殿様の試写室
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秋の終わり
今日は8位と7位を発表します。
毎年思うのですが(まだ2回目ですが)、BEST 10の選出は本当に難しいです。
今年観たどの映画もそれぞれに想いが深く、順位をつけるに忍びないから。
「COOL JAPAN」というBS NHKの番組で「日本人はランキング好きだよね」って、
出演した外国人が言ってました。
かまいません。行きます!
とのもランキング好きの日本人ですから。
8位 「フェアウェル さらば哀しみのスパイ」
L’AFFAIRE FAREWELL

http://mtonosama.exblog.jp/14041274/
http://mtonosama.exblog.jp/14068480/
なんとエミール・クストリッツァ監督が主演した映画でした。
ソ連解体の陰の主役となった人間的なスパイ。
激動の時代を背景とした人間ドラマ。
これが実話というのがすごい!
7位 「瞳の奥の秘密」
EL SECRETO DE SUS OJOS

http://mtonosama.exblog.jp/14093645
http://mtonosama.exblog.jp/14114747/
アルゼンチン映画です。
なぜかアルゼンチンに憧れていて、この映画には興奮しました。
暗い情念を内に秘めた上質なミステリーであり、恋愛映画です。
ああ、アルゼンチン、行ってみたいです。
しかし、遠いんだよなぁ―――
明日は6位と5位です。
続
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EL SECRETO DE SUS OJOS

(C)2009 TORNASOL FILMS - HADDOCK FILMS - 100 BARES PRODUCCIONES -
EL SECRETO DE SUS OJOS (AIE)
刑事裁判所を定年退職したベンハミン・エスポシト(リカルド・ダリン)は
小説を書こうと心に決めていました。
とはいっても、ベンハミン、それほど文章を書くことが得意というわけではありません。
定年に至るまでには、彼にもいろいろなことがありましたが、
思い出を語りあう友人も、同僚も、家族もいないベンハミンにとっては、
過ぎ去った日々と向かい合うには小説を書くしかありませんでした。
25年前に起こった殺人事件、そして、その後に続いた出来事をそのまま書いていけば、
小説になるはずでした―――
ブエノスアイレス駅を列車が出発していきます。
陽光を背に、逆光の中、女はいつまでもホームを走り、去ってゆく列車を見送ります。
列車は駅を離れ、次第に小さくなってゆく女の細く黒いシルエット。
荒い粒子の、列車の振動に合わせて揺れるスクリーンからは
女の顔を確かめることはできません。
いきなり観客の視線と心を鷲掴みにするファーストシーン。
冒頭から既に男と女の切ない別れを描きながら、妙に謎めいています
《恋愛映画にしてミステリー映画》チェックポイントその1
ストーリー
ベンハミンは退職後、久しぶりに刑事裁判所を訪れる。
彼の元上司、イレーネ・メネンデス・ヘイスティングスはいまだ美しく、
にこやかにベンハミンを出迎えてくれた。かつて判事補だった彼女は検事に昇格。
結婚して2人の子どもの母親になっていた。
ベンハミンが書こうとしている事件、
それは1974年にブエノスアイレスで起きた。
銀行員の夫と新婚生活を送っていた23歳の女性教師リリアナが自宅で暴行され、
無残な殺害死体で発見されたのだ。
現場に向かったベンハミンは凄惨な現場に息を呑む。
しかし、事件はすぐに解決。
事件当時テラスを修理していた職人が逮捕された。
ところが、それはでっち上げだった。職人たちはベンハミンの告発により釈放される。
真犯人は誰か。
ベンハミンは殺害されたリリアナの夫リカルドを訪ね、
独身時代の彼女のアルバムを見せてもらう。
と、ベンハミンの眼は写真の中の一人の男の顔に釘付けになった。
その男は彼女の幼馴染でイシドロ・ゴメス。
リリアナと写った集合写真で、イシドロの暗い視線はいつも彼女だけに注がれていた。
イシドロを追い始めるベンハミン。
彼の実家の捜索を提案するものの、判事に一蹴される。
仕方なく部下のパブロと不法侵入を謀り、
母親に宛てたイシドロの手紙を持ち出すことに成功。
2人の越権行為は判事の知るところとなるが、イレーヌの働きで不問に付される。
しかし、事件は未解決のまま葬り去られてしまった。
事件から1年経った頃、偶然ベンハミンはリカルドと駅で再会。
彼は毎日駅でイシドロが現れるのを見張っていたのだという。
亡き妻に対するリカルドの深い想いに心を動かされ、
捜査の再開を嘆願するベンハミンだったが、またもや却下される。
そんな折、部下のパブロが、イシドロの手紙に出てくる名前は
すべてサッカー選手の名前だと指摘。
サッカースタジアムに通い詰めた2人の前にとうとうイシドロが姿を現す。
息詰まる逮捕劇。
終身刑を受けるイシドロ。
一件落着かと思いきや、
終身刑を受けたはずのイシドロが大統領のSPとして大手を振って歩いているところが
TV画面に映し出された…
腐敗のきわみにあったアルゼンチン社会。国家にとって個人の正義などは二の次。
イシドロはゲリラの名を明かすことをひきかえに罪を逃れ、
身の安全までも保障されていたのです。
犯人を追いつめていく過程、そして、深すぎる男女の愛が、
まるでカードを配るように、着実に、確実に、描かれていきます。
これでどうだ!まだあるぞ!まいったか!とばかりに繰り出される見せ場に息を呑みつつ
向かったラストの意外性と切なさ《恋愛映画にしてミステリー映画》チェックポイントその2
圧倒されっぱなしの129分でした。
そして、被害者の夫リカルドが言い放つ死刑反対論には説得力がありました。
「怒りに任せて犯人を殺しても、犯人の苦しみは処刑の時点で終わってしまう。
もっともっと苦しませてやらないと、愛する者を奪われた恨みは癒えないし、
殺された人間の無念は晴れない―――」
小説と25年前の事件が絡まるように進行しながら、映画は進み、
そして、小説も終わります。
ところが、著者であるベンハミンにとっても、観客にとっても、
思いもよらない結末が待ち受けていました。
愛とはこれほどまでに執念深いものなのです。
う~ん、アルゼンチン、おそるべし。
終
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瞳の奥の秘密
監督/ファン・ホセ・カンパネラ、脚本/エドゥアルド・サチェリ、ファン・ホセ・カンパネラ
出演
リカルド・ダリン/ベンハミン・エスポシト、ソレダ・ビジャミル/イレーネ・メネンデス・ヘイスティングス、パブロ・ラゴ/リカルド・モラレス、ハビエル・ゴディーノ/イシドロ・ゴメス、ホセ・ルイス・ジョイア/バエス警部、ギレルモ・フランチェラ/パブロ・サンドバル
8月14日(土)TOHOシネマズ シャンテにてロードショー
2009年、スペイン=アルゼンチン/スペイン語、129分、英題:THE SECRET IN THEIR EYES、
提供/東宝、ロングライド、配給/ロングライド
www.hitomi-himitsu.jp
EL SECRETO DE SUS OJOS

