサンデーに掲載された
浅野いにおさん作の人気漫画です。

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大学を出て2年目の男女5人(ひとりは留年中ですが)。
まだ24、5歳という若い年代だから、身体的には元気いっぱい。
でも、「オレ、これでいいんだろうか」とか
「人生、そんなに思い通りにいかないな」とか
「あ~、つまんない」とか
現実からの手痛いパンチに顔や心をしかめることが多くなってきます。

そんなとき、戻っていくのが「あの頃は楽しかったよね」という
共通のへその緒でつながった大学時代の友だちのところ。

原作者の浅野いにおさんは
「言葉にできない不安を感じつつ、必死に希望をみつけようとする。
なのに、どこか心地よい、そんな20代前半という時期は
春のようにあっという間に過ぎ去ってしまうのかもしれません」
と表現しました。

漫画のコマの中から立ち上がって肉体を得た芽衣子さんや種田くんたちが見せてくれる人生の春。
ほんとの春も人生の春も、思わぬ突風が吹いたり、強い雨が降ったり
ほのぼの、ぬくぬくとばかりはいきません。

芽衣子さん、種田くん、ビリー、加藤くん、アイちゃん
5人はどんな人生の春を過ごすのでしょうか。

To be continued.

ソラニン
監督/三木孝浩、原作/浅野いにお(「ソラニン」小学館ヤングサンデーコミックス刊)、
脚本/高橋泉
出演
宮崎あおい/井上芽衣子、高良健吾/種田成男、桐谷健太/ビリー、近藤洋一(サンボマスター)/加藤賢一、伊藤歩/小谷アイ、ARATA/冴木隆太郎、永山絢斗/大橋、岩田さゆり/鮎川律子、美保純/芽衣子の母、財津和夫/種田の父
4月3日(土)新宿ピカデリー、渋谷シネクイント他全国ロードショー
配給/アスミック・エース、2010年、日本/126分、http://solanin-movie.jp/


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# by mtonosama | 2010-03-13 05:57 | Comments(10)
掌の小説 -2-

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                    ©「掌の小説」製作委員会

さてさて、本作は4人の新進気鋭の監督たちによるオムニバス映画です。
ですが、4編すべてに共通するものが2つあります。

1つは満開の桜。
そして、もう1つは昨年12月24日に亡くなった名優・奥村公延さん。

奥村さんが4篇の作品を綴り合わせる1本の糸のように登場し、それがとても印象的です。
本作は奥村さんの最後の作品となりました。合掌。

第1話「笑わぬ男」 (原作:「笑わぬ男」「死面(デスマスク)」)

監督は岸本司さん。初の劇場長編作品「アコークロー」が全国公開され
沖縄では動員記録を塗り替えるなど、話題になりました。

ストーリー
磨りガラスごしの光がさしこむ小さなアパート。
それは路地の奥にひっそりとたたずんでいました。
住んでいるのは若い夫婦です。
妻は病で臥せっており、夫は売れない小説を書いていました。

アパートから一歩外に出れば、子どもがチャンバラごっこをし
ラッパを吹いて豆腐屋が通る――
昭和の初めでしょうか。当たり前で平和な日常の光景が拡がります。

死期が近づいているのか、妻は夜になると「足が寂しい」と訴え
夫はそんな妻の細く白い足をさすり続けます。
ある日、「桜が見たい」という妻のために、夫は桜の花が咲き誇る裏山へ向かいます…

「桜の樹の下には屍体が埋まっている」
という一節を思い出させるしいんとした作品。
満開の桜と死とエロスは同じものなのかもしれないと、ふと思ってしまいました。

監督/岸本 司
出演
吹越 満/男、夏生ゆうな/女、コ―ジ―冨田/友人K


第2話「有難う」 (原作:「有難う」「朝の爪」)

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NY市立大学院映画学科で2年間映画制作を学んだ三宅伸行監督。
卒業後、カメラマンとして仕事をしながら監督した「116」がパームスクリング映画祭などで
受賞しています。

ストーリー
菊子は母と一緒に乗合バスに乗っています。
町に向かう山道は桜が満開。
菊子たちが乗ったバスの運転手は皆から(ありがとさん)と呼ばれて愛されている青年でした。
バスに道を譲ってくれた大八車や馬車や馬、誰にでも
「ありがとう」と声をかける感じのいい人物だったからです。

