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馬を放つ
-2-
Centaur

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アクタン・アリム・クバト監督が
メガホンをとり、自ら主演も務めた本作。

雄大な自然は昔のままでも
少しずつ変わりつつある
キルギスの小さな村で生きる
純粋な男の姿を通じ、
誇り高い騎馬民族の誇りや
文化的なアイデンティティを
失いつつある時代を
静かに問いかけてくる作品です。

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ストーリー
キルギスの小さな村。
村人たちから“ケンタウロス”と
呼ばれている穏やかな男は
聾唖の妻と息子の3人で
静かに暮らしていた。

しかし、
”ケンタウロス“には秘密があった。
彼はキルギスに古くからある
伝説を信じ、
夜になると厩舎につながれた
馬を解放し、野に放っていたのだ。

村ではこれが次第に問題となり、
犯人を捕まえるために罠が仕掛けられる……

シルクロードの昔から
何も変わっていないような
小さな村にも
知らず知らずの内に
時代の変化は訪れています。

映画の中でも
昔ながらのキルギスの帽子を
かぶっている人もいれば
ロシア正教の葬列が
ケンタウロスの横を
通り過ぎていったりもします。

1991年8月に独立したキルギス。
キルギス人の祖先は遊牧民族。
そして、
馬は自由の象徴。

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しかし、
騎馬民族が大陸を自在に
走り回っていた時代の自然は
変わっていなくても
ソ連領内の頃を経て
ロシアの影響も大きく、
文化面でも民族面でも
なかなかに
ハイブリッドな社会なのでしょう。

一番大きく変わったのは
ここ100年以内のことかもしれませんね。

この物語は
監督の村で起きた実話がもとになっているそうです。
ある時、村でサラブレッドが盗まれ、
捕まえた犯人に盗んだ理由を問い詰めても答えません。
結局、素晴らしい馬に乗りたかっただけ
ということがわかりました。

このエピソードが監督の心に火をつけました。
本作はそのエピソードに
民族が抱える悩みや歴史、伝統の要素を取り入れて、
つくられました。

監督は言います。
「キルギスは独立して新しくなり、
様々な変化が起きていますが、
自分の国のルーツがどれだけ大切かわからないと
本当の意味での発展はありません」


2010年の『明りを灯す人』は
貧しい田舎町で
電柱に明りを灯す男の
ほっこりとした素朴で
なつかしいような映画でした。

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それから8年。
8年もの年を経ると
いろんなことが
変わっていってしまいます。

モンゴルではゲルに暮らす人々も
少なくなっていくし、
キルギスでも
馬も自由の象徴では
なくなっていくのでしょうか。

それだけに
主人公がくびきを解いた馬に
またがり、平原を駆ける姿は圧巻でした。
世の中はどれだけ変わっていくのでしょう。



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馬を放つ
監督・脚本/アクタン・アリム・クバド
出演
アクタン・アリム・クバド、ヌラリー・トゥルサンコジョフ、ザレマ・アサナリヴァ
3月17日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー
2017年、89分、キルギス・フランス・ドイツ・オランダ・日本合作、配給/ビターズ・エンド、http://www.bitters.co.jp/uma_hanatsu/

by Mtonosama | 2018-03-06 08:22 | 映画 | Comments(6)

馬を放つ
-1-

Centaur

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「熊を放つ」という
ジョン・アーヴィングの小説があります。
翻訳は村上春樹です。

すいません。
邦題が似ているので思い出しただけで、
本作とは何の関係もありません。

邦題は『馬を放つ』ですが
オリジナルタイトルは“Centaur”。
そう、ケンタウロスです。

ケンタウロスというのは
ギリシア神話に登場する半人半獣の種族の名前。

といっても、
半人半獣の生物が
本作に登場する訳ではありません。
村人たちから
“ケンタウロス”と呼ばれている
男のお話です。

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舞台は中央アジアの美しい国
キルギス。
標高5千メートルを超える
天山山脈のふもとに広がる
山岳と草原の国です。