(C)2009 TORNASOL FILMS - HADDOCK FILMS - 100 BARES PRODUCCIONES - EL SECRETO DE SUS OJOS (AIE)
アルゼンチン映画です。
行ったこともないくせにアルゼンチンというと、なぜか、そそられます。
当試写室では、5月にも「アルゼンチンタンゴ 伝説のマエストロたち」
http://mtonosama.exblog.jp/13710572 というアルゼンチン映画を上映したばかり。
しかし、今回も再びのアルゼンチン映画上映です。
「どんな映画?」 ですか?
いや、「すごい」の一言です。
ファン・ホセ・カンパネラ監督。
この名前、しっかり覚えておかねば、です。
アルゼンチンのイメージは
暗い情念、深い情熱、花で言えば薔薇、それも深紅色の薔薇です。
ゲバラ、エヴィータ、そして、アルゼンチンタンゴ。
サッカーも入れるべきでしょうか?
アルゼンチンには魂の奥底を揺るがす深くて強く激しいものがあります。
(ちょっと思い入れが強過ぎますか)

「瞳の奥の秘密」――
この映画も、深く激しい情熱がどんどん内奥に向かっていく様子を演じる俳優たちの
存在感に圧倒されました。
ひとりひとりが際立っていながら、全体の構成にぶれがありません。
すごいなぁ。カンパネラ監督。
すごいなぁ。出演のリカルド・ダリンさん、ギレルモ・フランチェラさん――
2009年8月に本国アルゼンチンで封切られたときは、
34週にわたってロングラン上映されたそうです。34週間というと、8.5ヶ月です。
日本でいえば「おくりびと」 http://mtonosama.exblog.jp/8908595 くらいの
大ヒット映画ということですね。
本作は2009年本国アルゼンチン・アカデミー賞を13部門で受賞したのをはじめ、
2010年第82回アカデミー賞最優秀外国語映画賞(ちなみに「「おくりびと」は第81回の同賞受賞」、
ゴヤ賞最優秀スペイン語外国映画賞、最優秀新人女優賞、
フランスのボーヌ国際スリラー映画祭でグランプリを受賞するなど、大変な快挙。
あ、ちょっと、〈ボーヌ国際スリラー映画祭でグランプリを受賞〉って気になりません?
そうなんですよね。
物語は25年前に起きた暴行殺人事件を軸に展開しています。
それも、とても凄惨な事件です。
ミステリーあるいはスリラーのカテゴリーに入れてもおかしくない映画なのに、
この映画は恋愛映画であり、
よくできたミステリーなのです。

1970年代の混迷したアルゼンチンの政治情勢を織り込みつつ、
殺人事件を追う男の執念と、
その瞳の奥に焼き付けた切ない愛を描いたミステリー映画であり、
よくできた恋愛映画なのです。
第2次世界大戦後、アルゼンチンは何度も軍事クーデターがあり、
大統領が次々に変わっていました。
映画の中の殺人事件が起きた1974年当時は、
あのエヴィータ(エヴァ・ペロン)の夫、フアン・ペロン大統領が死去し、
後妻であるイザベラ・ペロンが世界初の女性大統領に就任した年。
結局、彼女は難局を乗り越えることができず、
アルゼンチンは治安・経済共に悪化の一途をたどります。
76年、軍事クーデターが起こり、官僚主義的な権威主義体制が敷かれました。
さてさて、本作、
良くできたミステリー映画であり、
良くできた恋愛映画であるというのは、どういうことでしょう。
続きは、次回までのお楽しみに。
乞うご期待。
To be continued.
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瞳の奥の秘密
監督/ファン・ホセ・カンパネラ、脚本/エドゥアルド・サチェリ、ファン・ホセ・カンパネラ
出演
リカルド・ダリン/ベンハミン・エスポシト、ソレダ・ビジャミル/イレーネ・メネンデス・ヘイスティングス、パブロ・ラゴ/リカルド・モラレス、ハビエル・ゴディーノ/イシドロ・ゴメス、ホセ・ルイス・ジョイア/バエス警部、ギレルモ・フランチェラ/パブロ・サンドバル
8月14日(土)TOHOシネマズ シャンテにてロードショー
2009年、スペイン=アルゼンチン/スペイン語、129分、英題:THE SECRET IN THEIR EYES、
提供/東宝、ロングライド、配給/ロングライド
www.hitomi-himitsu.jp