「〈ありがとさん〉のバスに乗れたからあんたは運が良い」と喜ぶ母。
桜が咲き誇る山道を、14歳の菊子は娼婦として町に売られてゆくのでした…

満開の桜の下を村から町へ向かうバスが
菊子14歳から22歳への時空の移動を表現しているような静かな不思議な作品。
桜の下で交わされる心優しい挨拶に、心の奥の細い糸が静かに共鳴します。
観ているこちらの口元もゆるみ、「ありがとう」とつぶやきたくなるような。
監督/三宅伸行
出演
寉岡萌希/菊子14歳、中村麻美/菊子22歳、星ようこ/保子


第3話「日本人アンナ」 (原作:「日本人アンナ」)

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監督の坪川拓史さんは舞台俳優やアコーディオン奏者として活動しながら映画制作をしています。
1996年から9年の歳月をかけて完成した長編第1作「美式天然」で第23回トリノ国際映画祭・長編コンペティション部門に招かれ、最優秀作品賞、最優秀観客賞をダブル受賞。
日本人としては初の快挙をなしとげました。
本作「掌の小説」では初めてプロデューサーも務めています。

ストーリー
ある日、「私」はロシア人の少女・アンナに財布を掏られてしまいます。
アンナは町の映画館でロシアの歌を歌う少女。
ロシア革命の混乱の中、亡命してきた貴族の娘というふれこみです。
アンナに魅せられた「私」は少女が小さな弟と泊まっている宿をみつけ
隣の部屋の襖のすきまからアンナの姿を覗き見ていました。
そんな日が数日続きましたが、突然アンナは町からいなくなってしまいます。
翌年の春、「私」は満開の桜の下でアンナに良く似た少女と出会います…

大正時代のほの明るい街の活気が懐かしさをそそり
知らない時代のはずなのに、なぜか心にしみる光景。
今は誰も使わない「おにいさま、そうじゃなくってよ」という優しい言葉が
心地よく耳に響きます。
監督/坪川拓史
出演
福士誠治/「私」、清宮リザ/アンナ、菜葉菜/「私」の妹


第4話「不死」 (原作:「不死」)

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監督は歌手・川嶋あいのオフィシャルカメラマンとして全国各地で行われた1000回ライブを撮影。
その映像を基に初の劇場公開作品となる長編ドキュメンタリー映画「最後の言葉dear beloved」
(‘05)を発表した高橋雄弥さん。
映画だけでなく、さまざまな分野の映像を精力的に制作しています。

ストーリー
毎日毎日、同じ木の下で凧を揚げ続ける老人・新太郎。
彼はある日雑踏の中で、遠い昔に死んだ恋人みさ子をみつけ
手に手をとって、桜の木に向かって歩き始めます。
そこはかつてみさ子が亡くなった場所でした。

数十年の時を経て、恋人に再会した新太郎は満開の桜の木の下で
高々と凧を揚げ始めました…

4編を通じて顔を出していた凧を持った老人の姿が本編でようやく明らかになります。
満開の桜と死。美しく、淋しく、幻想的な作品です。

ひとびとが桜に狂うのは今が限りと咲く花に自分を重ねるからなのかもしれません。

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さあ、もうすぐ桜が咲きます。花見ですよぉ―――
監督/高橋雄弥
出演
奥村公延/新太郎、香椎由宇/みさ子

「掌の小説」
監督/坪川拓史、三宅伸行、岸本司、高橋雄弥、原作/川端康成(新潮文庫)、プロデューサー/浅野博貴、坪川拓史、小林洋一、撮影/板垣幸秀、八重樫肇春、主題歌/「四季」Kagrra(KINGRECORDS)
出演
吹越満、夏生ゆうな/寉岡萌希、中村麻美、長谷川朝晴/福士誠治、清宮リザ、菜葉菜/香椎由宇、奥村公延
3月27日(土)より、ユーロスペースにてモーニング&レイトショー 他全国順次公開予定
2010年、日本、80分、カラー&モノクロ、配給/エースデュース、配給協力/グアパ・グアポ、www.tenohira-kawabata.com/

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# by mtonosama | 2010-03-10 06:46 | 映画 | Comments(10)
掌の小説 -1-  

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                  ©「掌の小説」製作委員会