管理人はキルギスには行ったことは
ありませんが、
中国西域を訪れた時
天山山脈を仰ぎ見たことがあります。

あまりに気高く美しく
涙が出てしまいました。

そんな美しい天山山脈の
麓に広がるのがキルギスです。
かつてシルクロードの一地点として
栄えた場所です。

キルギス
中央アジアに位置する
旧ソビエト連邦の共和制国家。
首都はビシュケク(旧名フルンゼ)。
かつての正式国名は
キルギスタンであり、
改称以降も別称として
公式に認められている。
ソビエト連邦から独立した
ウズベキスタン、カザフスタン、
トルクメニスタン、タジキスタン
と共に中央アジアを形成し、
独立国家共同体 (CIS) 加盟国である。
かつて匈奴と呼ばれていた遊牧民族。
(Wikipediaより)

「大昔、キルギス人と日本人は兄弟で
肉が好きなものはキルギス人となり
魚が好きなものは
日本に渡って日本人となった」
と言われる程
キルギス人と日本人は
顔がよく似ています。

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美しい大地を馬で駆け抜け
自然の恵みを受けてきたキルギスの人々。

遊牧民を祖先に持つ彼らの間には
馬と人間を結びつけ
村人たちを団結させてきた
伝説がありました。

しかし、時は流れ、
暮らしも変わり、
伝説は人々の記憶から
消えようとしています。

監督は
『あの娘と自転車に乗って』(’98)
『明りを灯す人』(’10)などで
国際的に高く評価される
アクタン・アリム・クバド。

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アクタン・アリム・クバド監督
1957年、キルギス、
キントゥー村生まれ。
ビシュケク美術専門学校を卒業後、
90年に短編ドキュメンタリー
“A Dog Was Running”で監督デビュー。
93年、中編劇映画「ブランコ」が、
第46回ロカルノ国際映画祭の
短編映画部門で
金豹賞(グランプリ)を受賞。
98年、長編劇映画デビューとなる
『あの娘と自転車に乗って』が、
第51回ロカルノ国際映画祭で
銀豹賞(準グランプリ)。
ヴィエンナーレ、東京など
数々の国際映画祭で受賞。
01年には『ブランコ』
『あの娘と自転車に乗って』に続く、
自身の少年時代を描いた
3部作の最終章『旅立ちの汽笛』を発表。
10年、監督作にして初主演作
『明りを灯す人』(10)は、
第63回カンヌ国際映画祭監督週間
に出品。
ロカルノ、トロント、
モントリオール、ヴェネチアほか
数々の国際映画祭で上映され
国内外から高い評価を受ける。
最新作『馬を放つ』では
第90回アカデミー賞®
外国語映画賞キルギス代表。
第67回ベルリン国際映画祭
パノラマ部門アートシネマ連盟賞受賞、
ベルギーMOOOV 映画祭
2017最優秀作品賞受賞。

日本人にそっくりな監督が
脚本も主演もしている本作。

さあ、一体どんなお話でしょう。
続きは次回まで乞うご期待でございます。



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馬を放つ
監督・脚本/アクタン・アリム・クバド
出演
アクタン・アリム・クバド、ヌラリー・トゥルサンコジョフ、ザレマ・アサナリヴァ
3月17日(土)岩波ホールほか全国順次ロードショー
2017年、89分、キルギス・フランス・ドイツ・オランダ・日本合作、配給/ビターズ・エンド、http://www.bitters.co.jp/uma_hanatsu/

by Mtonosama | 2018-03-03 06:56 | 映画 | Comments(6)
               明りを灯す人 -2-
               SVET-AKE(THE LIGHT THIEF)

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                   世界にはまだまだ知らない国があるものです。
       キルギス共和国といわれても、元ソビエト連邦に属していたキルギスタンという国があったな、
                      ということくらいは知っていても、
                    そこに暮らす人がどんな顔をしているのか、
                        どんな生活をしているのか、
                  などということはさっぱりわかりませんでしたから。

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       ソ連が崩壊して、1991年8月に独立したキルギス共和国は急進的な経済改革を行いました。
              成果は現れましたが、さまざまな社会問題や経済問題も出現。
                      貧困問題はとりわけ深刻です。