昨年来、日本の文芸作品がたくさん映画化されています。
昨年は社会現象や流行語にもなった小林多喜二「蟹工船」。
生誕100周年を迎えた太宰治の「ヴィヨンの妻」。
今年も太宰治「人間失格」、川端康成の本作「掌の小説」
芥川龍之介「トロッコ」そして村上春樹「ノルウェイの森」と続いています。

「ノルウェイの森」はキャストも発表され、今秋公開の予定です。
ちなみに主人公ワタナベ役は松山ケンイチ、直子役は菊池凛子だとか。
読んだ人が多い小説なだけにそれぞれ思い入れも深く
このキャスティングにはいろいろな意見がありそうですね。
監督がベトナム出身のトラン・アン・ユンだけにちょっと意外な配役でした。

いえいえ、今回は「ノルウェイの森」は関係ありません。
恥ずかしながら、ちょっと熱くなってしまった殿ですが
おなじみの小説が映画化されるのって、緊張します。
お気に入りの作家の、それも、好きな作品だったりすると
映画化によってイメージが変わってしまうのって、絶対イヤですよね。
殿の最大ガッカリは江戸川乱歩小説の映画化作品です。
(あ、でも、乱歩の「芋虫」を原案にした若松孝二監督の「キャタピラ」は観てみたいですが)

いけない、いけない。話がそれてしまいました。
「掌の小説」です。川端康成です。

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「掌の小説」
川端が40年余にわたって書き続けてきた作品集で、話の長さは短いもので2ページほど、長いものでも10ページに満たない122編の短編小説を収録したもの。

本人は「この巻の作品の大半は二十代に書いた。多くの文学者が若い頃に詩を書くが、私は詩の代りに掌の小説を書いたのであったろう。無理にこしらえた作もあるけれども、またおのずから流れ出たよい作も少くない。今日から見ると、この巻を『僕の標本室』とするには不満はあっても、若い日の詩精神はかなり生きていると思う」と評しています。(WIKIPEDIAより)

かなりの自己評価ですね。でも、12年後に出された全集ではこれを覆し
「わたしの歩みは間違っていた」と自己嫌悪を述べているそうですが。

川端康成といえばノーベル文学賞受賞作家
あるいは「伊豆の踊り子」「雪国」の作者というように日本を代表する作家です。
映画化された作品も多いですよね。

f0165567_5263572.jpgところが、この作家ほど本人のイメージと作品が違う人っていないんじゃないでしょうか。
殿なんて、川端康成の「眠れる美女」を読んだとき、そのじっとりとしたエロティシズムにびっくりしました。
「眠れる美女」は2005年ドイツで映画化され、ヴァディム・グロウナが監督、製作、脚本、主演をこなしましたが、いやぁ、まいりました。
小説も映画も、あのぎょろりとした目の大先生という川端の風貌とエロティックな老人愛がどうしても結びつかず当惑したものです。

文芸作品の映画化は監督の思い入れの激しさみたいなものにがっかりというか、ちょっとひいてしまう部分もあるものです。


しかし
時代の空気を描きだすことを大切にした4人の監督の映像には
おおげさなものがなく、川端康成の「詩精神」が漂っていました。

あ、そうなんです。
この映画は「笑わぬ男」「有難う」「日本人アンナ」「不死」という4作を
4人の監督がオムニバス形式で綴ったものです。

というところで、4話のご紹介は次回までお待ちください。乞うご期待であります。

To be continued.

「掌の小説」
監督/坪川拓史、三宅伸行、岸本司、高橋雄弥、原作/川端康成(新潮文庫)、プロデューサー/浅野博貴、坪川拓史、小林洋一、撮影/板垣幸秀、八重樫肇春、主題歌/「四季」Kagrra(KINGRECORDS)
出演
吹越満、夏生ゆうな/寉岡萌希、中村麻美、長谷川朝晴/福士誠治、清宮リザ、菜葉菜/香椎由宇、奥村公延
3月27日(土)より、ユーロスペースにてモーニング&レイトショー 他全国順次公開予定
2010年、日本、80分、カラー&モノクロ、配給/エースデュース、配給協力/グアパ・グアポ、www.tenohira-kawabata.com/


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# by mtonosama | 2010-03-07 05:57 | 映画 | Comments(10)