            都市と農村の貧富の差は大きく、なかでも高齢者に皺寄せが来ています。
             映画の舞台となった小さな村にも、なんとか食べることはできても、
               電気代などの光熱費が支払えないお年寄りが大勢います。

            「明りを灯す人」も、明り屋さんと村人から呼ばれている主人公が
             電気代を払えない貧しい老人のために電気を無料で使えるように
                 メーターを細工しているシーンから始まりますよ。

ストーリー
廃品をかき集めたような風車を手入れしている男がいます。
村人たちから明り屋さんと呼ばれているこの男は、アンテナの調節や電気の修理の他、
どんな用事でも声をかけられたら自転車ですぐに駆けつける村の便利屋さん。

ある日、明り屋さんが村の老人の家で電気を無料で使えるように細工していると、
警察がやってきました。警察官に妻のベルメットが叫びます。
「捕まえるなら、本物の犯罪者を捕まえなさいよ。この人は人助けしているんだからね!」

都会からベグザットという男がやってきました。
彼は明り屋さんの親友マンスールの親戚で、国会議員に立候補し、
選挙対策のため、村に来たのでした。
エセン村長は村の長老たちを集め、
「ベグザットの狙いは土地です。彼にだまされないように」
明り屋さんに村の状況を嘆く村長。明り屋さんは憔悴した村長の身体が心配でなりません。

ベグザットは村人の票を集めるため、動き始めました。
エセン村長に協力を求め「俺が当選すれば、この不毛な土地を天国にしてやる」と言うのですが、
村長は「この土地は不毛じゃない。人が生き、子どもが生まれ育っている」と
きっぱり彼への協力を断るのでした……


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             天山山脈を望む村の広場でコク・ボルの試合が行われます。
    コク・ボルというのは、馬に乗って山羊を奪い合う競技で遊牧時代を今に伝える勇壮なものです。

       今はもう夏場だけ、それもごく少数の人が遊牧生活をしているにすぎないのですが、
         それでもこの村には自由で独立した遊牧民族の風習や伝統が残っています。

       ひとが遊牧民に憧れるのは、彼らが権力にとらわれることなく自由に移動できるから、
                     と思うのですが、どうでしょう。

              ま、いくら憧れても、この村も時代の変化から逃れることはできず、
      映画の中でも2010年に起こった「血の革命」のニュース映像やラジオ放送が流れてきます。
    都会からやってきた男のために、明り屋さんと親友マンスールとの関係にもヒビが入っていきます。

血の革命 
国民の不満が高まり、大規模なデモが発生。88名の被害者を出した治安当局との衝突の末、
バキエフ大統領は出国、辞任。オトゥンバエヴァ元外相を議長とする「暫定政府」が発足した。


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              貧しいけれども人々が支え合って暮らすユートピアのような村、
            そして、遊牧時代の自由で、大らかで、親切な心根を持った明り屋さん。

            いいなぁ、癒されるなぁ、と、無責任な都会人の気まぐれな憧れだけで
                 うっとり観ていると思いがけない結末に愕然とします。

                             でも、でもね、
         この映画のラストは勢いよく回る風車がひとつずつ灯してゆく電球のシーンなのです。
          監督が言っていますが「これは私にとって平穏な未来の希望を意味しています」。
                        エンドクレジットの前には
                 「私の孫たちへ、彼らが幸せでありますように」とあります。

                        未来の希望!持ちたいです。

  

                                 

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明りを灯す人
監督・脚本・主演/アクタン・アリム・クバト、脚本/タリブ・イブライモフ、撮影/ハッサン・キディラリエフ
出演
アクタン・アリム・クバト、タアライカン・アバゾバ、アスカット・スライマノフ、アサン・アマノフ
10月8日(土)シアター・イメージフォーラムほか全国順次ロードショー
2010年、キルギス=ドイツ=イタリア=オランダ、80分、日本語字幕/関美冬、字幕監修/井上徹、後援/在日キルギス共和国大使館、協力/風の旅行社、配給/ビターズ・エンド
http://www.bitters.co.jp/akari

by mtonosama | 2011-09-16 07:10 | 映画 | Comments(8)